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TOWN 第一部:【妙】〜『普通』の顔した正体不明(ひとのかわをかぶった※※※※)〜  作者: 双子座の副操縦士


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*第13章:合い言葉は「People=shit」【鎧の巨人との共闘。みろの涙。そしてついに、 開門へ。】*

*第12.5章 前編:落ち穂に紛れるDisasterpieces【みろのパニック再発、落ち着かせるヨアヒム。思い出される過去の出来事と幸運の象徴。】*


「かふうが鏡の中に連れてかれちゃった…!

やばいやばいやばいやばい…どうしようどうしよう…!」


あたしは数秒前に自分自身に気合を入れて、

覚悟がどうのこの言ってたはずなのに


もう目の前の事態にテンパリまくって、

渦巻き模様のヴィンテージミラーで


不思議な踊り(どぜうすくい)を踊りながら、

ぐるぐるぐるぐると模様をなぞりまくっていた。


「マイタケマイタケ!グルグルグルグル!

マイタケマイタケ!グルグルグルグル!

余った時間なんて存在しないけど、

マイタケマイタケ!グルグルグルグル!」


「みろ、落チ着ケ!正気ニ戻レ 」


突然のあたしの奇行に

ビビり倒したヨアヒムが


必死に止めに入ってくれておかげで、

何とあたしはかこの世に戻ることができた。


「は!そうか、ポルチーニと楢ノ木の薪で焼いた

マルガリータがエアロスミスで…じゃなかった!

おのれ、まさかディアボロ!…はもっと違う!

おいおいおいおい、やばいって!ガチでどうすんのさ!

かふうが……デッカイ巨人に誘拐された!」


「落チ着ケ、かふうハ大丈夫ダ。タブン。

見タダロ?アイツ、『変ワッタ』。キット大丈夫ダ。

俺ガシタミタイニ『グルグル』シテミロ。」


ヨアヒムに言われて、

あたしは古い銅の丸板に目を落とした。


さびて青緑色の表面。


金色の渦巻き模様。


ずっしりと重たい銅の塊。


「この中に…かふうが……おじさんも…。」


唇を小さくきゅっと噛む。


頬から顔全体が固くなっていく。


緊張が一気にまぶたに押し寄せてきて、

あたしはぎゅっと目を思いっきりつむった。


ヨアヒムがあたしに声をかける。


「みろ、大丈夫ダ。かふうモ、

オマエノ『おじさん』モ。何モ考エルナ。」


そんなこと言われても…。


今の状況じゃ…。


あたしはかふうと、るいすおじさんの事で

頭がいっぱいになって


冷静なろうとすればするほど、

余計なことが頭をよぎった。


もし、かふうが「アレ」のせいで

「あたしの知っているかふう」じゃなくなってたら…。


もし、手遅れでかふうが死……。


いやいやいやいや…!


だめだ、だめだ!


渦をなぞる指が震える。


考えたくもない事が頭の中をいっぱいにする。


心が落ち着かない……どうしよう……。


「意識を向けるのは、『心』でも『思考』でもないよ。『息をするだけ』。ただそれだけだよ。」


散らかった頭の中で

突然、あたしはかふうの声を聴いた気がした。


次の瞬間、小さい頃のかふうとの思い出が

映像になって目の前に現れた。


幻覚…?


テンパり過ぎて、おかしくなっちゃった?


