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プロローグ
その人物は自分の眼鏡を外し、そっと手でなぞった。その眼鏡は去年妹が誕生日にプレゼントでくれたものだ。
「絶対眼鏡の方が似合う!」
そんな妹の一言で半ば強引に作りに行かされた。
しかし、今はその妹はこの世にいない。
なぜ?という考えが頭のなかに始終よぎっていた。理解できない。妹がこの世をさらなければいけない理由がわからない。
その人物は眼鏡を自分の机に置き、部屋の扉を開けた。
すると目の前には見知らぬ男が立っていた。帽子で目元ははっきりと見えないが、30代ぐらいだろうか。
「君の妹の死の真相、明らかにしたくはないかい?」
その男は不敵な笑みを浮かべ、続けた。




