27.そうと分かれば準備です
盗人を捕えたら何だかとても大変なことに巻き込まれてます。タミエです。
モデアさんが長くなりますがと事前に言っていた通り長い話を聞いて、頭がパンクしそうです。
名探偵モデアさんはまだまだ語っていく。
「さらに、ミステイストにとって気に入らない料理人を排除することに成功しています。それによって人気だった料理屋は、料理人を失い売り上げが伸びず、店を縮小してます」
ミステイストは気に入らない飲食店をつぶせて、しかも冒険者の身分証を貴族に売って金儲けできて一石二鳥。
貴族はギベハルコンを手に入れられて、奴隷を勝手に増やして自分の自由に使っている。
要するにミステイストと貴族はお互いのメリットが一致したから協力しているということだろう。
「私は何としてもミステイストを捕えたいのです。仲良くさせていただいていた冒険者の方のためにも。そして捕まえるならまとめて捕まえないと、片方だけ捕らえたとしても一時的に収まるだけでまた同じようなことが起こるかもしれません」
確かにそうだろう。すでに人がミステイスト達によって亡くなっている。
被害を抑えるには元凶となる者をすべて捕える必要がある。
「そして今回タミエさんの店にも被害が出ている。標的にされているようなもので、この冒険者達を捕まえたとしても、第二・第三の者がやってくるでしょう」
それは困る。せっかくここの生活にも馴染んできたのに、盗人が頻繁に来るような日常はごめんです。
「この機会にミステイスト達を捕えます。タミエさんユウトさんご協力いただけないでしょうか?」
もちろん断る理由はない、むしろ協力して早く解決させたい。
私に何が出来るかわからないけど、悪い奴は成敗だ。
「もちろん協力いたします!悪い人たちを捕まえましょう!」
先ほどまでの怖いオーラを出していたモデアさんは私の返事を聞いてから、初めて会った時のようにニコニコとした。そしてその笑顔でユウトさんの方を向くと、それを見たユウトさんはため息を一つこぼし、
「タミエさんに感謝するんだな」
「もちろんですとも」
とよくわからない返事をしていた。
縛られていた二人も今までの話を聞いてミステイストに怒りが溜まっているようで聞かれてもないけど協力させてくれ!と息巻いている。
そこからモデアさんからテキパキと指示がされる。
相手を油断させるために、今回は縛られている二人に囮になってもらうことになった。
そのために私は、見たことない物を用意することになり、とりあえずキッチンに行き写真のアルバムになにか無いか探し始める。
ユウトさんはキッチンの入り口付近に立ち、モデアさんがこっちに来ないように見張ってくれている。
とは言っても、モデアさんは縛られた二人に今後の説明をしててキッチンまで来そうにないけど。
さて何かいいものはないかとスマホの画面をスクロールしていく。
アルバムは9割方料理に関係するものだけど、1割は友達と自撮りしたものや景色などもある。
しばらくスクロールしてあるものに目が留まった。
友人の家で宅飲みをした時の写真だ。
珍しくて写真に撮らせてもらったもの。
デスソース
適度に辛いのは平気だけど、激辛が好きという訳ではない為自分では絶対買わないもの。
瓶にどくろのキーホルダーがついてる、やばそうな見た目のやつ。
これはきっとこの世界で誰も見たことが無い物だろう。
でもこれ料理じゃないけど召喚できるのかな?
タップすると、
<ツカサのデスソース>
魔力90 金額999V
ツカサとは友人の名前である。辛いのが好きであの有名な辛いラーメン屋が大好きな子だ。
そして金額が高い。何なら今までユウトさんとご飯食べてきた料理よりも高い。
料理じゃないけど召喚できるようだし、これにしよう。
出てきたソースは開封済みの既に半分ぐらい使用済み。写真の通りだ。
っていうか、半分しか入ってないのに高いな。
キッチンの入り口から見ていたユウトさんは、デスソースを知っているみたいで眉間にしわが寄っていた。
「タミエさん、そのラベルは剥がした方がいい」
異世界の大先輩ユウトさんがそう言うので素直に従ってラベルを剥がしたけど、キレイには取れなくて逆にボロボロになっている具合が怪しげな雰囲気を醸し出していていいかもしれない。
ついでに気になったことをユウトさんに聞いておく。
「あの、瓶ってこの世界にあります?」
「あぁあるぞ。ただその瓶みたいにきれいなものは少ないな」
じゃぁ、このまま渡しても大丈夫そう。
いい感じになった瓶を持って、モデアさんのいるリビングに向かう。
ブクマありがとうございます( ;∀;)
前回長かったので短めに。
私はデスソース食べたことありません。
辛いのは苦手です。C〇C〇壱のカレー普通ですら辛いです。




