道中2
Steins;Gate買ったんですけど面白いですね、受験がもうすぐです。
「・・・もう朝か。」
どうやら話し込んでいるうちに眠ってしまっていたらしい。
欠伸をしながらテントの外に出る。
「・・・寒っ。まだ光の月だからな・・・」
この世界にも四季がある。
そもそもここが「星」なのかすら分からないのだが四季はある。
火、水、雷、地、氷、無、光、闇の八つの月があり、大体二ヶ月ごとにひとつの季節がすぎる。
因みに一週間は緋の日、蒼の日なんて感じで7日ある。
「さてと、朝食の準備をするかな。」
ポーチからパンと卵とフライパンを取り出す。
因みにフライパンは前世にあったものに比べると無骨なデザインである。
「味付けは・・・そうだな。ここら辺ならまだあるはずだ。」
森の出口付近でとある野草を探す。
「・・・お、あった。」
ベナグルと呼ばれる紫色の野草は見た目は微妙だがピリリとした味の香辛料で、大陸全土に生えていることもあり一般家庭ではポピュラーな料理素材である。
ベナグルをいくつか集めてからテントに戻り料理をはじめる
「さてと、ナノアが起きてくる前に完成させておくかな。」
「水って言ったら・・・【ウォーター】」
神術で召喚した水でベグナルをしっかりと洗う。
それからさっき取っておいた木の枝に神術で火を点け目玉焼きを作る。
火打石も水汲みの苦労もいらないなんて神術便利すぎる・・・
「バランスが悪いな・・・今日は野草やら肉やらを集めながら進むか。」
密かに決意を固めながら完成した目玉焼きと軽く炙ったベグナルを挟む、
これで即席卵バーガーの完成だ。
ベグナルの香りが食欲をそそり、朝でも軽く食べれる。昔から大好きな料理だ。
「もう朝かの・・・」
「お、いいタイミングで起きてきたな。朝ご飯できてるぞ」
眠そうに目をこすっているナノアを座らせて即席卵バーガーを出す。
「これはユートが作ったのかの?」
「そうだ、多分旨いと思うぞ」
「頂きま~す。」
前々から思っていたがナノアの食事はもしゃもしゃとかいう擬音がつきそうだ。
小動物的な雰囲気が漂っている。
「そうじゃユート。」
「ん?」
くだらない事を考えているとナノアから声をかけられる。
「妾は神術の扱いこそ一応心得てはおるものの剣術の扱いやサバイバルの知識なんかは全くないのじゃ。」
「そうなのか」
「じゃからの、できれば妾に教えてくれんじゃろうか・・・?」
「それくらいなら全く構わないぞ、ナノアも神術を教えてくれてるしな。」
「それはありがたいのじゃ!」
今後のことを話しながら食事を食べていく。
「「頂きました」」
手早く片付けを終わらせて出発する。
火球を手の上で混ぜる練習をしつつ進みながら数時間ほどした時、
「おぉ!二つ目ができた!」
「随分と短い期間でできるようになったのう、おめでとうなのじゃ。」
「ありがとう、にしてもナノアの方はどうだ?」
朝の約束のとおりサバイバルの方法を教えるということで、今ナノアには食事や怪我や毒の治療に使える薬草を教えてそれを集めてもらっている。
俺も教えながら集めているのですでにかなりの数が集まっている。
「なかなか集まるもんじゃのう、もうこんなに集まったのじゃ!」
そう言って両手一杯の野草を見せてくる。
「おぉ、ナノアやるな。じゃあ預かっておくよ?」
「うむ、頼むのじゃ。」
今はなんとなく俺がこのポーチを持っているが、できればナノアに持たせてやりたい。
どうにかできないだろうか・・・
「あ、そうだ。」
「ん?どうかしたのかの?」
「い、いやなんでもない。」
閃いた、ファンタジーの定番である空間収納を使えばいいんだ。
善は急げとばかりに早速イメージを始める。
因みにこの時既にナノアが初めに教えてくれた神術は空間に手を出せないということはすっかり忘れていた。
「よしそれじゃ・・・」
昨日身体強化の件でナノアに怒られてしまったことを踏まえて静かに呟く。
「【空間収納】ッ!?」
発動した瞬間、理力がごっそりと失くなり、思わずその場でふらつく。
「ど、どうしたのじゃ?」
「いや、なんでもない、大丈夫だ。」
今のはかなりヤバかった・・・一瞬意識が遠のきかけた。
その上体がやたらと重い、これが理力が減ったってことか・・・。
「ユート?顔色が少し悪いけど大丈夫かの?」
「大丈夫だ、問題ない。」
そういえば発動させたはいいが、まだ使えるか確認できていないじゃないか。
さっきイメージした通りにできているなら・・・
試しにポケットに手を突っ込むと、そこには果てのない空間が広がっていた。
手を動かしても本来あるはずの布には手は当たらない。
(おお!成功みたいだな。)
もし俺が考えた通りになっているのならば、意識しただけで意識したところに取り出し口が現れるような仕様になっているはずだ。
試しに空中に存在するようにイメージをしながら手を出すと、
「お、できた。」
「・・・へ?」
「あ」
調子に乗りすぎた・・・
「ユ、ユート?それはどうなっとるのじゃ?」
そう言いながら俺の途中から消えている腕を指差す。
「えぇと・・・収納空間を作りました。」
「・・・はぁ!?」
それから数十分、俺は俺がやったことの異常性を延々と説明された。
なんでも自分の空間を作り出すなんて創造神くらいしかできないはずで仮に出来てもとんでもない量の理力がいるらしい。
「へぇ・・・そうなのか」
「なんでこんなことを軽々と・・・」
ナノアはかなり混乱しているみたいだったので、取り敢えずポーチを肩にかけておいた。
「さてと、後は火球の種類を増やす作業でもしておくか。」
その日は夕方に次の野営地に着くまで俺は野草を集めながら火球を同時に三種類混ぜる練習をし、ナノアは何かを考え続けていた。