42.おや?村の様子が・・・
ご飯を食べ終わったので食休みしてから村に行くことに。
家の前にしばらくお休みしますと書いた看板があるが、いつから再開しますは書いてないのでお知らせしないとみんなに食べに来てもらえないからね。
ユウトさんと一緒に村に向って歩くと、少し先の村の様子がおかしい。
なんか……ちょっと建物増えてない?
村に着くや、村の人達から
「おお!タミエちゃんお店はいつ再開するんだい!?」
と催促がやってきまして。長いことお休みしててすみません。
会う人みんなに明日久々にやるよ! って伝えて回ると、その話は勝手にすごい勢いで広がって行き最後の方になると、
「たみえちゃん!明日お店やるんだってね!楽しみにしてるよ!」
と。
みなさま本当にうちのお店を楽しみにしていただいてありがとうございます。
村を出てから約一か月しか経ってないけど、宿が新たに一軒建ってるし、屋台みたいなのが数軒増えてる。
一体何が起こっているのだろう。情報収集と言えばご飯処だよね。
冒険者にも人気の、私がこの世界で初めて行った料理屋さんに顔を出した。
すると、おじさんとおばさんがワタワタとしながら仕事をしている。
「こんにちは」
声をかければ二人とも駆け寄ってきてた。そして周りにいたお客さん達も駆け寄ってきた。
うおぉ、なんだ人の津波が……。
若干引いている私の隣でユウトさんが私を守るように立ちふさがってくれている。
「タミエちゃん!元気にしてたかい?しばらくお休みするって言ってからだいぶ見なかったから、病気にでもなっていたんじゃないのかい?」
おばさんがかなり心配してくれていた。
そっか理由は書かずに旅してたもんな。反省。
でも、悪い料理評論家捕まえに行ってましたとは言えないもんなぁ。
「タミエちゃん何があったんだい?」
おじさんも心配してくれていた。
なんて話そうと考えていたらユウトさんからの助け船が。
「実はちょっと新しい食材を探す旅をしてたんだ。俺は世界を巡ってきた旅人だから色々食材を紹介してたんだ」
わぁ……さらっとそれっぽい事を。大人ってこわいなぁ。
あ、中身は同い年だったわ。
そして村のみんなはそうだったのかぁ~っと納得してくれている。
一緒に聞いていたお客さんの一人が
「ってことは明日は新作が出るってことかい?」
と疑問に思ったことをぽろっとこぼすと、周りにいた人たちがざわつく。
……うんまぁ魔力増えたしやってもいいけど。
「ちょっと高くなりますけど、一応新商品用意してます」
そういうと店が壊れるんじゃないっていうみんなの歓声が。
み、耳がぁ……。
このお店に来たのは情報収集の為なのに、こっちの情報ばかり開示している。
情報を収集するのに、何も食べないわけにはいかないから何かしら注文したいのだが、囲まれていて座るに座れない状況。
勇気を振り絞りこの歓声の中でおじさんとおばさんに空いている席を聞く
「すみませぇぇん!どこかい空いてる席教えてください!!二名分で!」
そう叫ぶと、空気の読める客達は道を作り一つのテーブルに案内してもらった。
ようやく座れて壁にかかっているメニュー表を見ると
・タミエちゃんがお肉と野菜の相性が良いと言ったフォガリーの炒めもの!
・タミエちゃんが見た目もきれいで美味しいと言ったシチシチの盛り合わせ
・タミエちゃんが好きと言ったケケのスープ
と、私が食べたメニュー達に私の名前が……。
周りを見てみれば、みんなそれらを食べてるじゃありませんか。
おぉう、私は別に普通の人なんですけど。料理評論家とかじゃないし。
ま、いいよ。おじさんとおばさんは素敵な常連様だしね。
とりあえず、今日はケケのスープだけ注文した。
すると周りが、
「あぁ、本当に好きなんだな」
とざわつく。
あの、だから有名人とかじゃないのでそんなに騒がなくても
ユウトさんはルルシェの香草焼きを頼んでいる。
お客さん達の目が……っていうかあなた方の知りたいことはほぼ知れたはずだからもう日常に戻ってもいいじゃない?
じゃぁこっちが聞きたいこと聞くか。
「あの、旅から帰ってきたら村の様子が少し変わっているのですけど、何かあったんですか?」
「あぁそれはタミエちゃん効果だね」
ん?私効果?
「タミエちゃんの料理を食べたことのある余所の町の人間がどんどん口コミで広めてるらしくてな。うちの村の宿屋一軒しかないだろ? 口コミ聞いてきたやつらが大量にいてな。急遽新しい宿屋を建てることになったんだ」
おお?ご飯を食べる為にわざわざ遠方から来てくれていた人がいたのかぁ。申し訳ないことをしたなぁ。
「タミエちゃんがいつ帰ってくるか俺たちも知らないから、余所から来たやつらに答えられなくてな。しばらく居たやつとかもいてよ。今は落ち着いてるけど、実はまだ粘ってるやもいるからなぁ」
はい、明日からがんばりまーす。
そんな会話をしていたら、スープと香草焼きがきた。
う~ん!スープ美味しい。うま味あるぅ。
ユウトさんは香草焼きをむしゃむしゃしている。
そして、一口サイズに切ったやつを食べるか? と聞いてきたのでお皿にのせてもらおうと思ったけど、今回はスープしか頼んでないので断念する。スプーンに置いてもらおうと顔を上げると、フォークにお肉が刺さっていてユウトさんがあ~んと言ってきた。
ふぁ!?
なんっっ!ちょっと周りの目があって恥ずかしいんですけど。
ユウトさんはきっとまだ食べたことない料理を私に食べさせたいだけかもしれないけどぉ・・・恥ずかしい!!
しかしそれ以外の方法も考え付くことが出来ず、あ~んでお肉いただきましたよ。
あ、ハーブの味と牛肉とラム肉の合いの子みたいな味のお肉がいい感じだ。
おいしい。次来たとき食べよう。
ご飯を食べてたらバタバタとマーシェルさんが入ってきた。
「うあぁぁん、おかえりぃぃ!ユウト~タミエちゃん!何処に行ってたんだよぉ!タミエちゃんのご飯食べたいよぉ~」
べったりとユウトさんに抱きついている。
うわぁ、ユウトさんめっちゃ嫌そうな顔してるし。
旅に出たことで色々経験出来たけど、こんなに村の人達に思われているってありがたいね。
んもぉぉぉ!この世界は優しさであふれている!!
評価・ブクマありがとうございます!!
ようやくちゃんと村に帰ってきた感が少し出せたかなぁ。
さぁ、お店やっていくよぉ。




