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53.護衛と手伝い

 最後のお客さんを見送り看板をしまうって時にユウトさんが居ないということに気づいた。

 昔のパーティーメンバーと思い出話に花を咲かせに村の料理屋に行ったのかも知れない。


 一言「行ってくる」って言ってくれてもいいんじゃなかろうか?

 まぁ、魔王討伐が5年前だって言うしきっと突然の来訪で驚いてテンションあがっちゃったんだよね。


 そう思っていたけど日が暮れてだいぶ経ったのに全然帰ってこない。

 こういう日もあるか。いつも居るはずの人が居ないって言うのはなんか違和感あるなぁ。


 適当に夜ごはんを召喚して一人食べる。

 今日は某イタリアンレストランのパスタでペペロンチーノ。葉物野菜も入ってるやつね。

 いいよねこのピリ辛具合が。

 食べていたら玄関を叩く音が聞こえた。ユウトさんかと思い玄関まで行くと、そこにいたのはゴザレスさんだった。


「どうしたんですか?こんな時間に」


「ユウトからの伝言と護衛に」


 ん?護衛?

 どういうことかわからない。外で話すのもあれなので家の中にお招きした。

 リビングに着くとゴザレスさんはそれはそれは不思議そうな顔をした。


 あぁ、食べかけのペペロンチーノに興味がおありなんですね。

 一口食べます?っていうかそういえばこの世界で麺類ってみたことないな、食べ方分かるかな?


 フォークでくるくると一巻きしたものを小皿にとりわけ、ゴザレスさんに差し出す。

 目を見開きながら「いいのか?」と確認して嬉しそうに席に座り、フォークをさして食べようとしたが巻きがほどけてしまった。

 慣れない麺類を一生懸命口にいれたとたん一瞬角が生えた。すぐに戻ったけど、ゴザレスさんがかなり興奮してる。

 だ、大丈夫かな。ユウトさんいないのにまた発作起こっても対処できないんですけど。


「こ、これは何だ?新メニューの予定のやつか!」


「え~っと、検討中って感じですかね」


 ガタっと席を立ちこちらにやってくると、私の両肩をガシっと掴み真剣な眼差しでこちらを見てくる。


「これの商品化を希望する!これは売れる!こんな刺激的な味売れる未来しかないじゃないか!」


 そんなに気に入っていただきありがとうございます。某イタリアンファミレスの開発の方々のおかげですね。


 その前にですね今日は料理の味を見て欲しいんじゃなくて、ユウトさんからの伝言を知りたいのですが。

 それを聞きたくてリビングにお招きしたんですけど?


「あ、あのユウトさんからの伝言って何ですか?」


「あ、あぁそうだった。ユウトは訳あってしばらく家に帰れないらしい。その間護衛と店の手伝いをするように言われている」


「えっ、どうして」


「俺もわからん。珍しく慌てていてな、丁度護衛依頼が完了してギルドに報告に行く途中に路地に引っ張られてな。護衛と手伝いのことだけ言ってきてすぐテレポートしちまったから詳しい話は俺も聞いてない」


 と言うことは、いつ頃戻るとかそういうこともきっと知らないのだろう。

 あ、もしかしたら今日来た女騎士さんが大変な依頼を受けててそれを手伝っているのかも。


 しばらくはゴザレスさんと一緒かぁ……え? ゴザレスさんここに泊まるの?

 ユウトさんの部屋は多分ロックがかかっていて開かないからベットが使えないだろうし。ど、どこで寝るの?


 顔に出ていたのかゴザレスさんから心配不要だと言われた。


「俺の寝るところの心配はいらない。一応冒険者やってるからどうにでもなる。野宿と比べて屋根があるだけ十分ましだ。しかも、料理は金を払えば食えるのだろう?」


「あ、はい。お風呂とか好きに使ってくださいね」


 簡単な取り決め(ユウトさんが居ないので掃除の割り振り)をして、それじゃあ遅いし寝る支度しますかとなったとき、ゴザレスさんが私をじっと見ながら頼みごとをしてきた。


「タミエは俺が魔族の姿でも怖くないんだよな?」


「えぇ、別に。それがどうかしましたか?」


「夜だけでかまわないんだが、元の姿に戻っていても良いだろうか?」


「はい、ゴザレスさんにとって楽で居られるならいいんじゃないですか?」


 鳩が豆鉄砲を食ったような顔しているけど、私変なこと言ったかな?

 お互いが秘密を知ってるわけだから今更角が生えようが目の色が変わろうがここに居る間は好きにしてていいんじゃないって考えは普通じゃないのかしら?


 異世界人からすると魔族は敵って思ってるのかも知れないけど、私は魔族が今まで人間にどれだけ酷いことをしているのか知らない。


 そもそも、魔族と人間が争うきっかけになった歴史を知らないからどっちが悪いなんて私には決められない。

 今現実として、ゴザレスさんは魔族だけど人間と同じようにギルドで案件をこなしながら普通に暮らすことが出来ていて、こうやって手助けしてくれるいい人という事実が私にとっては全てだ。


 だから気にせずプライベート空間にいる間は自分の好きな状態でいたらいいと思う。


 ゴザレスさんは「そうか」というと魔族の姿になり、リビングのベンチのようなイスに横たわった。

 私は何か上に掛けられるものをと布を持ってきてゴザレスさんに渡し、眠ることにした。


 しばらくここに滞在するお客(ゴザレス)さん用の日用品明日買いに行った方がいいかもしれない。



 翌朝。

 起きてリビングに行くと既に人間の姿に戻っているゴザレスさん。


「おはようございます。朝ごはん何がいいですか?」


「おはよう、飯は明太子おにぎりで」


 いつもはユウトさんとご飯なのに、ゴザレスさんと二人っきりで朝ご飯ってなんか新鮮だなぁ。

 ご飯を食べ終わると、分担した掃除をしてから村に買い物に出かけた。


 とりあえず、家のベンチのようなイスで寝てるから少しでもふかふかになるように、下に引く布を買ったり、その他日用品を買ったりとなんだか自分が初めてユウトさんと村に買い物に来た時みたい。


 だいたい買い終わったので家に帰る途中、村の料理屋さんから昨日の女騎士さんが出てきた。

 あれ?

 てっきりユウトさんと何かしらの案件をこなしてるものかと思ったけど、一人??


 じゃあユウトさんは一体どこに?

んにゃああああああ!

ブクマと評価ありがとうございます!ありがとうございます!


もうちょっと風景描写がうまくなりたい今日この頃。

今日はにゃんにゃんにゃん(2/22)の日らしいですね。

猫かわいいいい!!猫カフェいきたああああい!

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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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