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26.話はそんな簡単じゃなかった。

ちょっとだけ暴力的表現あります。

苦手な方はあとがきまで。


あと長いです。すみません。

 少し思いつめたかのような縛られたままの短髪の男が話し始めた。


「俺達だってこんなことやりたくてやったわけじゃねぇんだ。どうしても金が必要になってギルドの案件だけじゃ足りなかったから仕方なく……。こんなことになるなんて」


 そうです悪いことはするもんじゃありません。

 しっかり反省してください。


「そんな時にミステイストが簡単な仕事があるからよかったらどうかって。前金まで払ってくれて、この案件終わらせて報酬で揉め事を解決しろって……。

 あいつは『お前達のことを知らない村に行くんだから、身分証をつけたままだと冒険者に感づかれるだろう、そうなるとこの仕事は分が悪いだろうから身分証を預かっていてやる。帰ってきたら報酬と一緒に返そう。』って俺達のこと気にしてくれてて。俺達の身分証と後払い分の報酬を一緒にして金庫にしまっていたから保管も安全そうだと思って……」


 坊主も思うことがあるのか話し始めた。


「依頼内容も決められたことをやるだけでいいって。この村の奥にある家に入ってみたことないものを取ってこいっていう話で、下準備は終わっているからと言われてて、だから教えてもらった指示通りやった。人目を避けるために温厚な魔物を一時的に道に誘導して、家主や村の冒険者を村から減らして、あとはこの家で見たことないものを取って戻るだけだったのに、この家に魔法で鍵がかかっててそんな話聞いてなくて……」


 いやそもそも人の物をですね盗むようなことがよくないんですよ?

 というのが顔に出ていたのか、坊主が言葉を続けた。


「そりゃ盗むのはよくないって分かってるさ。だけど、現物確認したら元に戻すって言ってて。借りてくるようなもんだって。家主は何があっても人にものを貸さない人間だから強硬手段しかない。謝罪の意と共に金品も合わせて返すから問題ないって」


 いやダメでしょ。問題ありでしょ。これが異世界との価値観の違いなのかな?そんなばかな。

 今までの話を黙って聞いていたモデアさんがふーむと少し考え込みそして口を開いた。


「どうしてもお金が必要になったのは、どこかの貴族の所有物を破損させました?」


「な、どうしてそれを!」


 小さく息をついたモデアさんは、まるで謎が解けた少年名探偵みたいな顔をしている。

 それと同時にとても怖いオーラが出ている。

 何がわかったんですか……。



「あなた方は騙されたようですね。その貴族とミステイストはグルなのです。ちょうど私がシュウェーラの街にしばらく滞在していたのも噂の貴族とミステイストの尻尾がつかめそうだったのでね」


「「ど、どういうことだ!!」」


 食いつく様な勢いの二人。

 少し長くなりますがと語り始めたモデアさん。


「ある冒険者達の話なんですけど、シュウェーラの街に()()()()()()()()貴族の荷物の運搬の案件がギルドであったのでそれを受けたのです。

 ミステイストの店は飲食だけでなく雑貨店を持っているんですが、その貴族がミステイストの雑貨屋で買った東の国から仕入れた珍しい荷物を貴族の馬車に積む時に彼らは落としてしまった。

 慎重に運んでいたはずの荷物の入った箱が突然風に煽られたかのようになす術も無く手から落ちていったそうです。


 箱の中の陶器は割れた状態になっていまして、それを見た貴族は大激怒。弁償を要求されました。当然弁償できるだけのお金が無いので彼らは困ってしまいます。

 そこへ店主であるミステイストが貴族を宥め、ある提案をしたそうです。


『弁償できないならとある料理屋の凄腕の料理人を連れて来たらいい。そうしたら貴族様もおいしい料理に満足して怒りを静めてくださる。』


 ただ、とても癖のある料理人で自分の店から出ようとしないと教えられ、『拉致してでも連れて来い、そのあと料理人へはこちらから褒美を渡すからお前らは何も心配しなくて良い。成功したらお前らにも報酬を出す』そう貴族に言われた彼らは仕方なく拉致することにしたのです。


 このときも、ある程度の下準備をしておいたから後はうまく拉致するだけと言いくるめられたそうでね。


 拉致には成功したものの、貴族が拉致をしたとというのは体裁が悪いからと受け渡しは貴族の家ではなく人目につかない林の中で行われていて、報酬は別のところに保管しておいたからそこにとりに行くといいと言われ彼らは取りに向かった。


