表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TOWN 第一部:【妙】〜『普通』の顔した正体不明(ひとのかわをかぶった※※※※)〜  作者: 双子座の副操縦士


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/14

*第11章:僕たちのHERETIC ANTHEMは高らかに【妖精の住処へと続く入口を見つけた二人 。正体不明の“ナニカ”の影。かふうと弥勒の覚悟と決意。】*

廃鉱の一番奥。


昔の工場?跡地みたいな場所や、

壊れた重機がそのまま放置された

広場のようなところを抜けた、さらにずっと奥。


「そこ」には

もともと採掘を行っていたであろうここには、

こういう廃墟には普通絶対にあるはずがない、

あきらかに不自然なものがあった。


小さな“ストーンサークル”だった。


僕らは “そこ”に入っていった。


ヨアヒムが「アレダ。」と

小さな祠のようなものを指さした。


「アレガ、『Dôr-Choth』の入口。」


「なんか・・・、お地蔵さんとかがいるやつっぽい見た目なんだね。」


「・・・・・・・・・。」


「??かふう、どうした?」


もう何十年も放置されて、朽ちて崩れかかった

その小さな祠は怖ろしく不気味だった。


祈りを捧げる人も、何かを願う人も、

叶ったことに対する感謝を述べる人もいない。


“誰にも崇められず、訪れる者達がいなくなってしまった神様の残骸”


その残骸は今は

「アイツら」の住処になっているらしい・・・。


祠の奥の方から異臭がする・・・。


水気の酷い、黒カビと埃が充満した


廃屋の浴室のような臭い・・・。

祠の暗がりから異音がする・・・。


それに異音もする…。


金属板をクサビや鉄釘みたいな

金属製の鋭利なもので

無理矢理引っ掻き刻んだ時のような不快な音・・・。


そして・・・“残骸”がこっちをジッと見ている・・・。


黒くて濁った、粘度の高い、

足を取られて引き摺り込まれる沼のような


重く深く染み込むような「ベタッ」っとした“目”。


「・・・かふう、オマエ『ワカル人間』ナノカ?」


「・・・!なんかいるの・・・?」


「・・・ん・・・、うん・・・『いる』・・・。『この町によくいる、『アイツら』が・・・。」


「ソウカ・・・ヤッパリ・・・。人間来ナクナッタ。ダカラ、『アイツラ』ココニ住ンダ。人間タチノ「かみさま」喰ッテ生キルタメ。」


「え!?神様って・・・。神様?『アイツら』って、神様食うの!?」


「たぶん・・・ちょっと違うのかも・・・。元々信仰していたこの祠の神様をっていうか・・・、その神様にお願いしていた人たちの“願い”とか“祈り”?の思いを食ってるっていうことなのかも・・・うぇ・・・。」


「うぉおい、ちょっと、かふう・・・しっかりしてよ・・・。大丈夫・・・?」


僕はあまりの不快さにその場に座り込んでしまった。


酷い・・・・・・・・・。


こんなに酷い“感覚”は初めてだ・・・・・・・・・。


「この町」の

どこでも感じたことのない“濃さ”・・・・・・・・・。


意識がハッキリしない・・・。


目が開けていられない・・・。


全世界ががグルグル回っている・・・。


五感が・・・壊れそうだ・・・・・・・・・。


******


あきらかに異常な状態のかふうに

何もしてやれなくって、


ただただテンパり続けているあたしは、

ない知恵を絞り倒した・・・・・・・・・けど、

やっぱり何も出ない!ヤバい!


ヤバい・・・ヤバい・・・、

ヤバいヤバい!どうしよう・・・・・・・・・。


「みろ、大丈夫。“コレ”投ゲロ。」


「んえぇ!?なになに!?なにがなんなの!?」


テンパり過ぎて不思議な踊りを

メダパにそうになっているあたしに、

ヨアヒムは綺麗な石を渡してきた。


「わ・・・綺麗な石・・・。じゃなくって!え!?なに、これ!?宝石!?」


「違ウ。デモ、『まほうのいし』。『アイツラ』コレ嫌イ。『とろれらいと』ダ。投ゲタライナクナル。」


「え!?マジで!?」


あたしは、もらった石を改めて見てみた。


綺麗な青緑色?

