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59.帰ってきたユウト

 パスタの味見ついでに、今度建つ家兼お店の従業員集めについて何かいい案があればとマーシェルさんとゴザレスさんに相談してみたら、ゴザレスさんがすごい食いついてきた。


「だったら俺を従業員として雇ってくれないか?変な客が居ても追い出す力もある。それに、タミエは俺の()()を知っている気を許せるやつだ。冒険者ギルドでトゥイ以外の変な奴と組まされるような面倒な案件を受けるより俺のことを理解してる奴のところで働く方が楽なんだ」


 秘密をやたら強調してきたのは多分私の料理の秘密のことも言ってるのかもしれない。

 確かにそういう意味ではゴザレスさんが働いてくれたら嬉しいけど……。


「冒険者ギルドの方から何か言われませんか?この村で頼りにされてるゴザレスさんを引き抜いたって思われてしまうかもしれないです」


「平気だろう。最近この村に移住してきた冒険者も増えていることだし、それに休みを挟みながらやるんだろ?休みの日にギルドの仕事を適当に受ければいい」


 うちの仕事は昼からおやつの時間ぐらいにかけての営業だし時間的にはホワイト企業よね?

 この短い時間ならゴザレスさんの体力的に問題ないのかな?


 なんだかすごい仕事したいのか、先ほどから穴が開きそうなほどガン見されてるんですけど。

 まぁ意欲ある人を雇えるのはいいことよね?

 このままお願いしちゃおうかな。


 でも、給金が見合わなかったら受けてもらえないかもしれないもんね。

 ちゃんと働く環境を相談し合わなければ。


「えっとお給料なんですけど……一日2000Vしかお支払出来ないんですけど、それでも受けていただけます?」


「なんでもいいぞ」


 え? 何でもってダメでしょ。


「俺としては仕事終わりにタミエの飯が食えれば給料はいらん」


 それが狙いだったのかしら。すごいいい笑顔でこっちを見ている。

 う~ん、そうなると営業終了時点にゴザレスさんのご飯用の魔力を残しておかないといけないわけね。

 大量に料理を頼まれても困るからある程度条件が必要だなぁ。


「ゴザレスさん仕事終了後3品まで注文していいという感じでどうでしょう。あとちゃんと給料は払います」


「うっしゃああああああああ!」


 こっちがびくってなるぐらい大きな声で喜んでいる。

 マーシェルさんは耳を塞いでなんか遠い目してるな。


 とりあえず従業員一人ゲットってことでいいかな。


 新規従業員1

 ゴザレスさん

 ・業務終了後3品のご飯

 ・給料(日払い)


 ご飯さえあれば他の条件は付けなくてもいいみたいだし、ありがたやぁ~。


 あともう一人か二人ぐらい欲しいなぁ。

 飲食スペースが広くなったから配膳係と外の整列係が居てくれると嬉しいんだよなぁ。

 ほとんどのお客さんは流れがわかってるから外の列は勝手に整列してくれて、新規のお客さんに説明するぐらいなんだけどね。

 文句言ってくる人も少なからずいるから外に一人は欲しい。


 配膳係は贅沢を言えば二人欲しい。

 一人だと配膳でいっぱいいっぱいになって、お水とかのサービスが行き届かなくなってしまう。


 本当なら、お客さんに好きなものを頼んで欲しいけど従業員が少ないとこっちの指定した料理だけになってしまうしね。

 今はテーブル毎メニューを決めているけどそうなると売上的にもね……雇うならある程度稼がないといけないし。

 お店を経営している人って凄いなぁと尊敬しかない。


 そう言えば、マーシェルさんて何してるんだろう?冒険者って訳じゃないみたいなんだけど。

 私も雇うならある程度知ってる人の方がいいし、この流れでマーシェルさんにお願いしてみようかな。


「マーシェルさん、もしよかったらうちで働きませんか?」


「ん~、すっごい魅力的なんだけど今のお仕事的に難しいかな~。ごめんね」


「そうですか。ちなみに何されてるか聞いてもいいですか?」


「おいらの仕事?……秘密っ☆」


 おぉう……何だろう、今までにない☆つきの回答がやってきた。

 まぁ詮索されたくない人だっているよね。

 こういう求人募集ってこの世界でどうやったらいいのか、結局二人からは聞けなかったらからユウトさん帰って来てから相談してみよ。


 それから三日後ユウトさんは戻ってきた。

 ゴザレスさんが推察した通りレイアさんはパスタパーティーをした翌日には村を猛スピードで出て行ったらしい。


 ユウトさんは念を入れた確認をして戻ってきたらしい。

 そんなにレイアさんと会いたくなかったんだ。


「タミエさん何も言わないまま消えてすまなかった」


「本当ですよ、心配したんですから。ゴザレスさんとマーシェルさんに色々聞きましたけど、そんなにレイアさんは危ないんですか?戦闘狂って言ってましたけど」


「あいつはただの戦闘狂じゃない。周りに被害を出すタイプの戦闘狂なんだ。何故だかわからないが、俺と関わりあるやつが狙われる。以前、魔王倒したあと仲間と別れて自由に冒険者としてギルドで依頼を受けてたんだ。その案件はソロじゃ受けられないから街のやつらと適当に組んで受けたんだけど、指定の魔物倒して帰ろうって時にたまたまレイアと会って懐かしいな~って話をしてたはずなんだが、俺と決闘したいとか言うから断ったら、何か勝手に『パーティーメンバーを倒す必要があるんだな、わかった。』とか言ってパーティーメンバーに襲いかかってきてな。その時は俺がレイアを気絶させて、みんなで逃げかえってきたんだが、その後街にレイアがやってきて一緒にパーティー組んでたやつらに決闘を申し込んでぼこぼこにしたらしくてな。あのときのパーティーメンバーには申し訳ないことをしたよ」


 えぇ……。めっちゃ怖いじゃん。ユウトさんと関わりがあるってだけで襲われるとか。


「その後も俺と会うたびに決闘を申し込んでくるんだよ。なんで元パーティーメンバーと決闘しなきゃならないんだ」


「魔王倒す前はそういうことはなかったんですか?」


「う~ん。決闘っていうか手合わせぐらいか?後はよく言われたのは『どちらが魔物を多く狩れるか勝負だ!』かな」


 話を聞く限りだとレイアさんは強さを見せたかったのかな?

 自分の強さを周りに知らしめたいとか?

 勇者のパーティーに選ばれてる段階ですごいと思うけど、更に高みを目指しているとか?


「これからしばらくは安全だろう。レイアは一度立ち寄った町や村にはだいぶ期間をあけないと来ないからな」


「どうしてですか?」


「新しいものが無ければ興味が失せるらしい」


 新しいもの好きなんだね。


 なんにしても、ユウトさんが帰ってきてくれてよかった。今後のことを相談するぞ。

え!?評価増えて・・・。

神なの?時々こうやって神が現れるんだけど本当もう・・・ありがとうございます!!

しかもブクマも増えて。神はどれだけいるのですか?


どこに足を向けて寝たらいいんですかね?


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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
― 新着の感想 ―
[一言] 新しいものが無ければ興味が失せるらしい これは料理1度食べてるからロックオンされてそう
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