49.やってきたのは小さい・・・
あれから通常通り営業して休んでを繰り返し過ごしていました。
ようやく冒険者ギルドのランクが一つ上がり、これで週一の採集案件はやらなくてよくなりました。
でも、採集は採集で新しい発見があるから結構好きだったりするので時々ユウトさんの都合を聞いて受けたりしてるのです。
そうそう、冒険者ギルドに行ったときに私とユウトさん宛にモデアさんからお手紙が来ていて、ミステイスト達があれからどうなったのかっていうのを教えてくれました。
ミステイストは店舗営業資格を永久に剥奪の上、奴隷になり炭鉱で働いているんだと。あんなメタボで働けるのだろうか?
貴族の方は、領民から得たお金で自分の趣味嗜好の為にギベハルコンを違法入手し使用したことで処刑されたそうだ。
合わせて、ギベハルコンを奴隷に付ける技術を持った人間も処刑されたという。
ちなみに、ミステイストが所有していた店舗は一旦商業ギルドが引き受けることになったらしい。
モデアさんの手紙には遠回しに、ミステイストから回収した店舗で私に店をやらなか?的なことが書いてあるけど、今のところそちらには行く予定はありません。
この間ゴザレスさんに召喚してるのがバレたのに、知り合いがいないところで店舗を構えるなんてことしたら、要らないフラグがいっぱい立ちそうで怖くて受けられません。
モデアさんにはこちらは通常通りの日々を過ごしていることを書いて返信しておいた。
最近は営業すると本当にたくさんの人が来てくれて感謝感謝だけど、あまりにも人が来すぎて私とユウトさんだけで営業するのが大変になってきた。
お金に余裕が出来たし人でも雇うべきなんだろうなって思うけど、そこまでして回転数増やしたいのかって言われたら、個人的には最初の気持ちと変わってなくて、ただある程度日用品とか買えて、生活できればそれでいいかなって感じだから、がっつりお金儲けしたいわけじゃないんだよねぇ。
でも、来てくれた人達が食べれずにしょんぼりしながら帰って行かれるのはちょっと心苦しい。
なんとかうまいこと出来ないものだろうか。
そんなある日、営業日じゃない日に人が訪ねてきた。いや、勝手に家に上がり込んできたというのが正しい。
玄関から普通に入ってきて、
「お~い、ユウト~わしじゃ~!おらんのか?来てやったぞぉ~!」
ちょうど自分の部屋で一人ファッションショーしてた私は見知らぬ年老いた声にびっくりして、タンスの角に手をぶつけた。
痛い。
ユウトさんは今オミの世話をしに行っているから家にいない。どうしよう。
ドタドタと階段を上がってくる。ひえぇぇ、ま、また瓶ビール用意しておいた方がいいやつ?
階段上がってすぐのユウトさんの部屋に入ろうとしているけど多分魔法でロックがかかっているからかガチャガチャしてるが入れない様子。
「なんじゃ、おらんのか?」
そう言って階段を降りて行く音が聞こえる。
ユウトさん……玄関にも魔法かけといてくださいよ。
誰が来たのかわからないまま、音がなくなったので出て行ったのかと思い、一階に降りた。
すると、リビングに小っちゃいおじいちゃんが腰かけているじゃありませんか!
階段から降りてくる音でおじいちゃんはこっちをずっと見ていたみたいで、ばっちり目が合いました。
「「ぎゃあああああああああああああああ!!」」
私とおじいちゃんの悲鳴が共鳴する。
私が叫ぶのはわかる、だって見知らぬちっちゃいおじいちゃんが居るんだもの。
でもおじいちゃんが叫ぶのはおかしくない?相手は見た目ぴっちぴちのうら若き乙女ぞ!
その声がユウトさんに届いたのかどうかは知らないけど、ユウトさんが慌てて帰ってきた。
「タミエさん!?どうした?」
「し、知らないおじいちゃんが……」
それを聞いたユウトさんはリビングを見て、
「ロム爺、いつも言ってるだろう来る前に手紙くれって」
「な、な、な!ユウト!お前ついに、け、け、けっこn」
「してない!彼女は俺の恩人だ。色々あって一緒に住んでいるがやましいことは何もない!」
早とちりおじいちゃんは、ユウトさんにロム爺と呼ばれている。
まぁ、ユウトさんの名前を呼びながら訪ねて……乗り込んできたから知り合いなんだろうなとは思っていたけど。どちら様だろう、挨拶しなきゃだよね。
「は、初めまして。私はタミエと言います。お名前を伺っても?」
「あぁ。わしはロムオン、ユウトの剣のメンテナンスをしにやってきたんじゃ。お主はユウトとどういう関係じゃ?」
え?どういう関係?
ユウトさんの希望で召喚されてきました。って関係とは言えないから……。
「毎食のご飯を作る関係ですかね?」
「な!?」
目を大きく見開きそれはそれはびっくりしているロムオンさん。
なんか変なこと言ったかな?
「それはもう結婚してるってことじゃないのか!?」
……。
女性が三食ご飯作ることが結婚の当たり前だとかちょっと考えが古くないですか?っていうか異世界でもそうなの?
食事はどっちが作ったっていいじゃない。まぁ、私とユウトさんは付き合ってすらいませんけど。
ただ単に私とユウトさんの利害が一致してるからこの状態なだけであって、お金と環境さえ合えば別にユウトさんのところじゃなくても私はやっていく自信がありますが?
でも私がいつまでもここに居たらユウトさん彼女作れないよね。
……はっ!やだ!私ったらいつまでもここに居たら迷惑じゃない?
ユウトさんの言葉に甘えすぎてた!!
出ていこう!なるはやで。
そんな考えをしているときに、ユウトさんは慌てた様子でロムオンさんに
「だからロム爺はなんでそう早とちりするかなぁ~。俺がお願いしてここに居てもらってるの!結婚とかそういうことじゃないの!」
「じゃから!望んで一緒にいるんじゃから結婚してるんじゃろ!」
「違う。彼女はその……あれだ……有名な料理人なんだよ」
「料理人……じゃと?」
ユウトさんは私のに向かいお金を渡してきて、
「これで筑前煮を出してくれないか?足りなかったら後で払うから」
私は言われるがままキッチンにて筑前煮を召喚し、リビングに持って行く。
「ほら、ロム爺食ってみろ」
ロムオンさんからしてみたら初めてみる料理だからだろう、じっと料理を見つめている。
フォークで里芋を差し一口で食べる。
やはりビクッとなってからモリモリ食べ始めた。
「うまい!うまいぞ!ユウト!こんなうまいものは初めてじゃ!!すごい料理人じゃ!そりゃ家にいて欲しいのぅ!これに酒があれば最高なんじゃがなぁ……」
私は全く料理してないけど、ロムオンさんの中で料理人になった。
ビールでよければ出しますけど。
どうしましょうか?ユウトさん。
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