淡いブルーやグレーがかった緑色とかが


グラデーションのように広がっているその石は、

蛍みたいに優しく温かく「ぽっ」って光っていた。


これで、かふうを助けられる!・・・・・・・・・はず!


かふうを・・・あたしの友達を助けるために。


ありったけの気持ちを込めて、

ヨアヒムからもらった「石」を


あたしは「ソイツ」めがけて、

思いっきりブン投げた。


「てぇんめぇ、くぅおんの野郎ぉお!!くたばりやがれゃぁぁ、うおぉぉぉぉぉぉりぃいぃやぁぁぁぁ

ぁぁああ!!!!!」


「ア・・・・・・・・・。」


ドゴン!というのか、ズガン!っていうのか、

ボガン!って感じの・・・・・・・・・。


なんかでっかい交通事故みたいな音が鳴って、

車の一番強いライトみたいな、

すっごいギラギラ眩しい光を出して、

ちっちゃな神社?みたいなやつがぶっ壊れた。


・・・・・・・・・たぶん、これでいけるはず!


「かふう!!無事!?大丈夫!?」


「ふーーーーー・・・・・・・・・。あぁ・・・ぅん・・・。なんとか・・・大丈夫そう・・・だよ。」


「よかったぁぁ・・・。」


「ンーーーーー・・・・・・・・・。イイノカ?大丈夫カ・・・・・・・・・?」


僕はまだ不快感が完全に消えていない頭を

なんとか動かそうとした。


その間にヨアヒムは、


みろの豪腕から発射された剛球で、

完全に本当の意味での

“残骸”になってしまった祠に


ちょこちょこと近寄っていって、

瓦礫をどかしている。


何かを探しているようだ・・・。


「あれ?ヨアヒムどうしたの?」


「みろが祠ブッ壊したからでしょ?一緒に何か大事なものが壊れてないか探してるんじゃないかな・・・?」


「え!?だって・・・さぁ!ああしなきゃ、かふう助からなかったじゃん!じゃあ、仕方なかったじゃんって!ねぇ、ごめんて!ヨアヒム!」


「ヨアヒムも、まさかみろが加減なしに致死レベルの死球デッドショットするとは思ってなかったんだよ。こう・・・、なんか、『ひょい』って感じで放り投げるくらいのを想像してたんだと思うよ・・・たぶん。」


「えー・・・。なんか、ほら。“魔法”って気持ち大事にしたほうがいいときってあるじゃんね?・・・・・・・・・あるよね?ない?」


「うーーーん・・・・・・・・・ない・・・かな・・・、わかんない。とにかく、ヨアヒムが探している何かが無事であることを祈ろうよ。」


「オ、アッタゾ。多分、割レテナイ。」


「ねぇだから、ごめんて!不穏なこと言うなよ!」


爆破や落雷にでも見舞われて

文字通り残骸になってしまったような、


“祠だったであっただろう『そこ』”で、

ヨアヒムは何かを見つけたようだ。


青緑色の「緑青」っていうのかな・・・。


全体的に錆びて古い銅板のような丸い金属板。


片面には縄目模様のような、

紐が絡み合ったような装飾が入った・・・

十字架?みたいな意匠。


もう片方には・・・、なんだ・・・これ・・・。

渦巻き模様・・・・・・みたいだけれど・・・、

ちょっと違う・・・。迷路?


