31.俺はヘタレだったのか・・
ユウト視点
こんなに早く面倒事になるとは思ってなかった。
俺は勇者をしていたから商業関係に明るくない。
そりゃこの世界にない料理の噂はすぐに広まるだろうし、商人にもいずればれるだろうとわかっていたけど、商人が強行手段を使ってくるとは思わなかった。
タミエさんに怖い思いをさせてしまったなぁ。
俺が基本的には冒険者ギルドの仕事をろくにしないが、いざって時には出動することを調べてきてわざわざあんな魔物用意するぐらいだからな。
タミエさんは正義感が強いのか、悪いことしてるミステイストを許さんとあんな行動的になるとは。
タミエさんをスカウトしてきたモデアっていう商人を探すことになるなんて。
タミエさんには情報屋が居ると言ったが、実際は俺がテレポートで移動しまくるだけだ。
勇者の肩書を使えば大体の情報は手に入るからな。
さくっと王都へ飛んで商業ギルドを訪ねモデアっていう商人を探しているというと、受付の人間が大慌てで裏に引っ込んでお偉いさんを出してくれた上に別室に案内された。
副ギルド長をしてるというやつが話してくれたが、うちに来たあの商人はここのギルド長だというから驚きだ。
俺の名前は出さないで調べてくれと言ったら、快く引き受けてくれて副ギルド長はすぐにモデアの場所を特定してくれた。シュウェーラにいるらしい。しかも連絡もしてくれるという。こういう報告・連絡・相談が早いのはありがたい。
さすが商人と言うべきか。
二日程度でトーン村まで来れるらしい。
早すぎだろう。商業ギルドが保有してるというアーティファクトか。
必要な事は全部伝えたし、一度家に戻る。
翌朝タミエさんにわかったことを全部話して、営業しながらモデアが来るのを待っていようと思ったら二日も経たずにやってきた。
どれだけ急いできたんだよ。
しかも長い話を聞かされたが、まぁミステイストは裁かれるべきだな。
もちろんグルになってる奴らもだが。
タミエさんはモデアに協力するって言ってるし、俺とタミエさんの時間を邪魔したことを後悔させてやる。
捕まえてた二人に飯を食わせてるときにモデアから聞かれたくない話があるので・・・と言われ仕方なく外で話すことに。
「ユウトさんもご協力いただきありがとうございます」
「いや、タミエさん一人だと何するかわからないから一緒に行動するだけだ。タミエさんほど積極的にって訳じゃ……」
「いえいえ、元勇者様にご協力いただければこれは解決したも同然ですよ」
ニコニコのとイヤな笑顔しやがるな。しかも俺が勇者だってわかるだと?
「覚えておりませんか?あなたが初めてこの国の王と謁見した後、装備品一式をご提供させていただいたときに居たのですが」
何年前の話だよ。覚えてられるか。
「あの時は驚きましたよ、試し切りしてくるって言って目の前から消えてしまいましたからね。異世界からの人間は特殊な力があると聞いてましたが、テレポートするとは」
どう頑張っても勇者じゃないですとは言えないようだ。
「で、俺が元勇者だとわかってて何か頼みたいんだろう?」
「お話が早くて助かります。囮役の彼らを捕えてた分、本来の帰還までの日数からすこし遅れているので、ユウトさんのテレポートで彼らを隣町ぐらいまで送ってほしいのです」
「それだけか?」
「あとは彼らがミステイストに物を渡した後、彼らの安全をお願いしたいですね。彼らに差し向けられるのは殺しを得意とする人たちでしょう。きっと彼らでは対応できないでしょうから」
面倒だが乗り掛かった舟だ。
「あとはそうですねぇ……シュウェーラの町で一度合流はしたいので商業ギルドに来てください。ユウトさんにはテレポートがありますから、時間に余裕がありますよね?通ってくる町々でタミエさんと観光というのも良いのではないですか?」
タミエさんと観光……すなわち、デート!!
「では、私は彼らがしっかり作戦を覚えてるか確認してきます」
周りに聞かれたくないから、部屋に戻ってすぐにタミエさんの耳元でひそひそと要件を伝えてタイミングを見て外に連れ出す。
よし、ここまでは完璧だ。大事な話だと言ったから真剣に聞いてくれている。
「俺の側にいれば安全だから(一緒にいて欲しい)な」
っかぁ~!!言葉にするの恥ずかしいな、声が後半小さくなっちまった。はぁ……いい歳したおっさん何やってんだ……情けねぇ。
あとは今後のスケジュールとテレポートの話をした。
正直テレポートは魔力があれば一日に何回でも出来るけど、そうしたらあいつら送った後帰ればよくない?ってなると困るから、一日一回しかできないってことにしておこう。
それと、テレポートは魔法陣の中にいるだけでいいんだが……触れてないと駄目ということにしておこう!合法的にタミエさんに触れられるぞ。
頑張れ俺!
タミエさんに説明し終わり部屋に戻ると、既にモデアがアイテムを使ったみたいで囮役二人が爆睡している。
テレポートの準備をしてタミエさんの支度を待つ。
たった一日でバタバタとこんなに状況が変化するのは久しぶりだな。
寝転がしている二人をそれぞれ掴んでおいて、タミエさんには俺の背中におぶさってもらうことにした。
や、こっちから直接的に触るのはなんかセクハラとか言われたら傷つくなと思って提案したんだが、負んぶの方がその……む、胸が背中に当たって…………ごちそうさまです!!
わ、わざとじゃないんだ!
テレポートし終わると俺は冷静なふりをして外の様子を確認して自分を落ち着ける。
さっさと囮役どもと別行動して、タミエさんと明日からデートするぞ!
その勢いで二人ともを抱えて小屋をでてしばらくしてからこいつらを叩き起こして任務に行かせる。
考えてみれば、タミエさんがこっちに来てからいきなりお店始めさせてしまったりとかで全然この世界のことを案内できてない。村の散策程度だ。
この機会にいろいろ二人で見て回るのもいいかもしれないな。
宿はちゃんとそれぞれでとった。一緒の部屋になったら俺がヤバい。
はぁ、俺ヘタレだな……。
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あぁなんだかユウトさんが残念な感じになっている。
おかしいなぁ・・・




