17.焼きおにぎりの前に不穏の影
子供達と遊んでいたら、日も傾きいい時間になりました。
そろそろ道具屋さんに向かいます。
道具屋さんに入ると私達がくるのを待ってました!!と言わんばかりの笑顔で出迎えてくれた。
「タミエちゃん、待たせたね!はいよ、俺の力作だ!」
そういって渡されたのは、確かに置き型の看板なんだけど、縁に装飾のされた凝った看板だった。
私はてっきりシンプルなものが来ると思っていたのに、こんなに可愛いきれいな装飾が付いてる看板・・・いったい幾らするのかしら。
最近多少稼げているとは言っても、びっくりするような値段言われたら払えないかもしれない。
「あ、ありがとうございます!とっても可愛いです!でも……こんなに素敵な装飾、すごく手間をかけて作ってもらったから、それなりのお値段だと思うんですけど私払いきれるかどうか。分割払いとかやってますか?」
「ははは、何言ってるんだ!その装飾は俺がタミエちゃんに頼まれてもいないのに勝手にやっただけのことよ。看板代だけでいいぜ!なんていったって俺の作った看板を使ってもらえるだけでもありがたいってもんよ!!ははは!」
かなり上機嫌のおじさん。
え、そんな私のお店の看板におじさんの道具屋さんを宣伝できるほどの効果は期待できないんですけど。
とにかく言われた代金を支払ってアイテムボックスに収納してお家に帰ろうとしたら、ユウトさんが看板を持ち運んで先にお店を出てしまった。
感謝を伝えて、ユウトさんを追いかける。
店を出た先で看板を脇に抱えたまま待っていてくれている。
「お待たせしました。あの、重くないですか?アイテムボックスに収納……」
それを遮るようにユウトさんはやさしく言った。
「あとで説明するから帰ろう」
何か事情があるみたいだ。
わかりましたと、そのまま家に帰った。
看板はとりあえず玄関に置いて、リビングで休む。
私はお茶を用意してリビングに向かった。
「タミエさんさっきは何も説明せずにすまない。アイテムボックスについて、いままで注意するのを忘れていた。俺達は転移して女神からチートもどきの力をもらっている、アイテムボックスもそのうちの一つなんだ。魔法を使えるやつはいるけどアイテムボックスを持っているのはたぶん、俺とタミエさんだけだ」
ファンタジー世界ならアイテムボックスなんて割と普通のことなのかと思っていたらそうでもなかった。
そりゃスマホが出せる自分の能力は他の人には無い能力って分かるけど、まさかアイテムボックスも他の人には無い能力だったなんて。
「だから、ほかの人に見られるとマズイんだ。便利すぎるだろ?商人たちが執拗に交渉しにくるだけならまだいいが、タミエさんの場合誘拐されかねない。だから、アイテムボックスは俺の家の中だけにしてくれ」
誘拐・・・物騒な単語が出てきた。
よかった、いつも買い物がユウトさんと一緒で。一人で買い物してたら絶対アイテムボックス使っていたと思う。そういえば初めて村に買い物に行った時も荷物をほとんどユウトさんが持ってくれたな。
「俺はそれを知らなくて、はじめて着いた村で道中に倒した魔物の死骸を冒険者ギルドで出したら、ギルマスに呼び出しを食らったからな。情報は回るのが早いから、採集依頼とか、商人から金払うから大量の荷物を持ってくれとか、面倒なやつらにめちゃくちゃ絡まれた。タミエさんにはそうなってほしくない。」
おおぅこの世界の常識を知らないと厄介事に巻き込まれそう。
いつかユウトさんに恩返しした後は自立してどこかで飲食店でもって思ったけど、しばらく無理そうだぞ。
「これからも気付いた時にいろいろ伝えていくな」
「ありがとうございます。よろしくおねがいします」
さぁいよいよ明日は新商品の焼きおにぎりお試しの日。
明日は勝つぞ~の意味を込めて、今日の夜ごはんはかつ丼。
ご飯を食べ終わったら、せっかく作ってもらった看板に新メニューのことを書かなければとウキウキしていたところに、食べ途中のユウトさんが突然がばっと立ち上がり玄関に向かっていった。
特にドアを叩かれる音もしなかったけど?
まぁ、私が出て行ったところで何もできないだろうから、もくもくとご飯を終わらせて看板作業するぞぉ~!
もうそろそろ食べ終わりそうなところでユウトさんが険しい顔しながら戻ってきた。
「どうかしたんですか?」
「ちょっと厄介な事が起きているみたいでな、俺も行かなければいけないようでな」
そういうと、残っていたかつ丼を飲み物のように口に入れていく。
ちゃんと噛まないと体に悪いんですよ?って注意したかったけど、深刻なオーラがそれをさせてくれなかった。
「タミエさん悪い。俺はこれから魔物を討伐しに行かなければいけないんだ。明日の朝までには帰る。俺が居られないせいで変なやつが来たりした時に守れないから、タミエさんには悪いんだが今日はこのまま自分の部屋にこもってくれ。頼む」
あまりにも真剣な物言いに事の深刻さが表れていてうなずくことしかできなかった。
作業をするために看板を自分の部屋持っていこうとしたら、重いだろ?とユウトさんが運んでくれた。
部屋に看板置くときや部屋から出るときに何かを警戒しているユウトさん。
え?な、何事?
「俺が気にし過ぎているだけであってほしいが、念のために魔法をかけてから行く。俺以外のやつが来たら絶対開けないでくれ。話しかけられても無視していい」
えええええええええ!何が来るのぉぉぉぉぉ!
だって魔物退治に行くだけでしょ?なんでうちに人が来るかもしれないの?
ど、どういうこと?
ドアを閉じたユウトさんは魔法を唱えたみたいでドアが薄らと一瞬光り、外から「行ってくる」と言ってユウトさんの足音が遠ざかって行く。
……考えてもわからないので、看板作りながらユウトさんの帰りを待とう。
嬉しいです。
沢山の方に見ていただけているんだなというのがアクセス解析というのでわかるんですね。
ブックマークや評価、感想までいただけて幸せ者です^ω^
あんまり関係ないですけど、好きになった食べ物って割と毎日でもそこまで飽きずに食べれます。
だからユウトさんの毎日ハンバーガーとかちょっと気持ちわかるんですよね。
毎日カレーとか好きです。




