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123.ピクニック

 普段お世話になっているユウトさんのお悩みを解決すべくどこかについて行くことになった。

 その前日、私が意気込みすぎていたみたいで


「そんなに気負わなくていいピクニックに行くようなもんだ」


 と言われた。


 勇者の力を持つユウトさんの問題が何なのかわからないけど、私が解決できることなんてご飯ぐらいしかないわけで、そんな私に一緒に来て欲しいというのだから少なくとも戦闘に関することではないのは分かる。

 もし戦闘に関することならゴザレスさんやトゥイさんに頼るはずだもんね。


 ピクニックに行くのならそれらしい雰囲気のものを用意しようと当日の朝早く起きて準備をした。

 自分に出来ることなんて料理召喚しかないのだから、それを思う存分に活用した。

 出先で料理召喚が出来るかどうかわからないから先に出しておけばいいのだ。


 外で食べるお弁当といえばおにぎりとかサンドイッチとかあとはやはりお肉が欲しくなるはず、そう思い割と茶色い食材が多めのお弁当になってしまい、彩りで何かないかと探し卵焼きを召喚した。

 この卵焼きはお寿司屋さんの出汁巻タマゴだ。


 本当は卵焼き専門店のお店の卵焼きが良かったんだけど、レベルが足りないときた。

 和三盆を使ったほんのりと甘い卵焼きで、受注を受けてから作られるそれは本当に美味しいのでユウトさんにも食べてもらいたかったが私の力不足なので諦めるしかなかった。


 当日になり挨拶を交わしたのだが、何故かユウトさんが緊張しているみたいで挨拶がどもっていた。

 テレポートもさらりとエスコートされることに慣れていつも通り歪んでいく視界とふわりとする感覚に身をゆだねた。


 テレポートした先は見たことのないぐらい美しい景色が広がっていた。

 対岸までが遠く大きな湖、そして湖を囲うように桜色の葉を生い茂らせるマングローブのような木。

 しかも湖の水が桜色をしている。

 その色がわかるのもこの辺の土が白っぽい灰色をしているからだろう。キラキラと輝く水面は桜色の湖の神秘さをより際立たせている。

 元の世界では絶対に見ることのできない淡く美しい景色に目を奪われ、他の何も考えられなくなった。


 トゥイさんとマァルさんの紅葉した景色も美しかったけど、今目の前に広がる淡く華やかな景色は一生見続けていられそうだ。


 どれぐらいこの景色を見ていたかわからないけど、ふと頭の上を何かが覆いサワサワと動いていることに気が付いた。

 そんなわけがないと思いつつも少し首を動かすとユウトさんの手が私の頭の上にあるのがわかった。ユウトさんは片手で顔を押さえてまるで笑うのを堪えるような感じになっている。ひと撫でするだけで笑うようなことは起こりえない。

 私はいつからなでられていたの!?


 嘘、うわっ恥ずかしい!景色に見惚れすぎてもしや撫でられてたことに気付いてなかった!?恐る恐るユウトさんに声をかければ、案の定な回答が来た。


「やっと気づいたな。声をかけたり目の前で手を振ったりしたんだが、反応が無かったからそんなにここの景色を気にってくれてありがとうな。来たかいがあったよ」


 やっぱり!ユウトさんは声をかけたり色々と私が気付くようにしてくれてたのに私が無反応だったからしかたなく撫でてたんだ!!

 優しく微笑んでくれてるけど、きっと世話の焼ける部下だと思われてるに違いない。


 非常に恥ずかしい!ばかばか!今日はユウトさんの悩みを解決しに来てるのに何してるの私!それに・・・撫でられて不快に感じることなくむしろ嬉しく感じてしまうなんて。

 ユウトさんに撫でられていた頭がすごく熱く感じるのはきっと恥ずかしさが限界突破したから・・・だよね。


 あまりのことに俯くしか出来なかった。


 ユウトさんは湖のほとりに用意してあったボートへと私を案内した。きっと悩み解決にはこの湖を渡ってどこかに向かうんだろう。

 エスコートされるままボートに乗り特に現段階で何か出来るわけではないのでゆっくりと過ぎ行く桜色の景色を堪能させてもらった。


 どこかに向かうと思っていたが、湖を一周すると真ん中にあった陸地に行くことになった。


「タミエさんここで飯食べないか?」


 確かにこの景色を見ながらのご飯は楽しそうだと思いユウトさんの案に従いご飯の準備をした。

 花見のような感じだ。実際は葉っぱなんだけど。確かにユウトさんの言う通りピクニックみたいな感じだと思った。


 まぁ、腹が減っては戦は出来ぬと言うし、本チャンのお悩み解決はきっとこの後ってとだよね。


 作ってきたお弁当を嬉々として食べてくれるのは嬉しい。

 お腹が満たされたことで少し食休みと言ってユウトさんはゴロンと横になった。

 こんな幻想的な場所でゆったりと横になるって言うのは中々出来ることではないし私一人で来ることも叶わないので私も横になった。


 真正面にはきれいな青空が広がり視界の端には薄ピンクが映る。

 水色と薄ピンクの優しい色合い。また意識が持って行かれないようにしっかりと問題解決を念頭に置いておく。


 ユウトさんは何気なく疲れた時はここにきて休んでいると言った。

 魔王討伐が完了した今でもこうやって何かに疲れたら来ているのであろう。

 ユウトさんの悩みが少しでも解決に向かうように私も頑張るぞ!


 私はいつでも話を聞く準備が出来ているのでその意味も込めて


「こんなに素敵な景色が見れるなんて思いませんでした。本当今日は来れてよかったです。悩みごとなんてあっという間に解決しちゃいそうですね」


 と言ったらユウトさんは少し動揺していた。まだ心の準備が出来てないのかもしれない。

 急かすのは良くないからしばらく黙って景色を眺めていた。


ひゃあ!評価ありがとうございます!!


お勉強に恋愛ものを読んだりしたのですけど、書ける作家さん達は本当にすごい。

尊敬しかない。



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●●短編書いてみました。●●
お時間あったら是非どうぞ。

四十肩賢者のダークトランス
……ダークトランスとか厨二感溢れてる気がする。
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