107.ピエニエルフの村
あれから数日後、準備が終わったトゥイさんが連絡をくれた。
「次の営業日の翌日にお願いしていい?」
こちらはいつでも準備万端なのでお任せしますとも、ただ・・・。
「あの、どれぐらいで戻ってこられますか?もし長引くようなら看板にしばらくいませんって書いておきたいんですけど」
「あぁそうだよね。う~んたぶん二日あれば平気だと思うんだけど、念のため三日間ぐらいと見積もってもらってもいいかな?」
「わかりました。じゃあ次の営業日のあと看板書き換えておきますね」
「手間をかけてごめんね」
トゥイさんとマァルさんの為だもの全然気にしなくていいのに。
それにしてもピエニエルフの村かぁどんなところなんだろう。
当日、私の家に集合して出発となった。
事前の打ち合わせで、村に着いたらトゥイさんのことを呼び捨てにしなければならなくなった。
一応恋人という設定上納得はしたが、トゥイさんは私のことをハニーって呼ぶねとかわいらしく言われたんだけど、呼ばれて返事が出来るか不安だ。
ユウトさんのテレポートを使いトゥイさん達の村付近まで一気に移動した。
目に入った景色は青々とした木々や草木が生い茂る普通の森だった。
そこから、トゥイさんとマァルさんが先導してくれるので後をついて行く。
進んでいくとあるところで二人が立ち止まった。一見何の変哲もない私の身長ぐらいの岩にトゥイさんが手を触れて何かを唱えると一部の空間がぐにゃりと歪んだ。
「こっちだよ」
マァルさんが手招きしてからぐにゃりと歪んだ先に進んでいき私とユウトさんもそのあとを追う。
すると驚きの光景が広がっていた。
さっきまで普通の森だったはずなのに、見えるところ全て木々の葉が赤やオレンジ、黄色といったまるで紅葉しているかのような状態。それが、ずっと奥まで広がっている。
さらに、ひときわ目立つ一本の木。通常の木の倍以上の大きさでしかも葉が黄金に輝いている。あんなに背が高い木なのに外から見えなかったなんて結界か何かで守られた村かぁ。さすが異世界!
「どうかな僕らの村は」
後ろにいたトゥイさんに話しかけられるまであまりの美しさに固まってしまっていた。
元の世界でも紅葉は見てきたけどこれほど美しいのは初めてだ。私の表情を見て満足げな笑みを浮かべるトゥイさん。
「良かった。さぁ、行こうハニー」
あ、そうだった、観光に来たわけじゃなかった。ここにはトゥイさんの恋人のふりをしに来たんだった。
トゥイさんに手を握られ、村の中を進んでいく。
すると正面から二人の男の子が走ってやってきた。
「トゥイ!ようやく戻ってきてくれたんだな!」
「長もずっとお前の心配してたんだぞ!」
親し気に話しかけてきた二人に対し、トゥイさんは何も言わず貼り付けた笑顔だけで答えていた。
ふと彼らは後ろにいたマァルさんを見るや不快そうな顔をした。
「・・・ふん、落ちこぼれもたまには役に立つんだな」
とボソッと呟いた。
本人を目の前に普通に暴言を吐いてきた彼らに苛立ちを覚え、言い返そうと思ったら真っ先にトゥイさんが動いた。
相手の胸倉を掴み顔を近づけて
「ごめんよく聞こえなかったなぁ、僕耳が悪くなったのかも。ねぇもう一回言ってもらえる?」
と凄むと相手は真っ青になった。
「な、なにも言ってなっ・・・ぐっ」
乱暴に相手を突き飛ばした。
「あっそう?僕の勘違いか」
こんな環境でマァルさんは過ごしていたの?想像するだけで辛くなってくる。良くグレずに居られたね。今めっちゃマァルさんをなでなでしたいし可能ならハグしてあげたい。セクハラって言われるかな。
彼らをおいて再びトゥイさんは村を進んでいく。
その間も周囲の人達はトゥイさんの帰還に喜ぶ声とマァルさんに侮蔑の態度をとっていた。
二人の故郷を悪く言うのは申し訳ないけど、こんな村さっさと出て行った方がいい。
マァルさんはもう仕事も覚えたしうちの町で暮らした方がいいよ!
そうこうしてるうちにトゥイさんは一軒の家の前で立ち止まった。
「ここが僕らの家だよ。ちょっと待っててね」
そう言ってマァルさんと二人で家の中に入っていた。
玄関先でユウトさんと待っている間、この村人達のマァルさんに対する態度についてやっぱりユウトさんも思うところがあるらしく、二人でうんうん唸っていた。
マァルさんはお店で働きたいって言っていたから村から出る気はあるんだよね。
トゥイさんが族長になる・ならない問題が解決したら町に来てくれるかな。
まずは目先のトゥイさんの問題解決の為に私が出来ることをしないとね!
読みに来てくださり本当に本当にありがとうございます!!
眠くて眠くて、見直ししたんですけど誤字があったらごめんなさい;つД`)
(なう4:52)