場面は学校の帰り道、終業式が終わって


「もし、学校の七不思議に出会ったらどうする?」

って話してたところ。


あたしが「びっくりしすぎて、

息が止まっちゃうかもねーwww」って言った時だ。


かふうが言ってた。


息を止めるちゃうと、人は思考も止まっちゃうんだ。


でも、大切なのは頭を動かし続けることじゃない。

冷静になろうと気持ちを静めることでもない。


ハッと息をのんで固まってはいけない。

ハァーとため息をついてあきらめてもいけない。


正常でいるために、

呼吸は決して止めてはいけないんだ。


“息をしている限り、私は決してあきらめない。”だよ。


「オイ…みろ…。大丈夫……カ?」


映像が消えた。


あたしは元の場所にいる。


あたしは、もう一度手の中の

古びた銅の鏡をじっと見つめた。


かふう、やっぱりあんたは、あたしの一番の友達だよ。

いつだって、あたしのことを助けてくれる。


ちょっと変わってて、あたしが頭悪すぎて

わかんないことばっかりだけど


でも、あんたはいつもあたしの隣にいてくれて、

背中を押してくれる。


「ふぅーーーーーーーー……。」


あたしは目を閉じて、深くゆっくり、

しっかりと吐く音を聞きながら息を吐いた。


そして、吐いた時よりもゆっくり時間をかけて

吸う感覚に意識を向けて空気を吸った。


ゆっくり、ゆっくりと、深く。


呼吸していることを噛み締めるようにゆっくりと。


呼吸の音だけを聞く。


鼻から入ってくる息、


口から出ていく風切り音、


息の音にだけ集中する。


「ぴゅろろろ…ぴゅろろろ…。」


呼吸に集中していたあたしの耳に、

呼吸以外の音が聞こえてきた。


聞き覚えのある懐かしい「鳴き声」が

はっきりと聞こえた。


目を開けて鳴き声のするほうを見た。


一羽の小さな鳥。


緋い、目の覚めるような色をした

くちばしの大きな小鳥。


「ルビーの霊鳥だ…。」


小さいとき、おじさんが教えてくれた。


“緋い翡翠”の別名を持った渡り鳥がいる。


その鳥は真っ赤で、背中に翡翠色の

きらきらした宝石みたいな羽を持ってるって。


「ぴゅろろろ…ぴゅろろろ…。」


おじさんは、あの鳥のことを

ルビーの霊鳥:カーバンクルだって言ってた…。


ルビーは幸運と栄光、勝利、そして勇気

翡翠は神秘の力、友情、そしてお守りの石


あの鳥はこの2つを持った

特別な鳥なんだって、教えてくれたっけ。


「ぴゅろろろ…。ぴゅろろろ…。」


…ありがとう、かふう、るいすおじさん。

ごめんね、助けに行くはずが逆に助けられちゃって…。


もう大丈夫だから…。


今すぐ、迎えに行くからね…。


心の中におじさんとの思い出が浮かんでくる。

頭の中にかふうとの映像が流れてくる。


あたしの心は今、とても晴れやかで、

涼しくって、爽やかな風が吹き抜けていく。


穏やかな日差しが照らしてくれる、

暖かくて優しい気持ちになっている。


ゆっくり目を開ける。

自然に指が渦をなぞる。


ぐるぐる、ぐるぐる。


渦の中心に向かって

金色の軌跡を辿ってく。


ぐるぐる、ぐるぐる。


なんだろう…なんか、光?が…。


「イイゾ、みろ。大成功ダ!」


ヨアひんが大喜びしてる。


んんん?大成功??

なんじゃら???


あたしは周りを見渡してみて、

今自分とヨアひんがなんもない岩と砂と、


埃っぽい乾いた風が吹きまくる砂漠?

みたいなところにいることに気が付いた。


………。


「いや、大失敗じゃん どこだよこきゃーよぅ!!!」


「ココデイインダヨ!

ココガ、『Dôr-Choth【荒野の市場】』ノアル場所ダ!

ホラホラ、早ク!かふうヲ探シニイクゾ!」


「や、いやいや!ちょっとヨアひん!

ちょっとまつたけって!

探しにって、どうやって探すのさ!」


「“よあひん”ジャネェ!俺ノ名前ハ“よあひむ”ダ!

大丈夫、任セロ!サッキ使ッタヤツトハ

違ウ『石』使ウカラ。」


ヨアひんはそう言って、

深緑色した石のペンダントヘッドが付いた


首飾りみたいなのを出して

「“だうじんぐ”ダ。」って言って、


首飾りを前にかざし始めた。


いやいや、こんなんで探せるわけ…、


「ぴゅろろろ…。ぴゅろろろ…。」


鳴き声に気が付いて、あたしは顔を上げた。


すぐ近くの崖の上であの鳥が鳴いている。


「ぴゅろろろ…。ぴゅろろろ…。」


……そうだね、るいすおじさん。


今は、信じて進んでみるよ。


待ってろ、チェンジリング!


本気を出したみろさんは

怪物よりもモンスター級だぜ( ・ิω・ิ)!!


その前に、かふう!


今すぐ行ってやるから、待ってろよ…!

絶対にぼっこぼこにしてやるからな!!


だから…絶対に死ぬんじゃねぇーぞ!!

意外!それは「犬」

そして、幼馴染みと気のいい妖精。


幼馴染みと、

人懐っこい妖精、

なんかデッカい「犬」。


え?犬?

え?“ココ”って何でもデカいの?


「ぎぃいいゃぁぁあぁぁああ!!

かふー、たーすけてぇぇええ!!!!」


「逃ゲロォオオオ!!!

「くー しー」ダァァァアアアアアア!!!!!」


聞き覚えのある声の後に迫る

巨大な犬の姿をした生き物。


アイリッシュウルフハウンドって言ったかな…。


海外の超大型犬。


それよりもさらにデカイ、

現実離れしたサイズの「化け物」だった。


スプリガンもそうだったけど、

この「犬」もかなりゴツイ。


最初は熊の大群が迫ってきていると思った。


けど、だんだんその姿が

はっきりわかる距離まで近づいてきて感じた印象は


バイソンやバッファローみたいな

「野牛」に変わった。


犬とは思えないほどに発達した

圧倒的な存在感のある筋肉質な体つき。


まるで軽自動車のような大きさの筋肉の塊が

その質量を全く落とすことなく、


猟犬のようなスピードで

みろとヨアヒムを追い駆けて、

こっちに向かって突進してくる。


その怪物から逃げながら、


あんなに人懐っこかったはずのヨアヒムからは

想像できないような態度でみろを怒鳴っている。


「テメェ、フザケンナ!

