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15.休日だからこその交流

 お店を出たところでユウトさんは待っていてくれた。


 今お金を渡そうとしても絶対受け取ってもらえないだろうから、今回はありがたくご馳走してもらうけど、次回絶対ユウトさんを奢るぞ!!


 さて夕方までにはもう少し時間があるからどうしようかな。

 そこまで大きな村じゃないからお店は見つくしてしまった。


 とりあえずユウトさんのあとをついて歩くことにした。


 たどり着いたのは、村の一角にある小さな公園のようなところ。

 低い木造の滑り台と屋根のあるベンチがいくつかある。



 そこでは村の子供たちが楽しそうに列をなして滑り台で遊んでいて、親と思われる人たちはベンチで話に花を咲かせていた。



 空いているベンチに座り、遊ぶ子供たちをユウトさんが穏やかに眺めていた。


「ここは、俺と村の人たちで作った場所なんだ。まだこの村に来たばっかりの俺は冒険者と同じ魔物退治ぐらいしか出来なくてさ」


 思い出したかのように話し始めたユウトさん。


「でも、魔物退治なんて今までこの世界に来てから飽きるほどやってきて、それが嫌で魔物がすくない穏やかなこの場所に移動してきた。やりたいこともなくてただ魔物退治以外のことしたいなって漠然と考えて。その当時はまだオミの栽培もはじめてなくてな、俺は魔物退治以外使えない奴だった」


 ちょっと言いにくそうにしながらも、私に何かを伝えようとしているのは感じる。


「他に出来ることなんだろうなって色々考えてあるとき気付いたんだ。この村なら俺の現代の知識を使って何かしてもそこまで騒ぎにならないんじゃないかって。

 そうして元の世界の俺でも出来そうなこと、それを考え始めてたときに村の子供たちに気付かせてもらったんだ。

 娯楽の少ないこの世界で俺は公園を見たことがなかった。いや、正確に言うと遊具のある公園を見たことがないってな。花壇や噴水のあるきれいな公園はこの世界にもあったが、子供たちの遊べる場所って意味の公園を見たことなくてさ」


 熱の入った語りに私はただ小さく頷きながら耳を傾けていた。


「そこからは村の人に話を持ち掛けて協力してくれる人を探して、村から離れていない場所に新たに子供達が動き回れるだけの広場を作り始めた。この世界は割と手の空いた時間なら、無償でも面白そうなら協力してくれる人が多くてさ。本当に助かった。

 皆俺のアイディアにすごく興味を持ってくれて、建築スキルのある人に頼んで屋根付きのベンチや、滑り台を作ってもらった。

 そうやって俺は村のみんなと仲良くなりながらこの公園を完成させたんだ」



 どうして急にユウトさんの過去の話をしてくれているんだろう。

 私にはまだ何を伝えようとしてくれているのかわからない。


「完成をみんなで喜んで、出来上がった遊具で子供達も喜んでくれて、戦うしか能の無かった俺でも誰かを笑顔に出来るんだって自信を少し持つことができたんだ。だから……」


 いままで公園に視線がいっていたのに、私に向きあい目をまっすぐに見つめてきた。


「俺の家をタミエさんにとって誰かを笑顔に出来る始まりの場所にして欲しいな……と思って」


 しっかり目を見つめながら、それでいてすこしユウトさんの頬が赤くなっている気がする。


 過去の話って自分の不出来なところを含めて話さなきゃいけないから、恥ずかしいのかな?

 気にする必要ないのに。

 ユウトさんと村の人たちとの関係をいままで見てきて何も恥じるようなことはないと思う。

 私もユウトさんを見習って、現代の知識という名の料理召喚で村のみんなをもっと笑顔に出来るように頑張ろう。


 そうか!いままでの話は私を励ましてくれてたのか!

 新商品とかいろいろ相談させてもらってるし、私が不安がっているんじゃないかって思って。

 本当にユウトさん優しいなぁ~。


「ありがとうございます!私、これからもユウトさんのお家でお店頑張らせてもらいます!!」


 何故か少しがっかりしたような素振りをされたけど、いっぱいお話しして疲れちゃったのかな?

 それじゃあユウトさんにはここで少し休んでもらって、私はせっかくだからユウトさんと村の皆さんで作ったこの公園を楽しもう。低いけどあの滑り台かわいいと思っていたんです。

 私も子供たちの中に混ざって一回ぐらい滑ってもいいよね?



 滑り台を一回だけ滑ってきますと、ユウトさんに告げて子供たちの列に入っていく。

 子供たちからは、「ユウトおじさんの彼女?」って質問を受けたけど、「恩人だよ~」と返しておく。

 実際私からしても恩人だもの、お家や食事をご馳走してもらったりしてるからね。


 逆に私からも質問をして、子供たちにとっておやつが何か?とかおすすめの飲み物とかを教えてもらったりした。


 せっかく仲良くなったし、いつか子供達にも料理召喚の食べ物食べてもらいたいな。

 昔の駄菓子屋さんみたいな感じでドーナツとか小さく切ってちょっと安めに販売とか。


 まぁ、子供たちはお金持ってないだろうから、労働力の報酬とかの方がいいか。



 それにしても今日はいっぱい村の人とゆっくり交流出来てよかったなぁ。

 看板作る為に村に来たけど、とくに理由が無くても今後村に行こうかな。



 このとき私はユウトさんの気も知らないではしゃいでいた。

どこからこの辺境の小説を皆様見つけてくださっているのでしょう?

本当にいつもありがとうございます!!>ω<


なんだか地震とか増えてて怖いですね。

防災用品揃えないとなって思ってます。


次回はユウトさん視点になります。

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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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