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5.お友達は癖のある人

 ユウトさんが営業してくれたおかげで、マーシェルさんがお客さん第一号となった。

 キッチンで早速ハンバーガーを召喚。

 一応お皿に乗せてからリビングに持って行った。


「どうぞ。お口に合うとよいのですが」


「ユウトがめちゃめちゃ勧めてくるってことは美味いはずだ。オミを教えてくれた時も今日みたいにどれぐらい美味いかを語ってたからな」


「マーシェル、余計な事言うな!いいから味わっとけ。タミエさん急いで帰る。しばらく辛抱してくれ」


 そういうとユウトさんは凄まじい勢いでオミを採りに出かけてしまった。

 辛抱とは?

 とにかく異世界の人にはどう感じてもらえるんだろう。

 自分で作ったわけではないけど反応が気になる。


「じゃ、いただきま~す」


 一口食べたマーシェルさんがビクッとして動かなくなった。

 そしてスイッチが入ったかのようにガツガツとハンバーガーを平らげてしまった。

 まるで牛丼を飲むように食べていたユウトさんみたいだった。


「タミエちゃん……これは、これはすごいよ!!ユウトが推すだけあるね!世の中にはこんなにおいしい食べ物があるだなんて!この気持ちをなんて言ったらいいんだ!」


 がばっと椅子から立ち上がると私の手を握りしめ上下にぶんぶんと振ってきた。

 言葉にならないおいしさがあるのはわかる。

 どう表現したらよいのかわからなくなってしまったのか、やがて私の前で手を握ったまま跪いてしまった。


「おぉタミエさま!新しい食事をありがとうございます!これからはタミエさまと呼ばせてください」


「あ、いえ、タミエちゃんで、タミエちゃんでお願いします」


「なんとお優しいお方だ!そして料理がうまい!うらやましいぜユウトのやつ」


 そこからこの料理について大量の質問攻めにあったが、この世界にない調味料とかあるから説明を秘密ですとかたくなに断り続け、料理の説明はあきらめて、ユウトさんとの出会いについてを聞き始めたが異世界から女神によって~なんて言っても理解されないだろうから、なんと説明したらよいかわからずこれまた秘密ですと断り続けた。

 手を握られたままで動けずにいた私の待望の助け人が息を切らして帰ってきた。


「はぁっはぁっ、やっぱりお前はそう……」


 どかどかと足音を立てながら近づいてきて、私からマーシェルさんを引きはがしてくれた。


「こいつは根はいいやつなんだがちょっとめんどくさくて迷惑をかけてすまない。」


「ユウトず~る~い~。こんなおいしい料理作ってくれる彼女いるとか、ず~る~い~!」


「恩人だって言ってるだろ!」


 そうか周りからだと彼女に見えるのかと今更ながらに気付いた。

 独身貴族タミエそういうとこ無頓着だったわぁ~。

 マーシェルさんにオミを渡してしっしっと追い払うユウトさん。

 息を切らすぐらい早く帰ってきてくれたユウトさんに今儲かった100Vでコーラを召喚した。


 ユウトさんは折角の売り上げを俺なんかの為にと言っていたが、マーシェルさんを自力で引きはがせなかったので助かったお礼だと言って飲んでもらった。


 久々の炭酸飲料にまるでビールを飲みほした時のようなリアクションをしていた。



 一休みしたユウトさんと一緒に村で買い物をした。


 服屋に全身鏡があってこの世界に来て初めて自分の姿をちゃんと見た。

 黒髪セミロングの黒い瞳、若かりし頃の自分だ。

 お肌もハリツヤがあって自分で言うのもなんだが、悪くない顔立ち。

 若返り万歳!

 薄々服は自分の所持金で買えないだろうなって思っていたが案の定、普通に1000V以上する。

 諦めてお店を出ようとしたが、ユウトさんが選んで買ってくれた。


 料理屋で稼いで早めに返すぞという気持ちになった。

 そんな私の意気込みを感じたのか、家に着いてからユウトさんが真剣な表情をして話し始めた。


「タミエさんはまじめだから、今日買った服とかを気にしているかもしれないんだが、本当に気にせず受け取ってほしい。そもそも、俺がハンバーガーを食べたいなんて願わなければ、巻き込まれずに済んだんだ。俺のせいで不自由をさせてしまっている。本当にすまない」


 そう言って頭を深々と下げるユウトさんはそのままの姿勢で話を続けた。


「家事をしてくれようとしたり家賃を払おうとしてくれたり色々考えてくれてありがとう。だけど、そんなことしなくていいんだ。俺がタミエさんの生活を奪ってしまったんだから、もっとわがままを言ってくれていいんだ。向こうの世界でやりたいことだってあったはずだろ?それを……俺が……」



「いいえ……こちらこそありがとうございます。ユウトさんのおかげで私は普通の人が見れないものが今見れています。確かに地球での生活で築き上げたものとかがあります。でもここでの生活の方が何倍も素敵で私はこれでよかったのかなって思っていますよ」


 伺うように私の顔を覗くユウトさんに私は柔らかく微笑んだ。



 初めは勇者のせいかよって思っていた。

 なんでこんな目に遭わなければいけないのかと。

 だけど、たった二日しかこの世界にいないけど、魔力を使って料理召喚とか地球に居たら絶対に出来ないことをここでは出来る。私もそれなりに楽しいと思っているのだ。38歳が今は見た目が20歳という奇跡体験も地球では出来ない。

 それにユウトさんが意図的に私の生活を壊そうとしたわけではなく、ただ自分の望みを叶えようとした結果、女神が変な方向に力を使っただけのこと。


 過去はどうやっても変えられないのだから、今を存分に楽しんでいこう。

 それでいいじゃない。


「服とか日用品ありがとうございます。大事に使わせてもらいますね。せっかくなので、お言葉に甘えてわがまま言わせてもらいますね!料理召喚でパンケーキ食べたいので奢ってください」


「喜んで!」とユウトさんはしっかり自分の分も払って二人でパンケーキを食べてその日を終えた。


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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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