何ガ『犬トボッチは任セトケ(^_-)-☆!』ダ!

怒リ狂ッテ襲ッテキタジャネーカ!! 」


「だって、デッカイだけで犬と一緒だと思うじゃん!

デカイ以外ほぼ犬なんだもん!

ごめんて、ヨアさん!」


「よあひむダ!俺ノ名前ハ!」


……何があったのかは、正直想像したくない…。


きっと、お手とかステイとか、

ち○ち○あたりのことを言ったんだろう…。


それも自信たっぷりに…。

よりにもよって、異世界の巨大生物に……。


まぁ、みろ“らしい”といえば、みろらしいから…

なんかちょっと元気そうで…うん。


それまでスプリガンとの生死をかけた

文字通り「殺し合い」をしていた僕にとっては

ある意味救いだったのかもしれない。


何より、二人とも無事でよかった…。


******


走れ、あたし!

とにかく死ぬ気で!


でなきゃ、ほんとに死んじゃう…(´;ω;`)


ヨアさんが「“くー しー”ハ、『妖精タチヲ守ル犬』ダ。」って言ってたから…。


要はデッカイ番犬でしょ?ってなるじゃん、普通…!


まさか、こんなにキレ散らかすなんて

想像できねーよぅ…。


自分がしたことへの後悔か、


それともバチくそキレ倒している化け物に

ガチで殺されかけているせいか、


絶対人に見せられない顔面汁まみれの

ヤバビジュで激走するあたしに、


ヨアさんまでもがバチくそキレてきた。


「テメェ、フザケンナ!

何ガ『犬トボッチは任セトケ(^_-)-☆!』ダ!

怒リ狂ッテ襲ッテキタジャネーカ !!」


「だって、デッカイだけで犬と一緒だと思うじゃん!

デカイ以外ほぼ犬なんだもん!

ごめんて、ヨアさん!」


「よあひむダ!俺ノ名前ハ!」


「ヨアさん、あぶねー!」


「ギィヤアァァ 変ナ名前ノママ死ニタクネェー !!!!」


「がんばれ、ヨアさん!あ、あれ、ザナ氏じゃね!?」


「マジカ!?」


「ぎぃいいゃぁぁあぁぁああ!!

かふー、たーすけてぇぇええ!!!!」


「逃ゲロォオオオ!!!

「くー しー」ダァァァアアアアアア!!!!!」


鼻水もよだれも気にしない!

涙と滝汗でドロドロでも知らない!


ヨアさんのあれは、まぁ、あとで踏むとして。


今は!


とにかく、「あたしが知っているかふう」だと信じて!


頼るしかない!


……って、ザナ氏の後ろ!

あのデッカイやつまだいんの!?


******


「オィ、『人類』。オマエノ仲間ヲ

“Huan【猟犬】”カラ助ケタラ、

(ヤツガレ)ヲ見逃セ。」


「!!!!!」


僕は魂が口から飛び出るくらい、

まさしく「魂消た(たまげた)」…。


あの「鎧の巨人」が喋った……。


それも、みろ達を助ける代わりに

自分のことをもうこれ以上攻撃するなって…。


「……『君』…でいいのかな…?

その…、喋れるんだ…普通に…。」


「話セルシ、聞コエル。見ルコトモデキルシ、

チャント『死』ヘノ『恐怖』モアル。

(ヤツガレ)ハ、門番ダ。

何ダト思ッテイタンダ?『知能ノ低イ怪物』カ?

ソレトモ『思考力ノナイバケモノ』カ?

オマエガ言ッタヨウナ

『意味もなく殺害や破壊をする』

ソンナヤツデハナイ。」


「……。ごめん…。その…。

なんていうか……『見下して』…。

そういうものの言い方をしてしまって、

ほんとごめん。」


「マァ、イイ。ソレデ?ドウスルンダ?」


「……君の提案は僕にとって、とても魅力的だよ?

