強化
なんとか日が変わる前に投稿できました。
修正点:種神の寿命があるという設定を消去いたしました。
「なっ、何を!?」
「すっ、すまぬ。加護を与えるには必要なのじゃ。嫌じゃったら本当にすまぬ・・・」
「何言ってんだ!嫌どころか嬉しかったくらい・・・あっ」
二人のあいだに気まずい沈黙が流れる。
「そ、そうだ!晩飯完成してるから食べないか?」
「そ、そうじゃの!そうしようぞ!」
しばらく食器の触れ合う音が響く。
「そういえばユート、加護は獲得できたかの?」
「あぁ、どんな効果なのか確認してみ・・・なんだこれ!?」
ステータスを確認すると、筋力値や防御力などのステータス全般がプロの冒険者ですら赤子に見えるほどの値になっていた。
因みにステータスには、レベルを始め各種能力やスキル及びその説明が記される。
ステータスはステータスと呟くだけで見ることができ、望めば他人に見せることもできる。
「ど、どうかしたのかの?」
可視化してナノアに見せる。
「・・・なんじゃこれ!?」
あまりに規格外のステータスにナノアも驚いているようだ。
「なぁ・・・ステータスってバグるもんだっけ・・・?」
「バ、バグるってなんじゃ?取り敢えず原因を確認してみるのじゃ」
ナノアの言葉に従い、他のステータスを確認する。
「【竜神の加護】・・・お、どうやら展開できるみたいだ。」
スキル名をタップすると、幾つかのスキルが現れた。
【限界突破(常時発動)】・・・レベルキャップの消去
【不老長寿(常時発動)】・・・寿命を種神と同期し最盛期で成長を止める。
【神格化】・・・種神の力を借り存在を近づけることにより、ステータスを上昇させる。意識することにより効果が上昇する。
【詠唱破棄(常時発動)】・・・詠唱がなくても神術の発動が可能になる。
ここまで見たところで頭痛がしてきたので見るのをやめた。
「もう、何も言えないな・・・」
「まさかここまで強化されるとはの・・・もはやツッコミが追いつかぬぞ・・・」
恐ろしい程のステータスである、これだけあればそこらへんのモンスターなど相手にもならないだろう。
「・・・この【神格化】ってスキルを試してみないか?」
「そうじゃの、食べ終わったらやってみようぞ。」
二人で加護の内容について話しながら食事を食べ進める。
「さて、試してみるか。」
食事を終え、二人で片付けをしてからスキルを発動する。
「まずは軽めに・・・【神格化】・・・あれ?」
体感的には何も変わった気がしない。
「ナノア、何か変わったか?」
「少しばかり髪が長くなって女顔になったの、あと声も多少高くなっておる。」
「・・・え?」
急いで神術で水を召喚し顔を確認する。
「た、確かに伸びてる・・・。」
次いでステータスも確認する。
「意外と上がってるな・・・」
もともと高かったステータスがさらに上がっていた。
「試しに神術も発動してみたらどうじゃ?威力が変わっとるかもしれぬじゃろう?」
「そうだな、試してみるよ。」
無言で目の前に火球が現れる様子ををイメージすると火柱が現れる。
「・・・コントロールの練習のやり直しだな。」
というか普通に無言で出来たな、もう驚かなくなってきた。
「軽く発動してこれってことはもっと強く発動したらどうなるんじゃろうな・・・」
「あまり強くても意味がないけどとりあえず試してみるか・・・【神格化】!」
一瞬体を強い違和感が襲い、目線が高くなり肩に急に重みが加わる。
「ナノア、次は何か変わったか?」
あれ、この女みたいな声は誰の声だ?
「・・・」
「ナノア?」
ナノアに声をかけるとこちらを向いて呆然としている。
「・・・?」
先程召喚した水を覗き込んで自分の顔を確認する。
「・・・誰だこれ?」
水面には優しそうな顔をした、大和撫子を体現したかのような女性がいた。
「もしかして・・・俺か!?」
鈴のような声が響く。
「うわ・・・これが俺かよ・・・」
自分の体を確認すると、完全に女性になっていることがわかった。
「髪は腰まであるのか・・・というか胸が重いな・・・」
そこで後ろから無形のプレッシャーを感じて振り向いた、するとそこには恨めしげに俺の胸と自分の旨を見比べるナノアが居た。
「ナノア何で怒って・・・あっ、そうか・・・。」
男性用の服を押し上げている豊かな胸をチラリと見てからナノアの慎ましやかな胸を見て、
「・・・フフン」
「うぅ・・・うわあああん!ユートのバカああああああ!!」
ナノアは泣きながらテントの中へと入っていった。
同時に俺の胸を強い悲しみが襲う。
「・・・なんだ?」
取り敢えずステータスを確認する。
「お、スキルが増えてるな。」
おそらくタップすれば展開するであろう【竜神の加護】の他に【感覚共有(常時発動)】というスキルがあった、とりあえず効果を確認してみる。
【感覚共有(常時発動)】・・・【神格化】50%以上で発動、種神の感情と痛みを一部共有しおおよその居場所などが把握できるようになる。
「へぇ・・・これのせいでさっきあんな気分になったわけか・・・。明日の朝になったら謝っておこう。」
【神格化】を解除して火を始末してからテントに入り、眠りに落ちた。
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