122.薄ピンクの湖
ユウト視点
隣にいるタミエさんを見れば目をまんまると開き固まっていた。まぁそうなるよな。
そもそも土地柄なのかここは土が白っぽい灰色をしており、その上にこの桜色のマングローブみたいな木が生えていて色合いが淡く美しい。
湖も透明度があり湖の下にはその白っぽい灰色の土がみえる為薄ピンク色の水が際立つ。
タミエさんが一面に広がる桜色の景色に見惚れている間に俺は湖のほとりにボートを浮かべた。
ここ数日別に魔物を狩っていただけじゃない。ボートも用意しておいた。
ちゃんとした船を作る技術は俺にないからでっかい幹した木を適当な大きさに切って人が二人分入れる分のスペースを削り取っただけの簡易版だ。
まぁ見た目二人乗りのカヌーみたいな感じだな。もちろんちゃんと沈まないかテスト済みだ。
未だに固まっているタミエさんを正気に戻すべく、普通に声をかけたがそれだけじゃ戻ってこなかった。
今何も聞こえてないみたいだから「好きだ」とか練習してみるか?と思ったがやめた。
大事な言葉はここぞって時に取っておくのだ。
決して怯んだわけじゃない。断じて違う・・・うん。
タミエさんの肩を軽くトントンと叩いてみたが、この景色に見惚れてこっちに気付いてくれない。
ここまで感動してくれるのは連れてきて正解だったと思う反面、少し俺を気にして欲しいと思ってしまう。俺は景色に負けているってことか?
・・・地味にダメージが。
なんとかこっちに気を向けてもらおうと、目の前で手を振ったりして視界を妨げたのに反応が無い。
え?気絶してる?今なら何しても気付かれないのか?やってみたかったことやっていいのか?
と言っても今の俺に出来ることなんてたかが知れている。
そっとタミエさんの頭の上に片手を置き、なでなでした。
ふぁぁぁぁ!やわらかぁぁぁ!
思わずにやけてしまった顔を空いているもう片方の手で隠し、タミエさんに触れるという俺の欲を満たしていた。顔が熱い。ヤバい、このまま気付かれないなら後ろからか、軽めに抱き着いても怒られないんじゃないか?
そんな不純な思いを抱きながら頭をなで続けていた。
ちょっと妄想タイムに入っていて、なでていた頭が動いたことに反応が遅れた
「・・・ユウトさん?」
!?
ああああああああ!なでてるのバレた!片手で顔を隠していたとは言えさすがにこれはタミエさんに引かれる!?
いや、頑張れ俺、大人の余裕を見せるんだ!
「やっと気づいたな。声をかけたり目の前で手を振ったりしたんだが、反応が無かったからそんなにここの景色を気に入ってくれてありがとうな。来たかいがあったよ」
タミエさんと目を合わせにっこりと微笑んだが、ぎこちなくなっていないか心配だ。
そんなタミエさんの反応は俺の渾身の笑顔を見て俯いてしまった。
え、耳赤くなってる、何その反応・・・反則だろ。
俺は自分の理性と戦い抱きつこうとする衝動をなんとか抑えた。
今はまだその時ではない、そう自分に言い聞かせて。
そんなタミエさんを俺は先導し先ほど用意したボートのところへ連れてきた。
つい今しがたあんなことがあったのに二人乗りボートは露骨だろうか?
いや、しかしベタだろうと何だろうと俺はタミエさんと湖でボートに乗るんだ!
タミエさんの手をとりボートへとエスコートする。
俺はゆっくりと漕ぎはじめた。
湖の真ん中には小さな島というには小さすぎるんだが陸地が少しある。そこで昼食を計画しているのだ。陸地の周りを一周して上陸予定。
風もなくボートを漕ぐにはいい日だ。タミエさんはゆっくりと過ぎゆく桜色の景色を楽しんでくれているみたいだ。
ようやく一周して湖中央の陸地に上陸した。
「タミエさんここで飯食べないか?」
「いいですね、準備します」
俺もアイテムボックスから敷くものを出し、タミエさんがカバンから手拭きや色々用意してくれていた。
てっきりご飯はこの場料理召喚するかと思ったら大きなお弁当箱をカバンから取り出した。
「なんかピクニックみたいな感じだと聞いていたので、気分が出るようにお弁当用意してみました」
そういって笑うタミエさんはマジ天使。
何それ、だからそういうの反則だからな?
頑張れよ俺の理性!
お弁当箱を開けるとおにぎりに、卵焼き、タコさんウインナー(赤くない)、唐揚げとなんというかお弁当の定番がキレイに詰め込まれていた。
取り分け皿に適当によそってこちらに渡してくれるこの優しさ。
惚れてまうやろ~!って惚れてたわ。
楽しく昼食を終え片づけを済ますと、食休みと休憩を兼ねてゴロンと転がった。
タミエさんも真似てコロンと転がる。と、隣にタミエさんが横たわっている!!
変に意識してしまうので、空を見上げ何気ない会話をする。
「時々疲れた時ここに来るんだ。なんか癒されるっていうか、ほら浄化される気がしないか?」
すこし嘘をついた。癒される気がするのは本当だけど、この数年ここに来ることはなかった。
あの村、いや町になったあの場所でストレスのたまるようなことなんて起こらない。これと言って危ないモンスターもそんな出ないし、みんなで農作業をしながら和気あいあいと楽しくやっている村だ。
戦いを終えた俺にはあの町で十分ゆったりと暮らせている。
空を見上げながらしゃべる俺にタミエさんは同意してくれた。
「こんなに素敵な景色が見れるなんて思いませんでした。本当今日は来れてよかったです。悩みごとなんてあっという間に解決しちゃいそうですね」
その言葉に俺はドキリとした。
俺の悩みごと、タミエさんへの告白はまだこれからなのだ。
ブクマありがとうございます!!( ;∀;)
すみません、誰か私に恋愛脳をください。
もしくは恋愛表現の為の語彙力を・・・。
告白はいつできるのか。