今の僕は“普通の人間”じゃない上に、

“妖刀”も持ってる。

でも、形勢は決して優勢じゃない。

まだまだ圧倒的に君達妖精側に分がある。」


そう、“スプリガンの片腕を奪った”。

「ただそれだけ」だ。


状況は全く好転していない。


スプリガンは片腕をなくして、


得体の知れない“妖刀”や僕自身に

恐怖を「一応は」しているけれども、


「彼」の言う通り僕の読みとは違って


「化け物」じゃなくて

「考えながら戦える“敵”」だとしたら、


瓦礫を投げつけるなり、

その怪力を使って岩を棍棒状に作り変えるなりして、


距離を取って直接触れないように

戦うことだってできるはずだ。


そして、「あの獣」。


「クー ・シー」って言ったかな。


多分、「妖精の世界の猛獣」とか、

「犬の妖精」とか、そんなとこだろう。


でも、“能力”はきっと犬以上、

いや、人間の世界の動物じゃ

比べ物にならないはずだ。


追い駆けてくるその動きから聞こえてくる

筋肉や心臓の「音」が犬とまるで違う。


“準備期間中”に一度、

商店街のペットショップ「What's up⁉」のお遣いで


北米やアフリカ大陸に

UMA捕獲に行かされた時に聞いた


猛獣たちの「音」よりも、何ていうか…

「動物」っていうよりも


「もっと原始的で恐竜を想像させるような音」

っていう迫力のある感じがする。


そんなやつらから、みろやヨアヒムを守りながら

戦うなんてできるわけがない。


「でも、僕は『君』のことを

まだ信用しきれていない。

さっきまで『君』は確かに僕のことを

確実に殺そうとしていた。そうだよね?

その相手からの申し出を

素直に受け入れるつもりはないよ。

僕にははっきりと『わかる』からね。」


「アイツら」みたいな不快な臭いのせいで

「いつも通り」というわけにはいかないけれども


それでも、「彼」が嘘を吐ついているのかどうかを

判断できるぐらいには「わかる」。


「彼」の言葉に嘘は「ない」。


本当に「ない」。


恐怖を感じるのなら人間や生き物と同じように、


無意識に自分自身の行動や発言が

心理が一致していない「虚偽」だという不一致さや


違和感から出る

「嘘を吐いている時のぎこちない音」や


「不自然さを取り繕うストレスの臭い」が

するはずだ。


「彼」にはどっちも「なかった」。


それはわかっていたけど、

でも「彼」はまだ妖精側だ。


「音」や「臭い」だけじゃなく、

+αで「確たる証」がない限り

僕は「彼」の申し出を受ける気はさらさらない。


(ヤツガレ)ノ名前ハ『ろうぇん』ダ。」


******


もうちょい…!

あともうちょい…!


あともうちょいで、かふうのところへ辿り着ける…!


がんばれ、あたし(TдT)!!


絶対にかふうのところへ行ってみせる!


そんで、右ストレート!

次が左スイングフック!


その次が、両手でのオラオラッシュ


まだまだこんなもんじゃ怒りたりねぇ!!!


ロードローラーがねぇから

その辺の瓦礫にしといてやるけど、


ボゴボゴにブン殴ってやる…!って、

言いたいところだけれども……


今は状況が状況だから勘弁してやるから、

マジでお願い!!!


「かーふぅーー!!この犬、何とかしてぇーー( TДT)!!!」


「ダメダ!死ンジマウー( >Д<)!!!」


あたしとヨアさんは、

フライングボディアタックばりの勢いで

かふうにダイブした。


それと入れ違いになる感じで、

あのデッカイ塊が「犬」の大群に向かって


あたしたちの上を飛び越えて向かっていった。


え、アイツいつの間にこっちサイドになったの!?


ていうか、これも「いつの間に」なんだけど、

アイツなんで片腕なの!?


いろいろツッコみたいんだけど、

でも!今あたしが最優先したいのは!


「おい!」


「⁉⁉」


予定通り、右ストレート。

全力でおもいっきりブチ抜いた。


………。


でも、その次が出なかった。


「う゛ぇえぇぇ゛ぇえ…ん゛っう゛、ぇええぇ゛…っんぅ…。え゛ぇぇ゛へぇえ゛ええん゛。」


子どもみたいにあたしは泣いた。


グジュグジュになって、

泣きたいことを隠す気が全くない

「だって、泣きたいんだもん!」って

子どもが泣くみたいに泣いた。


なんで…。


どうして…。


言ってくれなかったじゃん……。


でも、わかってた。


言えば、絶対にあたしが止めさせるから。


なんで、それに気づいてやれなかった?

かふうって、昔からそういうやつだったでしょ……。


わかってて、頼ったの?…ううん、違う!


わかってたから、その時になったら

「あたし一人でやる」って言うつもりだった!


やめさせるつもりだった……なのに…なのに……!


かふうは、あたしに殴られる瞬間

顔の「黒いやつ」から自分の素顔を出してた。


きっと、あたしが怒ってて、

殴られるのをわかってたからだ…。


あたしに嫌われて憎まれても、

あたしに尽くそうとする…。


そんなかふうの優しさをあたしは利用したんだ……。


あたしは…


あたしの大切な親友を……


あたしが一番嫌いな方法で……


解っていたのに行動できなかった

自分の不甲斐なさ、


それをすべてわかった上で

受け入れてくれる大切な人の優しさと、


それに甘えていた自分自身が

みっともなくって、恥ずかしくって…。


怒りが…悲しみが…悔しさが…


一気に止まらなくなってしまって

あたしは感情を抑えきれなかった。


そんなんだから……あたしは……おじさんを失っ……


「みろって、スッピン不細工だね。」


…………………。


あ゛?


