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spiral  作者: 高橋 零
第2章:ハジマル
8/18

2-3【貴之】

雨が降っている…

朝から気分が上がらない…



雨の月曜日だなんて、会社にいくのがより嫌になる。



地元に戻ってきて、本当に田舎の大変さを感じる。

早く車を買うお金を溜めなければ。



朝の出勤はバスを使う。



バス停には先に2人待っていた。

傘をさしながらバスを待つ。



携帯電話の着信音が鳴った。

画面には『上田貴之』の表示。



この前、電話番号を交換をしたが

電話がかかってくるのは初めてだったので

少し緊張しながら電話に出る。



「はい…」




「おはよう…、今電話しても大丈夫?」




「えっ?うん、大丈夫…、

   あっ、でもあと5分くらいでバスにのるから…」




「あっ、そうか…じゃあ、手短に話すけど…あのさ…」



どうも、言いにくそうな内容のようだ。



「うん、どうかした?」



「えっと、土曜日に会った後、美由紀の店に行ったんだ…

 あっ、えーと美由紀って今スナックで働いててさ、

 それで飲みに行ったんだよ」



「うん、純平に聞いたよ」



「でも…、美由紀居なくてさ…ママに聞いたら休みって

 言ってたんだよ」



「そうなんだ」



「それで、美由紀に電話したんだけど…電話繋がらなくって

 ママに美由紀が来たら連絡してくれって伝えて

 俺の電話番号教えたんだ」



「そう…」



「そうしたらさ、昨日の夜スナックのママから電話があって…」



「…… 」



「美由紀… 死んだらしい」




「えっ?!…」



「…今日、葬式なんだって」



理解が出来なかった。



突然そんな事を言われても。



理解なんか出来るわけがない。



「それで、その…葬式どうするかなって

 俺も突然の事で、あれなんだけど… 

 …もしもし?…もしもし…」



貴之の声は私には聞こえてこなかった。



頭の中が真っ白になり、何も考えられず、

私は俯くしかなかった。





「乗りますか?」



その声に顔を上げると、バスの運転手が私に問いかけてきていた。



一瞬にして現実に引き戻された。

「あっ、えっと…いえ…すみません…」



バスは扉を閉めると、私を残して発進した。

と同時に携帯電話の着信音が鳴る。


「はい…  」




「もしもし?大丈夫?ごめん…やっぱり電話でするような

 話じゃなかったよね… 」



「ごめんなさい…急にだったから…その… 」



「バス…もう来た?」



「うん…でも…乗らなかった…会社に行くような気分じゃ…」



「そうか…、あ…じゃあ俺、そっち行くよ」



「… … 」



「迎えにいくから、一緒にお葬式行こうか…」



「… … うん」



今の状態では何も考えられなかった、とりあえず返事をするのが

精いっぱいだった。


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