23.おにぎり祭り
朝起きるとユウトさんは帰っていた。
爆睡してて帰ってきたことにも気付かないとは。
朝ごはんを食べながら、早速情報屋さんから仕入れた情報を私に共有してくれた。
現在シュウェーラの街にモデアさんがいるらしい。
この村はトーン村というんだけどシュウェーラの街まで普通に行くと約一か月ほどかかるらしい。
大まかな街までの順番を教えてもらった。
トーン村→お隣のシードゥ町→エクシー町→シュウェーラ街
この間モデアさんが来てくれてからだいぶ経っている。
今から軟禁してる二人をシュウェーラまで届けたとしてもそのころには、モデアさんがどこかに移動している可能性もある。
ど、どうしたら。
「情報屋にモデアさんにうちで起きた事件を伝えるように言っておいた。こちらに向かってくれとも言ってある。もう耳には入っているだろうから、この村に向かってくれているはず」
ユウトさんが有能すぎる。感謝。
とは言っても一か月もあの二人の世話もしなきゃいけないのかなぁ。村の警備の人に引渡していいかな?
「あと、おまけで教えてもらったがモデアってやつ王都の商業ギルドのトップの人間だそうだ」
商人やってる人は皆モデアさんを知ってるんだろうな。だからミステイストの顔色が変わったのか。
うわぁそんな人がこの間スカウトしてきたってこと?
しかもあのときモデアさんが拠点としてる街って言ってたよね?
それって王都って意味だったのかな?
ひぇぇぇ断っといてよかった。いきなり王都で商売とか無理ぃ。
「ギルドのトップには特別なアイテムが支給されているらしくてな、それでここまで来るのにそんなに時間かからないらしいぞ」
え、ここまでモデアさんが来てくれるの?
ありがたいけどどれぐらいで来てくれるんだろう。
とりあえず早めに来てくれますように!!
ユウトさんは軟禁してる二人の世話をしに物置に向かって行った。
モデアさんに相談して、ミステイストにどういう裁きを受けてもらうか。
むしろどんなことが出来るんだろう。商業ギルドのトップかぁ……。
あ、今日はのんびりしてる場合じゃなかった、臨時営業するんだ!看板書き変えなきゃ。
新しく出す予定の3つのおにぎりをユウトさんに確認する。
・鮭
・明太子
・鶏五目
だそうだ。
おいしいよねぇ!鮭!みんなも気に入ってくれるといいなぁ。
おにぎりシリーズは二つで一品の提供だから、もしかするとみんなでおにぎり交換会とかあるかな!
楽しそうかも交流の話題にもなるし。
・・・でも普通の鮭と明太子は見た目海苔でくるまれてて一緒だから分かりにくいかな?
写真のアルバムを開きジャンル検索でおにぎりを選択。
そうこの世界に来てからこのスマホ少しだけ仕様変更されていて、写真アルバムに検索機能やソート機能・ジャンル別検索というのが出来るようになっている。
そしてこのスマホ、ネットが繋がらない。
しょんぼり。
おにぎり類が出てきた。
各コンビニで同じ鮭でもおにぎりの形が違ったりするから、鮭をすでに海苔で巻かれてるやつ。
明太子を海苔をあとで巻くやつにしよう。
そしたら見た目も違って交換しやすいよね。
まぁ交換する人居るかどうか知らないけど。
急いで看板を変えた。
ユウトさんがまだお世話から戻ってきてないので、看板を自分で外に持って行く。
玄関を開けてびっくり。
それはそれは訓練されてきれいに並んでいる人たち。
みんな常連だけあって勝手がわかってるからこそこんなにきれいに並んでいるんだと思う。
そして、初めての人と思われる人にも親切に最後尾ここだよぉ~と案内まで周りがしている。
こ、コミケか!!
ユウトさんの今まで努力でこんなきれいな列が・・・もうある意味軍隊かもしれない。
看板をいつもの場所に設置してるとみんなから挨拶が飛んできた。
「おはよータミエちゃん!」
「タミエちゃーん、おはようぉ~新メニュー楽しみにしてるぜ!」
「みなさぁん、きれいに並んで待っててくださりありがとうございます!!頑張って作りますね!!」
・・・「「「おおおおおおおお!!」」」・・・
とても元気の良い返事が返ってきた。
よし、がんばるぞぉ!!
私の魔力がんばれ!!
オープンまでちょっと時間があるので、フライングで鮭・明太子・鶏五目を五名分ずつ召喚しておく。
そしてアイテムボックスへ収納。
オープンまで横になってじっとしておく、魔力を少しだけでも回復をさせよう作戦だ。
ユウトさんが二階から下りてきたので、何してるの?って聞かれる前に魔力回復させてますって言ったら笑われた。
な、なぜだ。解せぬ。
そしてオープンの少し前にユウトさんがそっと起こしてくれました。
優しすぎる。
さぁ張り切っておにぎり推します!
米よ広まれ!!
第一陣の皆さんは常連さんなのでみんな新商品を頼んできた。
一応、お魚の具が入ったやつ(鮭)、ピリ辛なぷちぷちした具が入ったやつ(明太子)、鶏肉と味付きご飯みたいな解説を付けておいた。
正直明太子の紹介には悩んだ。
魚卵って書いても馴染みなさそうだもんな~とか思って語彙力の無いまま書いてしまったんだよね。
そんな解説でみんなの割合は、
鮭5 明太子2 鶏五目8
うーん、やっぱりぷちぷちした具ってのがまずかったかな。
明太子も美味しいんだけどなぁ。
とりあえず注文されたものを持って行く。
みんな不思議そうな顔をしている。
「タミエちゃん、この黒いのは食べれるのかい?」
はっ!そうか、海苔ってみたことないから持つための紙みたいに思われたのか。
海苔はこの世界じゃ当たり前じゃないよね。
「食べれますよ、私は好きです。皆さんにも気にいってもらえると嬉しいです」
覚悟を決めたような顔をしてみんなかぶりつく。
鶏五目勢は、そりゃもうむしゃむしゃ食べてます。
鮭勢は、一口目で具にたどり着いた人はむしゃむしゃ、たどり着けなかった人はゆっくり食べている。
明太子は海苔が他二つと違ってパリッとしてるのでその感覚が楽しいのかわりともぐもぐのペースがいい。
やはり交換する人がいた。
「俺のとお前の一個交換しようぜ」
「いいぞ、ほれ」
それを見ていたほかの人も交換を始めた。
みんな明太子の割合低いからある意味レアな明太子食べた組はピリ辛さが癖になったらしく、次回頼むよと言っていた。
無難な鮭もよい塩加減がとてもいいらしいけど、一口目で具にたどり着けなかったりするのがちょっとマイナス点らしい。
圧倒的鶏五目の人気。
さぁ、どんどんお客さんに新商品試してもらうよぉ!!
見に来てくださりありがとうございます!!
唐突にアクセス解析が増えたのですが、どなたかが紹介でもしてくださったのでしょうか?
ありがとうございます( ;∀;)
頑張って早くスキルレベル上げてアレが召喚できるようになってほしいんです。
今私が食べたいもの。
そうアレです。(どれだよっ!)