******


「え!?なに、アイツ、自分を見逃してくれる代わりに

犬どうにかしてくれる感じなの!?

てか、強ぇー!

そして、硬ぇ!

片腕なのに、12、3匹のあの犬達に

勝ってんじゃん…。

嚙まれても平気そうだし。

やべぇ…そして、すげぇ…ぜ、ザナドゥ。

今までそんな奴と一人で戦ってたんだ…。」


ひとしきり僕のことを


格ゲーの超必殺技【インフィニティ・アーツ】とか

10連コンボばりにボコボコにしたからなのか、


それとも気持ちが落ち着くまで泣き切って

「スッキリッッ!」したからなのか、


みろは大分落ち着いて、

すっかり普段のみろらしくなったっぽい。


地面に犬神家スタイルで

フィニッシュ決められた僕を踏みながら


「彼」…「ロウェン」の戦いぶりに

感心していたらしい。


っていうのを、


出土して間もない僕を不憫に思った

優しいヨアヒムが状況を教えてくれたおかげで、


大ダメージの中ヨボヨボしていたけど、

何とか理解することができました。


みろがロウェンに「クー シーとの戦闘が終わって早々に申し訳ないけど、“”引っ張り出して(^_-)-☆」


と、頼んだらしい。


僕も撲殺されかけた甲斐があるってもんです…

いろんな意味で。


「人類。(ヤツガレ)(ヤツガレ)

『名前』ヲ教エテ、アイツラモ追イ払ッタ。

コレデ、約束ハ果タシタゾ。

今度ハオマエガ応エル番ダ。」


「んん?なに、なに?

約束って、なにか約束したんすか、ザナドゥ。」


「あぁ…。あの犬、クー シーを追っ払って

みろとヨアヒムを助けてやるから、

自分のことは見逃してくれって、

彼、ロウェンに言われてさ…。」


「え!?それで、OK出しちゃったの!?」


「いや、まだ出してなかったよ…。

全然信用してなかったし…。でも、彼が。」


「妖精ニトッテ、自分ノ『本当ノ名前』ヲ

人類ニ知ラレルコトハ、

『相手ニ支配サレル』トイウコトダ。

名前ヲ奪ワレタラ、奪ッタ相手ニ

従ワナケレバナラナイ。」


「へぇー…そなんだ。

なんか、個人情報奪われる系のスパムみたい。」


まぁ、みろの言わんとしていることは

わかるけども…。


そんな、ファンタジー世界の相手に向かって

現代知識で例えても…、


「下手ニくりっくスルト危ナイ系ノヤツダナ。」


ロウェンがちゃんとみろの会話に乗っかてくれた。


なんで、妖精がネットリテラシーっぽいこと

知ってんの…。


「トニカク、コレデ貸シ借リ無シダ。

(ヤツガレ)ハ、オマエカラノ信用ノタメニ

『名前』ヲ差シ出シタ。次ハオマエノ番ダ。」


「………。」


「ナンダ、ドウシタ?マダ何カ不満ガアルノカ?

何ヲ疑ッテイル。」


「……確かに、君はクー シーを追い払ってくれた。

自分にとって不利になるはずの

誠意の示し方までしてくれた。でも、」


「ナンダ、ダカラ。」


「『クー シーは“確かに”お払ってやっただろ?』

そう言って、君が僕らを後ろから

襲ってこない保証は?襲ってはこないけど、

君がみろやヨアヒムを人質にとらない、

っていう約束もない、そうだろう?」


「…………気難シイ、疑リ深イ性格ダナ……。

オマエ、友達イナイダロ…?」


「あ、ザナドゥ、クリティカルヒット。」


「エ?かふう、ボッチナノカ?」


ほぼ初対面の人外’sと唯一の友達から


「まぁ…何て不憫な子だろう…。」

という視線を向けられる、


現在ほぼ人外でどう見ても凶器の

“妖刀”を装備している僕。


「え?約束破って帰ってもいいんすよ?

今僕この場の全員と何かしらの約束してますから。」


「いやいやいや、待て待て待て。帰んな、帰んな。

悪かった、“ぼっち”は悪かったってザナドゥ。

“孤高”な“孤高”。」


「俺何モシテナイ。

デモ、かふうキレソウダカラ謝ル。ゴメン。」


「ぼっちを雰囲気出してちょっとカッコよさげで

グレーな言い方にしただけじゃん…!

“ぽっちゃり”みたいに…!

ヨアヒムも約束はしてないって言うけど、

逆にしてないからこそ、

「何されるかわからない」って意味だからね?」


「オイ、モウイイカ?(ヤツガレ)ハ行クゾ?

