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24.全自動はお好きですか


 例の事件があった翌日、教室は不思議なくらいいつもと同じだった。教室の隅で男子生徒が一人孤立していることを除けば。


「ヴァレッド……」


 とりまきどころか話しかける者は誰もおらず、まるでそこに誰もいないかのようにみんなが振舞っている。一見するとイジメのようだ。それだけこの『独占』の能力が強力だったという事かもしれない。


「ちっ」


 僕達と目が合うとヴァレッドが気まずそうに視線を反らした。昨日が昨日だっただけに仕方ないといえば仕方ない。出来ることならもう極力関わらないのがベストな選択ではあるんだけど……


「森田さん、ほら作戦。やるんでしょ」


 今の僕には一応避けては通れない事情がある。


「ご、ごきげんよう。ヴァレッドさん」

「……」


 無視。

 視線は完全に窓の外だ。


「貴方にお願いがあるんだけどいいかし……」

「やだね」


 今度は即答。


「なんで俺がお前のお願いを聞かなきゃいけないんだ?」


 ええ、ごもっともで。

 昨日の僕が『独占』のスキルを使ったことは彼には理解出来ないはずだが、それでも何か感じるところがあるのか妙にとげとげしい。


「まあまあそんな事言わずに。ヴァレッド君は森田さんを受け入れたんでしょ?」

「……」


 由宇さんの会話でも応答せず。これは無理かもしれない。


「ねえ、ヴァレッド君よ」

「……らない」

「?」

「今は、気分が乗らない!」


 ドンっと机を叩き突如立ち上がる。

 フェルミーがすかさず間に入り、僕達を守るような形になった。


「大丈夫ですか、お嬢様」

「え、ええ」


 びっくりした。殴られるかと思った。

 今は話をするのは無理そうだ。


「じゃ、じゃあ気が向いたら話を聞いてもらえると嬉しいわ」


 そう言って僕達はヴァレッドの席を離れた。


===


「由宇さん、やっぱり無理ですよ。ヴァレッドに協力して貰うなんて」


 フェルミーは今日もまたシオン先生の手伝いがあると言って席をはずしてしまった。残った僕達は昨日の話の続きを始めた。


「そりゃあ『魅了』で今度は『テストを不正なく受ける』ってのを生徒全員に徹底してもらえれば問題は一発で解決しますけど、当の本人があんなんじゃ……」

「うーん、親愛度が足りないか。さすが『学園の王子様』、攻略が難しい」

「何言ってんですか。そんなことより一つ目の作戦が失敗したんですよ」


 昨日の由宇さんが考えた『テストを不正なく行うようにする作戦』には2種類あった。一つは今のヴァレッドの能力を使って、生徒の認識を書き換える方法。


「いい加減、残るもう一つの作戦を教えて下さい」

「うん、それね」


 昨日聞いていなかったもう一つの作戦。それが一体なんなのか。僕は彼女の答えを待った。


「簡単だよ。魅了じゃなくて、直接森田さんがみんなにお願いするの」

「え」


 それだけ?

 なんかもっと奇をてらったような大掛かりなどんでん返し作戦があるんじゃなくて?


「それだけ……ですか?」

「うん、それだけ」


 まさかもう一つの手段が単なる自力。物理実行。


「だから本当はヴァレッド君に協力して貰うのが一番楽だったんだけどね」

「そうですね。今ようやく同意しました」


 そりゃ手動より全自動の方がいいよな。現代を生きる僕のような若者にとっては特にさ。


「まーまー元気出して頑張ろう。ゴールまであと少し。えいえいおー」

「えいえい……おー」


 なんとかしてやろうじゃないの。

 テストまであと一週間。


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