 人通りの少ないボロ家の中で大量の血を流して彼らは亡くなってしまいました。

 発見したのは冒険者ギルドの職員でした。町の人から、最近異臭がすると相談を受けて調査の下見ですね。

 発見された彼らは本来持っているはずの身分証だけなくなっていたのです。

 それ以外は何も取られていなかった」



 その話を聞いた二人は真っ青になっている。

 自分たちも戻ったら殺されると理解したのだろう。

 私は素朴に思ったことをモデアさんに聞いた。



「なんで見てきたかのように知っているんですか?」


「私がこの情報を知ったのは亡くなった方と何度かお仕事をしたことがありましてね。信用できる人達だったので贔屓にしておりました。だから冒険者ギルドの職員の方が知らせてくれたのです。彼らが亡くなったと聞いたとき嘘だと思いました。無茶をするような人達ではありませんから。とてもまじめな方で起こった出来事を日記のようなメモに残す癖がありましてね。

 それを知っていたからきっと何か記録が残っているはずだと彼の荷物を漁らせてもらいました。


 そして彼のメモ見つけたのです。彼らに起こった出来事すべて書いてありました。最後のページには、

【これから報酬を取りにメモの場所へ行く。こんな後味の悪い仕事は二度とごめんだ。】

 でした。

 冒険者ギルドでも調査に動いてくれてはいるんですがね。決定的な証拠を見つけられず」


 こんなに細かく書かれたメモがあるならこれでミステイストを捕まえられるのでは?

 そんな疑問を投げかけたが、モデアさんは顔を歪めながら答えてくれた。


「このメモだけではミステイストを追い詰めることが出来ないのです。このメモは捏造されたものだと言われかねない。やつらが本来の目的としていることを証拠としておさえなければ」



 ミステイストと貴族の本来の目的……。



「先ほど話したとおり亡くなった彼らの身分証が無いと話しましたね。身分証の元になっている鉱石はその性質上商業ギルドが一任されておりまして冒険者ギルドにも卸しているんですけどギベハルコンは奴隷を扱うときにも使うのですよ」


 奴隷。平和な元の世界で聞くことの無かった単語。


「あまり好ましい話ではありませんが、奴隷市場と言うのがありましてそちらにも卸しております。情報を書き加えたギベハルコンを奴隷に傷をつけそこに埋め込むのです。それによって、奴隷は持ち主が誰かわかるようになっています。また逆らえば、身体が動けなくなる魔術も組み込まれます。そしてその貴族は奴隷を大量に集め、自分の趣味に使っているです」


 私の顔色があまりよくなかったのだろう。ユウトさんが心配してくれている。

 なおもモデアさんは続ける。


「奴隷自体は貴族が買うのはよくある話です、ただし奴隷市場で購入することが暗黙のルールなのです。奴隷を勝手に作るのは許されていません。私は奴隷市場の長に協力をしてもらい、あの貴族に売った奴隷の数を教えてもらいました。私は商業ギルドの長ですから珍しいものも扱っています。それをネタに奴の家に入りました。何か証拠になるようなものを探して。家中に奴隷がたくさん居ました。教えてもらった奴隷の数とあの貴族が保有している奴隷の数が合わないのです。つまり、購入履歴の無い奴隷を保有しているのです。この意味がわかりますか?」


「勝手に奴隷を作った……。」


「そうです。奴隷用のギベハルコンの加工には専門の技術が必要です。素人が簡単に出来ることではないのです。あの貴族にそれをするだけの技術は無い。」


「それだけでも十分な証拠じゃ……」


「それで捕らえられるのは貴族のみです。ミステイストまでたどり着けません」


 なんだが話が大きくなっていて、私が付いていけなくなってきた。


「我々商業ギルドが貴族だろうと一般に販売しないギベハルコンをあの貴族は入手しています。その元となっているのがミステイストです。冒険者を騙し身分証を奪い取る。そしてそれを加工できる人間が協力をしている。きっと貴族から金をもらっているのでしょう」



 なんかすごいことに巻き込まれてない?

 え、私はただ楽しくおいしいご飯をみんなで食べながら生活したいだけなのに。

 なんでこんなことになったの?

盗みにきた人達は嵌められていた。

ミステイストとぐるになって悪いことしてる貴族がいるよ。

冒険者の身分証は本来売り物じゃないけど、裏で売られてるっぽいよ。



そんな感じでしょうか。

早く解決してぇぇ。おいしいご飯食べさせてぇ!

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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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