サッキモ言ッタガ、(ヤツガレ)ハ「門番」ダ。

「戦士」ヤ「兵士」デハナイ。

「門ヲ守ル役目」デハナク、

「門ニ近付ク者ニ警告ヲ与エテ追イ返ス仕事」ニに

就イテイルダケダ。

別ニ忠義ガアッテシテイルケジャイ。

アクマデモ、「仕事」ダ。

命ヲ懸ケテ門ヲ守リ抜ク気ハ、ナイ。」


「お、なんか現代的な考えだね。

時給以上のことはしない的な?」


「貰エルモノハ貰ウシ、

貰エルモノノタメノコトハスル。

デモ、ソレダケダ。命マデ張ロウトハ思ワナイ。

ソレホドコノ仕事ニ魅力ハナイ。

雇イ主ニモソンナ価値ハナイ。

片腕ヲ失ッテムシロ大損ダ。」


「え、労災とか下りないの?」


「全テ現場判断ノ自己責任ダ。

勤務時間モ“フレキシブル”トカ

“変形労働時間制”トカ、

聞コエガイイヤツバッカリダ。」


「えぇぇ……めっちゃブラックじゃん…

なんか、かわいそうになってきた…。

いいよ。もう、早く退勤しなって。

治るわかんないけど、

妖精さんたちの不思議なアレして、治療してきなよ。」


「オマエ、話ノ分カルイイヤツダナ…。

アノ気難し屋ノ友達ナノガ信ジラレナイ。

何シニ行クカ知ラナイガ、気ヲ付ケテ行ケヨ。

門ノ先ニ人類ハ人モイナイ。用心シテ行ケ。」


「心配ないよー。かふうがいるからねー。

あれであいつ、いいところあるんだよ。

いろいろあって、あんな性格してるけど、

心開くまで時に感がかかるだけだからさ。

あたしに免じて許してやってよ。」


「いやいや、ちょっとちょっと!

なにそっちだけで打ち解けて、

おまけに人のことちょっとバカにしてんの!

親友のフォローがリアルすぎて

泣きそうだわ、こっちは!

だいたい、こっちは門の開け方さえも

知らないんだよ!?」


「あ、そっか。

や、でも、それはヨアヒムに聞いたらよくね?」


「ンーーーー…俺知ッテル。

デモ、俺『売ルヤツ』違ウ。

ダカラ、入ルコトデキナイ。タブン。」


「あー…バイヤー的なやつとか、

仕事してるやつしか入れないパターンなんす?」


「ハァ……。オマエタチ…一体何シニ来タンダ。

ソンナヤツラニ(ヤツガレ)

片腕ヲ取ラレタノカ……。」


ロウェンのその言葉を聞いて、

僕はあることを閃いた。


「ねえ、ロウェン。君のその腕、

治すためには治療が必要なの?それとも、修理?」


「ン?コレカ?マァ、修理ダナ。

コノ『鎧』ハ(ヤツガレ)

本当ノ体デハナイカラナ。

デモ、コレデハ仕事ニナラナイ。

門ノ中ニイルどわーふノ鍛冶屋ニ治シテ…。」


ロウェンはそこまで言って、

ハッとしたような雰囲気だった。


そして、その次には「このガキ…!」

という顔をきっと鎧の下でしたに違いない。


そう、僕が閃いたことはとは、


「ロウェンなら門の中に入る理由がある。

だから、ロウェンに門を開けてもらおう。」


というものだ。


ヨアヒムも僕の考えに気づいたようで、

「ア!」という顔をした。


「ソウカ。『Dôr-Choth【荒野の市場】』ニハ、

色ンナヤツガイル。

『作ツクルヤツ』モ、タクサンイル。

ろうぇんト一緒ダカラ入レルゾ。」


「あ、そうか!ロウェン中に戻るんだったら、

あたしたちも一緒に入れてよ!

ねぇ、お願い!あたし達どうしても、

中にはいらんきゃいけなくって…。」


「そういうことだから、

僕達も中に連れて行ってよ。ね、“ロウェン”?」


「ハァーーーーーーーーー………。

マァ……、イイダロウ。全然良クハナイ、

ケド、『名前』ヲ教エテシマッタ以上、言ウ事ハ聞ク。

デモ、イイナ?中ニ入イルマデダ。

ソレ以外ハ(ヤツガレ)ハ知ラナイ。」


「え、マジで やったー\(^ ^)/

ありがとう、ウェンちー 」


「ホボ、オマエノタメダ。

アノ気難シ屋ハ関係ナイ。……うぇんちー?」


「気にしないほうがいいよ。

みろのあだ名はツッコんだらきりがないから。」


「……マァ…イイ。ジャア、『開ケルゾ。』」


みろのキャラと僕の慎重さのギャップで

大分体調が悪くなったのか

ロウェンは疲れた返事になってしまった。


僕はこの時のロウェンはへの態度を

今でもずっと後悔している……。


もっと違った出会い方をしていれば……。


もっと違ったアプローチの仕方をしていれば……。


結果は違っていたはずなのに……。


「ロウェン…そんな……僕は…!」


「……人類ハ不可解デ不便ナ生キ方ヲスルモノダナ。」


*第12.5章 後編:落ち穂に紛れるDisasterpieces【荒野の怪物。みろの謎の自信とヨアヒムの災難。】*


びっっくりし過ぎて言葉にならないほどの、

バチくそ荒野。


気が遠くなるほど何もない、


地平線までカサカサなんじゃねぇーの?

