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放課後HEROES-children of the twilight-  作者: いでっち51号
最終章「革命前夜に笑え」
14/15

最終幕ー前編ー

 2016年12月27日。年末も近づく寒い日の夜。2人の女子がPCを囲みながらワイワイと賑わう。画面に映っているのはYoutubeだ。その動画に映っているのは料理番組もどきの動画番組だ。伊達賢一と江川悟が高木玲を挟んでカメラに何かを話しながら料理を作っている。3人とも可愛らしいエプロンを身につけていた。これだけでも面白いのだが再生数は伸び悩んでいた。



「だぁ〜もうっ、ダテッチのヤツ、もっと面白いこと言えないのかよ?」



 村上邦子。通称ニーコは今年29歳になるコンビニのアルバイトを複数かけ持ちするフリーターだ。かつては悟と一緒にセブンイレブンの店員をしていたが、その時に文芸サークルの勧誘を受けて入部した。暴力的な嗜好を持つ彼女の作品はホラーファンをもゾッとさせるほどの刺激さに溢れていた。彼女の容姿もまた刺激的で至るところに入れ墨やピアスの装飾が施されていた。援助交際にのめりこんだ高校時代。金持ちとの不倫。それからも遊びほうけたツケが後々になってまわってきた。やがて彼女は空虚という名の絶望をその眼前に迎えることとなる。その時になって江川悟という男と出会ったのだ。絶望から這い上がった男。その男からの誘いには最初は乗り気でもなかったが、文芸の面白さにのめり込んでいくうちに気がつけばすっかり彼らの仲間となった。



「うん。でもこれはこれで良いじゃないかな? 美味しそうだよ?」

「ぐっさんは適当に優しいからそんなこと言えるの! 見なよこの再生数」

「今はまだこんなんで良いじゃない? 彼は段階があるって話していたのだし」

「ちぇっ……って、おい! そんなに顔を近づけるなよ!」

「ええ~だってニコチン可愛いもの~♡」

「やめろっ! 馬鹿!」



 本田恵美。通称ぐっさん。ニーコの顔へ必要以上に近寄ろうとして彼女の手で顔を押し返された彼女は花屋さんの店員だ。そして自他ともに認める同性愛者だ。彼女は玲の学生時代のアルバイトの同僚であり、その時は高校生でもあったことからサークルメンバーの中では最年少だ。玲とは実は文芸という趣味が合うことから個人的にずっと繋がっていた。もちろんそこにはただならぬ理由もあったのだが……。勿論玲からの勧誘に快く応じてサークルに入部した。最年少で特殊な人種にあたる自分を温かく迎え入れてくれた一人一人に彼女は感激した。そしてニーコ同様にすっかり仲間の一員となった。彼女の書く作品は同性愛に忠実なものばかりだ。男性同士の愛を描いた作品も数多く、一般に腐女子というそれだ。



 ぐっさんの電話が鳴る。



「お、電話だ。誰だろう?」

「た、助かった……」

「謙二郎だ! もう撮影が始まっているのかな?」

「え? 早くない?」

「もしもし? もう撮影終わったの?」

『いや、これから。悟さんが確認しろと頼むものやから』

「確認?」

『ああ、ちゃんとPCの前に座っているかどうかっていう……』

「座っているよ? どういう意味?」

『せやから、そこにニーコもいるかどうかっていう……』

「どういう意味?」

「ああ、ぐっさん、ちょっと電話替わって貰っていい?」

「え?」

「もしもし、ケムジン。私は逃げたりなんかしないよ。冗談を本気にするなってあのチビによく伝えておけよ。恵美も私たちの仲間だって」

『そうやな。ははっ! わるかった!』

「うっ……ニコチン……今の言葉……」

「え、ぐっさん、ちょっと待って……」

「愛しているよ!! 心の友よ~!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 ニーコの悲鳴とともに電話が切れた。



「?」



 サークルの撮影担当をするのは通称謙二郎あるいはケムジンこと桧山謙二郎だ。彼は賢一の高校時代の後輩にあたる人物だ。具体的に言えば図書部の後輩になる。元々は野球部に所属していたがいじめにあい、不本意に退部することとなった。しかしその後このままではいけないと思った彼は部員数1名の図書部に入部することとなる。そこで面倒見のよい賢一という先輩に出会えた。彼との付き合いは高校を卒業してからも続き、久しぶりの電話がサークルの勧誘だった。先輩から悟の話は耳にたこができるほど聞いていて、興味も持っていた。その運命に引きこまれるように彼は賢一達の仲間の一人となった。現在はIT系企業のエンジニアとして仕事に励んでいる。文芸に関してはマイペースだが、中学生時代までを過ごした大阪を舞台にしたヒューマンドラマを多く手掛けている。



「おい何だった?」

「いや何か悲鳴みたいなもんが聴こえてな……」

「悲鳴!? 大丈夫なのか!?」

「ああ、大丈夫や。腕力ならニーコの方があるに決まっとるわ」

「喧嘩しているのか!?」

「冗談の通じないやっちゃなぁ。俺が大丈夫言うたら大丈夫や。それより3人は準備万端なんか? こっちはいつでも撮影できるで」

「ああ、ちょっと確認してくる」



 小島英介。通称英介。彼は中学時代の3年間を賢一とともに過ごした賢一の旧友だ。大学時代を愛媛で過ごし、広島に還ってきた。数年前までは教員を目指して家庭教師の仕事をしながら勉学に励んでいた。だがそれもうまくいかず、すっかり治安の良くなった光明塾に入職した。ついでに玲の誘いで夕闇文芸団の一員にもなった。賢一と思わぬ形で邂逅することになるが、お喋りな賢一の姿に彼は同姓同名の別人だと暫く思っていたらしい。また彼は「真の教育改革を行う為には昔の考え方に現代人は立ち戻るべきだ」という保守的な思想に完全に染まっている男で、サークルメンバーからは現代の三島由紀夫だと揶揄されている。お陰様で冗談が全く通じない。作品もそのような作風になっていると想像してもらえればありがたい――

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