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4.開店準備

 食べ終わった牛丼の皿をじっと見つめて黙っているユウトさん。

 まだ食べたいのだろうか。


「お皿を見つめてどうしたんですか?」


「あぁ、この世界の文明で皿にこういう細かいデザインが入ったものって王城で食べた時以外そういえば見たことないなぁって思ってな。キレイにして語りの会のときにつまみでも入れようと考えてたんだ」


「なるほど。それはいいかもしれませんね。ところで語りの会って何ですか?」


「あぁ、俺は勇者ってことを隠してここに住んでるのは話したと思うが、村人には世界を見て回った旅人ってことにしてるんだ。この村は王都からも離れてて、面白い話とかはなかなか入ってこない。だから娯楽の提供として俺が見てきた国とか町のイベントの話を、月に2、3日村人集めてやってるんだ。そろそろネタは尽きそうなんだけどな。なんだかんだ集まってワイワイするのがみんな好きだから、ただ日常あったことをみんなで話すだけの日もあるんだ。参加費無料の持ち込み可、食べ飲みしながらうちのリビングで。だから一人暮らしだがリビングだけ広くしてある」


 確かに部屋に入った時広くきれいな印象なのは人を沢山招いても良いようになっていたわけか。


「それから俺自身もこの世界で好きな食べ物見つけてな、それを育てるのに村から少し離れたこの林が最適だからここに住んでる。それを買いに語りの会の日にち関係なく時々村人が来たりするんだ。だから俺の家に居れば、勝手に人が来てくれるから、タミエさんの料理屋は少しずつ村人に知ってもらえると思う」


 話し終わるとユウトさんは牛丼の皿を生活魔法できれいにしようとしたが、光の粒となって皿が消えた。


「な!?」


 どうやら、お皿は使いまわせないみたいだ。

 めちゃくちゃ残念そう。



 とりあえず私が現状出せそうなものをユウトさんと一緒にピックアップすることにした。魔力と金額がそんなに高くないもの。


 ・ハンバーガー

 ・サンドイッチ(ハムレタス)

 ・ドーナツ(プレーン)

 ・ホットドック

 ・菓子パン(メロンパン)


 牛丼を除いたのは、ここの村人達の主食がパンだから。

 見知らぬ米は抵抗があるかもしれないので、まずはパン類で揃えてみた。


 メニュー表を作り、来てくれた人にわかりやすくしておく。

 この世界の相場が分からないのでユウトさんに金額について相談し家計を圧迫しない程度の采配をしてもらった。


 ・ハンバーガー       250V

 ・サンドイッチ(ハムレタス)200V    

 ・ドーナツ(プレーン)   150V

 ・ホットドック       300V

 ・菓子パン(メロンパン)  180V    


 とりあえずお試しで一日限定10品まで。

 こんな感じになっている。


 あとはやってみてどこか問題があったら改善していこうとなった。

 沢山話していたのですでに寝る時間になっていた。

 明日はまだ来たばかりの私の為にユウトさんが村に案内してくれることになった。

 二階の先ほど寝かせてもらった部屋を自由に使ってよいとのことで部屋の前で軽く挨拶をした。


「ユウトさん本当にありがとうございます。また明日よろしくお願いします。おやすみなさい」


「いや、俺の方こそありがとう……おやすみ」


 少しだけ表情が暗くなったような気がしたが、返ってきた「おやすみ」は笑顔だった。




 翌朝。

 私より先に起きてすでに作業をし終わったような顔のユウトさんがリビングにいた。

 私も会社員だったから早起きは習慣づいてるのだが、それより早いとは。


「おはようございます。お早いですね」


「おはよう。今日は昨日少し話した俺の好きな食べ物を収穫してきたんだ」


 お皿の上に一口サイズのハート型した赤い果物らしきものがコロコロと置いてあった。映えそうだ。

 早速写真を撮る。


 そんな私を微笑ましい顔で見ていたユウトさんを私は知らなかった。


「かわいいですね!なんて言うんですか?」


「これはオミって言うんだ。本来はエルフの森の近くで採れるんだが、条件さえ合えば普通の林でも栽培できるってことが分かってな。食べてみてくれ」


 食べてみると味が変わる不思議なものだった。

 始めはリンゴのようなさわやかな甘さだったのが、だんだんメロンのような甘さになり、後味はマスカットみたいな香りになった。


 こんなに味が変わってそれでいてそれが自然に感じるこの果物はすごい!

 言葉にならない私にユウトさんは、


「その顔が見れてよかった」


 と笑いかけてくれる。

 何この優しさ?なにで出来てるのこの人。

 そしてユウトさんはさらっとお金を出してきて、


「俺とタミエさんの分のサンドイッチを頼む」


 今日の朝ごはんはサンドイッチとユウトさんの採ってきたオミ。

 ゆったりとした朝の時間を過ごした。


 それから出かける支度をしたが、そもそも私自身は着替える服とか所持するものが無い。

 せっかくアイテムボックスを手に入れてても150Vが入った布袋しか現在入ってないのだ。


 村を案内するついでに日用品とか服を買える場所にいって購入したい。

 150Vで何が買えるかわからないけど。


 家を出ようと玄関の扉を開けたところでユウトさんが足を止めた。


「おーい、おはようユウト!アレ売ってくれ~」


 村に向かう道から若いお兄さんが手を振りながらやってきた。


「お?見ねぇ顔だな。はっ!?おめぇもついに・・・そうかそうか」


「ちがう」


「照れんなってぇ~」


 金髪のショートヘアですこし毛先がくるんとしているお兄さんがにやにやしながらこちらをまじまじと蒼い瞳で見てくる。

 。


「へぇ~若いねぇ~。おねぇさんなんて言うんだい?おいらはマーシェルっていうんだ」


「タミエさんっていう俺の恩人だ。困らせるようなことするなよ」


「よ、よろしくお願いします」


「珍しい名前だな、よろしくタミエちゃん」


「タミエさんすまない、出かけるのを少し遅らせてくれ。マーシェルにオミを採ってくる」


「わかりました」


 リビングにマーシェルさんを案内してキッチンでお茶を用意した。

 その間にユウトさんとマーシェルさんで必要なオミの量とお金のやり取りをしていたみたいだ。


 リビングにお茶を運ぼうとしたら、ユウトさんが来てお茶を運んでくれるという。


「タミエさん、マーシェルのやつが最初のお客さんになってくれたぜ。ハンバーガーを頼む」


 250Vを置いてサムズアップをしてからリビングに向かっていった。


 まさか、異世界来て二日目にして商売が始まるとは。


あわわ!評価ありがとうございます!!

めっちゃ嬉しいですね。

自分もいままで読み専だったときに評価をしたりしてましたが、書き手の立場になってみると評価やブックマークのありがたみがとてもわかりますね。

感謝感謝です。

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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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