って思っちゃうくらいの「THE・荒野」。


歩いても歩いても、砂ばっか…。


「ねぇー…ヒムりん…、ちょっと休もうよ…。

さすがに…、遠くね?かふうがいる場所って…。」


「ガンバレ、みろ。大丈夫ダ。『石』ガ教エテクレル。

コノ『道』デ大丈夫ダ。…ひむりん?」


ヒムりんが道を示してくれるって言ってた

「ダンシング(ダウジング)」?


首飾りが教えてくれた方に、ていうか、

ヒムりんのナビに付いてきただけなんだけど……。


「いや…『道』ったってさぁ……。

ねぇよそんなもん…『ド砂漠』の『鬼荒野』だわ…。

っっぺぇ 砂入ったぁ~…。

てか、なんでかふうとおんなじ場所に

あたしら出なかったん?」


絶対におかしい。


だって、入ってきたところは同じはずなのに…。


かふうどころか、デッカイ手の

バケモンらしきやつもいなかったし…。


てか、また砂入ったし。


「ソウヤッテ、『守ッテル』ンダ。楽ジャナイ。

『売ルヤツ』、『買ウヤツ』、皆“イイヤツ”違ウ。

ダカラ皆、『入ル場所』ガ違ウ。

ダカラ、すぷりがんに守ラセル。

『Dôr-Choth【荒野の市場】』ヲ守ルタメダ。

かふうは、すぷりがんニ捕マッタ。

キット『入口』ノスグ前ダ。」


「……セキュリティ上の問題…ってやつ?

まぁ、確かに客は選びたいよね…店側としては。

でもさ、その場所の妖精達はどうやって、

『イイヤツ』『悪イヤツ』を識別してんの?」


てちてち歩きながら、ヒムりんは

「ウーーーーーーーーーーーーン………。」って

悩みまくって、ヒムりんなりに

がんばって答えてくれた。


「俺人間ノ言葉ワカラナイ…。俺達ノ言葉

『Manarmo marya colë armar aralma,tarcano colë luru ar umuanyë.【善い商人は品物と富をもたらし、悪人は虚偽と災いをもたらす。】』トカ

『Maer-bangadôr tôg maen a galas, feg-dîr tôg lorth a naergon.【善き商人は品物と成長を連れてくるが、悪しき男は偽りと嘆きを連れてくる。】』ッテ言ウ。

ドッチモ、

『イイヤツ、イイモノイッパイ持ッテクル、悪イヤツ、噓吐ト“死ヌ”ヲ連レテ来ル。』ッテ意味ダ。」


「んーーー……

まぁ、リスク回避的なことは…伝わったかな…。

要は、入ってきた相手のリスクレベルに応じて、

その場所から一番遠いところとか、

入口の真ん前とかって、その時点で入る資格が

あるかどうかが振り分けられているって感じ…?」


「多分、みろノ話、アッテル。

『危ナイヤツ』、『何シニ来タカワカラナイヤツ』ハ

『入口』カラ一番遠イ。」


「あーーーーー……、まぁ…そうかぁー…。

うちら『売り買い』興味ねぇーしなぁ。

てか、『商人』ですらないもんなぁ…。

にしても、遠くね……?あんまりだっ!!」


その時だった。


あたしの「あんまりだっ!!」と同時に

ヒムりんが急に「ビクッ」と立ち止まった。


「…!!!みろ……静カニ…。

ユックリ、音立テルナヨ……。」


「????どうしたん…ヒムりん?」


「“よあひむ”ダ!ジャナイ…!シーーーーーー!!!

静カニ!バレタラヤバイ…… 」


「何してんだ、ヨアさん??」


あきらかに、ヨアさんの様子がおかしい…。


どうしたんだろ……?


かなり…何かに怯えてる…。


なに怖がってんだろ……?


ゆっくりあたしの方を振り返って、

しゃがむように促したヨアさんは


近くのちょうど人が隠れられそうな岩のところまで、

あたしを誘導してくれた。


「え??なになに?どうしたの、そんな怖がって…。

化け物でも出たの?」


ヨアさんは、岩陰に来るまで相当緊張していたらしい。


「ブワハァーーーー!!!」って感じで、

息をたくさん吐いてた。


息止めなきゃいけないぐらい、

ガチがちに緊張してたの?


一体……“何”に……。


「“くー しー”ダ……!大キイ、トッテモ大キイ……

山ミタイニデカイ、大キナ『犬』……!!」


「え!?デッカイ犬!?あ、まぁそっか。

手のデッカイやつがいるんなら、

その飼い犬もデカイか。」


「ソウジャナイ!!!」


ヨアさんがデッカイ声出して、慌てて口を押えた。


その「キューテー(クー・シー)」?って犬は

相当耳がいいっぽい。


おぉ、さすが妖精の世界の犬だぜ。


「イイカ…、アイツラハ『犬』ダ!

