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メ-ル彼女は、異世界から。  作者: 天川 奏
異世界彼女オンライン
3/41

オンライン 【3】

 一体何なんだ……?

 と不思議に思いながら、登録したアドレスを見てニヤニヤしている自分がいる事は明らかだ。


 「……ところで」


 登録した電話帳に、オタクっぽい魔導士ちゃんの名前しか入っていないように見えるのは、俺の目が可笑しいからだろうか?

 俺はそんなに寂しい男なのかっ!

 

 「うぉおおおお~」


 と、か細い声を漏らす。

 母さんすら入っていなかったのだから。

 精神はボロボロだ。


 「ヤバイ」


 今年もヤバイ。

 また『クリぼっち』とか何たらぼっちに命名されて、悲しい非リア生活をするんだろ?

 やべぇ、これもう駄目だわ。


 ___ピロリンッ


 そんなときに、軽快な音を鳴らして、携帯のライトが光った。

 あの魔導士ちゃんからだ。


 『こんにちはっ!!』


 と、元気に送られてきたメール。


 『さっき振りだね~』


 と返信する。


 『はい! さっき振りですね!』


 ふむ。 楽しいな。

 貴重な体験かも知れない。

 ……悲しいな。


 「あぁ、そういえば」


 『さっきの魔導士が好きとか、そう言うわけじゃ無いって言ってたの、あれは何で?』


 このまま雑談をしたいと思う気持ちを抑え、本題に入る。

 メールを交換しようと言ってきたのも相手だし、これを話すために交換したのだろう。


 『ふぃしゃー!』


 ……ん?


 『え、何?』


 『魚って、美味しいですよね』


 『え? あ、うん、まぁ……』


 これ、はぐらかされてるヨネ?


 『あの、はぐらかしてません?』


 『……フィッシュ~?』


 『いや、魚に逃げないでいただきたい』


 オカシイ。

 ヤバイ。 俺、騙されたか?

 このチェリーな俺を上手く操ろうとしているのか!?


 ___ピロリンッ


 冷や汗がダラダラと流れるなか、また一件メールが届く。


 『あの、貴方のこと、何て呼べば良いですか?』


 あぁ……そうか。

 アバターのアカウント名も、本名じゃないしな。


 『本名は〔和泉(いずみ) (かなめ)〕だけど』


 『かっこいい名前だね! じゃあ、要くんって呼ぶよ‼』


 かっこいい……か?

 女の子に名前を褒められるって、良い気分だな。

 ……女の子……だよな?


 『おぅ……魔導士ちゃんの事は、何て呼べば良いの?』


 暫く返事が返って来なくなった。

 迷っているのか?

 その時に、また着信音が鳴る。

 

 『じゃあ、魔導士ちゃんで!』


 『わ、わかった』


 そのままかいっ。

 せっかく俺は本名を出したのに。

 名前もわかったところ(俺だけ本名を言うハメになった)で、本題の方に話を戻そうとすると、またメールの着信音が鳴ったのであった。

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