スタート地点みたいな・・・

入り口みたいな部分はあるけど・・・、出口がない。


「“鏡”ダ。」


******


「“鏡”・・・これが?なんも映んないじゃん。」


あたしたちにヨアヒムが見せてきた、

その“鏡”はとっても古そうだけれど、


どう見てもただの重そうな

金属の板にしか見えなかった・・・。


装飾の片面と、ツルツルに磨かれてるっぽい片面。

そのツルツルした表面に金色の渦巻き模様。


かふうはしばらくその“丸板”をじっくり見て

「これって、もしかして…」って感じで話し始めた。


「銅鏡・・・ってやつかな・・・。昔の、古墳とかがあるくらい大昔の日本で、呪術に使われていたっていう。」


「え?なんか、かふう今日詳しくない?」


「・・・・・・・・・一応、準備してきましたから。」


僕らに向かってヨアヒムは、その銅鏡に描かれている

金色の渦巻き模様を指でなぞりながら

「コレガ、入口ダ。」と教えてくれた。


「・・・・・・・・・“入口”って・・・。」


「あ、あれじゃね?呪文とか唱えるの?」


「違ウ。コノ渦巻キヲ指デ、“グルグル”スル。」


「“グルグル”??」×2


「何モ考エナイ。何モシナイ。グルグルスル。行ケルヤツハ、ソノ場所ガ頭ニ出テクル。会イタイヤツガ頭ニ出テクル。」


ヨアヒムはそういうと、目を瞑って

渦巻き状の金色の線を指でなぞる真似をして、


「ヤッテミロ。」という感じで、

僕らのほうに鏡を差し出してきた。


その鏡からは不思議な匂いがした。


花屋で嗅いだことがある

ホワイトリリーやスズランといった甘い花の香り。


そして、駄菓子屋の店主が教えてくれた

「香木」や「乳香」によく似た幻想的な香り。


そして、ほんの僅かだけれど、


とてつもなく不愉快な気持ちになる

「生理的嫌悪感」が顔を覗かせるような臭い。


「アイツら」の臭いだ。


ヨアヒムは僕の様子に気付いているようだった。


この中にさっきの“ヤツ”の残りがいるのか、

一応念のため僕は確認したかった。


「ねえ、ヨアヒム。もしかして、この中って・・・。」


「ヤッパリ。かふう「ワカル人間」カ。デモ、違ウ。“アイツラ”ジャナイ。キット、“すぷりがん”ダ。」


「え?なになに?二人とも、先に進まないでよ。どしたどした?」


「鏡・・・の、中?からっていうのかな・・・。“臭い”がするんだよね・・・“アイツら”の・・・。」


確かに“アイツら”とおんなじ“臭い”がする・・・。


でも、「おかしい」・・・。

「妙だ」・・・なんだろう・・・・・・この感じ・・・。


花の香りや他の甘い香りのせいじゃない。


何か・・・・・・・・・。


なんだか・・・「覆いをされているような」・・・。


窓や壁一枚でへだたれている

向こう側に放置されているゴミ袋の臭いが


何かの拍子に臭ってきているような・・・・・・。


そんな、なんだか

「“もの”の中から漏れ出た臭い」がする・・・・・・・・・。


僕らの様子を見て、

その“スプリガン”についての話を

ヨアヒムがさらに続ける。


「キット、“すぷりがん”ガ入口ニイル。アイツラ、強イ、コワイ、トテモ悪イ。「醜イヤツラ」、「チッコイヤツラ」、「綺麗ナヤツラ」、ミンナ“すぷりがん”ニ守ラセル。」


「・・・・・・・・・こ、コンシェルジュ的な?」


「警備員ね、みろさん。」


「ハズいじゃん!ツッコむなよ!」


「君の名誉のためだよ。で、ヨアヒム。そいつらは、かなり強いの?その・・・、人を喰うとか・・・?」


かふうの質問にヨアヒムが「イイヤ」と首を振った。


二人でほっとした瞬間

「デモ、」とヨアヒムが続けた。


「デモ、アイツラトッテモ悪イヤツラ。キット酷イコトニナル。」


“それでも行くか?”という感じで、

あたしたちの顔をヨアヒムが心配そうに見つめている

おじさんの死の真相を知りたい・・・。


もし、死んでいないのなら助けたい・・・。


でも・・・・・・・・・・・・。


あたしは、そこで考えるのを一旦やめた・・・。


その代わり、ここまで一緒に来てくれた

親友の顔をジッと見つめた・・・。


かふう。


ちっちゃな頃から儚げで消え入りそうな、

いつもひとりぼっちで寂しそうだった、


あたしの親友。


あたしが側にいるだけで、笑顔になってくれて、


どんな理由かはわかんないけど、


いつも一人で寂しそうにしているかふうの

その“寂しさ”が少しでも

なくなってくれるっていうんなら、


ずっといつまでも側にいてあげたいと思った。


そんなかふうが、今はほんのちょっとだけ

たくましくなったように見えた。




かふうが言った「準備してきましたから。」っていう

言葉をあたしは思い出していた・・・。


何度も何度も繰り返し噛みしめるように・・・。


約束も守ってくれて・・・、


どんなことかはわかんないけど

「準備」までしてくれて・・・、


そんで、前よりもずっと頼りになる

たくましい「相棒」になってくれて・・・。


だから・・・・・・・・・・・・死んでほしくない・・・・・・・・・!