デモ、『犬』ヨリ強イ!恐ロシイ!

俺達ガ、今、風ノ前ニイナカッタカラ助カッタンダ!!

風ガニオイヲ運ンダラ、俺達ハ喰イ殺サレテタ…!!!」


めっちゃ、怖がってる……。


まぁ、犬って鼻いいからな。


でも、どんなにデカくっても

大型犬のサイズってたかが知れてるし。


そもそも、ヨアさんって妖精のジャンル?で言ったら、

「小人」系になるのかな?ちっちゃいし。


そりゃ、大型犬は

「山のように」デカく見えるわな。


うっし!おねぇさんに、任せろぃ!


「ヨアさんは、そこにいて。

あたしが追っ払ってくるから。

大丈夫、これでもぼっちと犬は得意だから!」


中学の時にあたしが「犬が大好き」

っていうのを知ってた友達から


トリミングサロンの手伝い頼まれて、

1週間くらい手伝ったことあるし。


仕事しないで、犬の匂いばっか吸ってたから

ほぼなんもしてないけど。


あと、1週間でクビになったし。


でも、まぁ、犬だし。

大丈夫、大丈夫。


岩陰から出ようとするあたしをヨアさんが必死に止めて

「死ヌゾ!!!」ってえらい顔で訴えてきた。


そんなビビらんでも…。


「オイ、みろ!本当ニ大丈夫ナンダナ?

絶対ニ大丈夫ナンダナ!?」


「えーーーー?ヨアさん、ビビり過ぎだって。

だって犬でしょ?」


「俺ノ名前ハ“よあひむ”ダ!ハァー…ワカッタ。

大丈夫ナンダナ?」


「大丈夫大丈夫。犬の扱いは任せてよ!」


「ヨシ……。デモ、心配ダカラ、『コレ』持ッテイケ。

アイツラニ使エルハズダ。」


そう言って、ヨアさんはあたしに『石』をくれた。


ちっちゃい神社?のときや、

道を教えてくれる首飾りのとは、また違った


いろんな色が縞々になって

ミルフィーユみたいな層になってる石。


「あ、これ知ってる。“アゲート”って言ったっけ?

おじさんの部屋で見たことあるやつだ。」


「ソウダ。ソノ『石』ガ守ッテクレル。気ヲ付ケロ。

ヤバカッタラ、スグニ逃ゲロ。」


「ok、ok。ちょっくら

モフリストしてきますわ(~ ̄³ ̄)~。」


あたしは、ヨアさんからアゲートを受け取って

岩陰を出た。


さっきヨアさんがビビりながら見ていた方向に、

毛の塊らしきものが見えた。


お、なんだなんだ~(*´艸`*)


サモエド系ですか~、

それとも短めのラブちゃん系ですか~(〃艸〃)ムフッ


おねぇさんは短毛種もイケる口ですよ~(*`艸´)ウシシシ


あ、こっちに気付いた(*ノェノ)キャー


………(*´ω`*)


………(゜∀゜)


……Σ(゜Д゜)


え、デカくね!?


犬じゃねぇーよ!!

「象」だう゛ぁかやろぅーーい!!!


うわ、こっち見た。


目ぇ合った。


歯ぁ剥いた。


……唸ったぁ…。


((((;゜Д゜)))) ガクガクブルブル((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル


「ひぃいいやぁーーーーー!!!」


あたしは持ってたアゲートを神社の時みたいに、

おもクソ、象犬の顔面に向かってブン投げてた。


あとはよく覚えてない。


なんかスゴイ音と一緒に、


殴られたときに犬が出す「キャイン!」の

デカいバージョンみたいなのが聞こえた気もするけど、


そんなの気にしてる場合じゃない!


ヨアさんのところまで死ぬ気で走ってた。


「ぎぃやあぁぁぁーー にぃげろぉぉーー!!!

ヨアさん、走れぇぇー!!!!!!」


「!?!?ハ!?ヘ!?ホァ!?ナンダァァーーーー!!」


「いいから、走れ!喰い殺されるぞ!!」


「イヤ、ダカラサッキ言ッタジャネーカ!!バカヤロー!!」


「うるせ!あんなの『犬』じゃねぇ!ふざけんな!」


「コッチノセリフダ!!!フザケンナ、テメェ!!」


「ぎぃやあぁぁぁーー!!!

かふーーーー、たぁああすけてぇぇーーーー!!!!」


「俺、コンナバカト一緒ニ死ニタクネェーーーー!!!!!」


「しばくぞ、みどり。

このバケモンから逃げた後になーーーーー!

たぁああすけてぇぇーーーー!!!!!」


走れ、あたし!

とにかく死ぬ気で!!

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