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加護

おまたせ!ずいぶん遅れちゃったけどいいかな。


今までの作品で文章的におかしかったり誤字部分なんかを修正いたしました。

その日のキャンプ地は近くに川のある場所だった。

因みにこの地方は雨が少なく川が氾濫したりなんてことはそうそうないので危険だったりなんてことはない。


「ナノア、水汲んできたからな。」


今日はキャンプを立てるのをナノアが担当してくれたので俺は近くにある川から水を汲んできていた。


「うむ・・・ありがとうの」


「まだ考えてるのか?」


「実際に成功しとるんじゃが驚きすぎて受け入れれんでの・・・」


まぁ今までの常識をあっさりと崩されれば戸惑いもするだろう。

こればかりは本人の問題なので口の出しようがない。


「・・・あ、そうだ」


悩んでいるナノアを置いておいてキャンプ地から少し離れたところに移動する。


「理力もなんか回復してるから多分足りるはず・・・」


大雑把にイメージして発動する。


「【召喚風呂】!」


すると目の前の地面に土で出来た風呂と衝立が現れる。

「おぉ、できたできた。理力が減った感じもあんまりないしラッキーだな。」


村にいた頃は風呂にも入れていたが旅に出ると風呂になんてそうそう入れない。

精々が濡れた布で体を拭くくらいだ。


「本当に神術は万能だな・・・湯加減もいいな。」


ちなみにこの風呂、とんでもない圧力で固めてあるので風呂に土が溶けることはないはずだ。

・・・ないはずだ。


「おーい、ナノア~。ちょっと来てくれ~。」


「・・・ん?なんじゃ?」


歩いてきたナノアが風呂を見て固まる。


「風呂に入ってゆっくりしてこい、ずっと悩んでてもいいことなんてないぞ?」


「・・・ありがとうの、ユート。」


キャンプへと戻りさっき起こしておいた炎の前に座る。


「さて・・・俺は晩飯でも作るかな。」


汲んできた水を鍋に入れ火にかける。

因みに料理に必要な道具や幾つかの材料は俺の空間の中に引き取っている。


「きょうの料理は何にするかな・・・」


そういえばナノアにも料理方法を教えておかないといけないな。


沸騰してきた湯に道中採取してきた野草や塩などを入れる。


「にしても動物に出会わなかったな・・・残念だ。」


それから他の食材を調理していると、ナノアが帰ってきた。


「おかえり、夕食作ったぞ。」


「ありがとうなのじゃ」


顔からは先程までのどこか上の空な表情は消え去っている、どうやら風呂は心を癒してくれたようだ。


「のう、ユートよ。」


「ん、なんだ?」


「ユート・・・妾の旅に、付き合ってくれぬかの?」


「・・・?いきなりなんだ、藪から棒に。最後まで付き合うよ、最初に言わなかったか?」


「・・・きっと長く辛い旅になると思うのじゃ・・・それでも付き合ってくれるのかの?」


ナノアは俺に神術を教えてくれた恩人でもあり、一緒に旅をする相棒でもある。それにこの数日感でナノアが決して悪い奴ではないということは分かっている。


「ったく・・・当たり前だろ。」


「ユート・・・、ありがとう。」


ナノアが感極まったように呟く。

俺の目的を達成するためには世界を広く見て回る事が必要だ。それに死ぬまでに見つければ構わないんだからナノアを手伝うくらいなら全くもって問題ない。


「ユート、妾は・・・お主に加護を授けたい。」


「加護?なんだそれは。」


「加護とは種神が一生に一度だけ与えることのできる祝福であり、与えた対象の能力を強化する物じゃ。」


「一生に一度!?俺なんかに与えてもいいのか?」


「うむ、妾はユートにじゃったら捧げても良いと思っておる。」


「・・・取り敢えずその加護について聞かせてくれないか?」


「これは妾も聞いた話なのじゃが、どうやら種族によって効果に差があるようなのじゃ。」


「他の種神だったらどんな効果なんだ?」


「確か・・・ドヴェルー・・・ドワーフの種神から聞いた話では与えた相手はそこらへんの石ころからですらとんでもない武器を作れるようになったとか聞いたの、後は石からオリハルコンを精製することもできたとか・・・」


「なんだそれ・・・なかなかにえげつない強化ぶりだな。」


「うむ、他にもエルフの種族の加護を受けた者はある程度自然を操れるようになったとかの」


「もう規模がでかすぎて何が何やら・・・それで竜の加護の効果は不明なのか?」


「そうじゃの、どんな効果が現れるかはまったくもって分からぬ。」


「そうなのか・・・多少不安があるが・・・よろしく頼む。」


「う、うむ。それでは手順を説明するのじゃ。」


「おう、頼む。」


「えーっとの、まずはお互いが契りの言葉を述べるのじゃ。」


契りの言葉というのがよく分からないがナノアの真似をすれば大丈夫だろう。


「そ、その後は妾が進めるから目を閉じていてくれれば構わないのじゃ。」


「分かった、じゃあ始めるか?」


「う、うむ。そうしようぞ。」


ナノアが一息深く息を吸ってから契りの言葉を述べ始める。


「妾、ナノア・ハベルティア・フェイラブルは死が二人を分かつその時までユートの力になることを誓う。」


ナノアが俺に赤い顔で言葉を促してくる。

ナノアがかなり恥ずかしそうだがしっかりと言ったんだ、ここは俺も男らしく言ったほうがいいだろう。


「俺、ユート・・・いや、伊吹悠斗は短い一生の間だがナノア・ハベルティア・フェイラブルの盾となり、剣となることを誓おう。」


ナノアが真っ赤になった顔を上げてこちらに目で合図をしてきたのでおとなしく目を閉じる。


「よし・・い、行くぞよ!」


そして数秒間沈黙があったあと、俺の唇になにかとても柔らかいものが触れた。


「ん!?」


柔らかいものは俺の唇を開いて口内に侵入して来る。


思わず驚きから目を開くとそこには、目を閉じて・・・俺にキスをしているナノアが居た。


「んん!?ん!?」


何か話そうにも口を塞がれているため、意味のない音しか発することができない。


そしてナノアの舌が俺の舌に触れた時、まるで電流の流れるような刺激とともに、


《スキル 【竜神の加護】を入手しました》


という電子音声が聞こえた。

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