危ない目に遭ってほしくない!


今更だけど、あたしは

自分が挑んでいることに対して恐怖を感じていた。


自分のせいで、

おじさんも、かふうも

失ってしまうかもしれない・・・・・・。


そんな感じの・・・・・・後悔・・・・・・?


誰も失いたくない・・・。


でも、おじさんを助けるためには

行くしかない・・・・・・。


一旦、駄菓子屋の店主に相談しようか・・・。


いや、でも・・・・・・。


おじさんを「あたしが」助けなきゃ、


他の誰かになんて頼れない。

きっと、絶対に相手にされない・・・。


他の誰でもない、

「あたし」がやらなきゃ意味がない。


どうしよう・・・・・・・・・。


******


「先に行ってるよ。」


僕はみろに声をかけた。


焦り、後悔、恐怖


きっとみろはそんなことを考えていたんだろう。


みろは、そういう娘だから・・・・・・。


よし。


気合い入れろ。


いいとこ見せろ。


親友に心配させっぱなしなんて、

昔と何も変わらないじゃないか。


「準備してきましたから。」


そう言ったじゃないか。


その言葉に嘘はない。


何があっても「みろだけは守り通す」。


僕はそんな準備をしてきたんだから。


入口に入る前に、

僕はヨアヒムにあることを確認したかった。


「ねえ、ヨアヒム。スプリガンは入口のすぐ近くにいるのかな?それとも、入口に入ろうとするやつがいると反応して襲ってくるのかな?」


「キット、スグ近クダ。キット、入口ノスグ前ニイル。」


「・・・・・・すぐ前か・・・ちょっと微妙だな・・・、入ってすぐに襲われたらキツいかも・・・。」


「いやいやいや!おいおいおい!ちょっと待てや!何勝手に行こうとしてんだよ!リーダーはあたしだろがい!」


みろはふざけているように見せて、

本気で止めようとしている。


僕は・・・言わなきゃ・・・。


「この日のために準備してきた“こと”」を

見せなきゃ・・・・・・。


みろは・・・きっと傷つくだろうな・・・・・・。


怒ってくれるなら・・・まだ、マシだな・・・。


「ごめん。みろ。」


かふうが謝った瞬間・・・・・・

かふうの体が「黒くなり始めた」。


“内側から黒く染まっていく”とか、


“黒い色に覆われていく”とか、


そんなんじゃなくって・・・


だんだんかふうの体が、“黒い何か”のせいで


「人型(かふうの体の形)をした黒い穴」


みたいになっていってるようだった・・・・・・。


それは・・・・・・まるで・・・・・・・・・

・・・・・・・・・「アイツら」・・・・・・・のような・・・。


自分のせいで

親友を失ってしまったかもしれない絶望感。


そんな無力で何もできなかった自分への失望感。


まだ間に合うかもしれない、


でも、どうしたらいいのかわからない。


どうしようっていう焦燥感。


ぐちゃぐちゃな頭のせいで動けなくなった身体を


無理矢理動かそうとして、余計に焦る。


かふうがいなくなってしまう・・・・・・・・・。


またなの・・・・・・?


あたしの周りからは、

大切な人たちがいなくなってしまうの・・・・・・?


あたしは・・・・・・家族だけじゃなくて、

親友まで失ってしまうの・・・?


かふうだけは……失いたくない・・・!


あたしは、ヨアヒムから

さっき投げた石と同じやつをもらおうとした。


「アイツら」と似ているなら、

きっとさっきみたいに


「アイツら」とおんなじように

「消す」ことができるはず!


おじさんも助けるけど、親友も見捨てない!


両方やらなくっちゃいけないのが、

“スーパーヒーロー”のつらいところだけど・・・。


でも、あたしは「弥勒さま」だから。


かふうは「覚悟」を決めて、準備をしてきた。


あたしは、どうだ?

いいとこ見せろ!


親友に恥かかすな!


そんなあたしの覚悟が本物なのかを試すかみたいに、目の前の事態がさらに“悪化した”。


妖精の住処への入口から・・・・・・・・・・・・。


デッカい「手」が出てきた!!!!!


次回!風雲急を告ぐ、カサ◯ドラ!

変貌したかつての親友と、謎の巨大な腕!

みろはかふうの頭上に死兆星を見たか!?


乞うご期待!!


・・・・・・なのかな・・・?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