*第10章:Follow the Leaderが一番楽<ひとまかせがいちばんらく>【弥勒とかふう、 ノッカーとコボルトに出会う。友好的な妖精との会話。そして、かふうに訪れる第二のト ラブル。】*
廃鉱に向かってからずっと、
みろは何か食べていると思っていたけど……。
朝起きて即効で駄菓子屋に来たから
おなか減ってるとは言っていたけども………。
マジか…………。
しかも、食べたお菓子を全部ポイ捨てせずに
買った時の袋にしまって
カバンの中に入れて持ち歩いているという
謎の育ちの良さまで見せて………。
まさか…と思ったけど、
念のため恐る恐る僕はみろに聞いてみた。
「………飲み物……とか……は?」
「飲んじゃった(^^;)テヘペロリン」
頭を抱えて膝から跪くように崩れ落ちた僕と、
「ごめーん。ダッシュで買ってくるから!」と謝るみろ。
まるでコントのような僕らに、急展開が訪れる。
妖精が思いがけないことを言ってきたからだ。
「何モイラナイ。“俺タチ”人間ノ『ともだち』多イカラ。昔、トッテモ昔、『ともだち』カラタクサンモラッタ。ダカラ、“俺タチ”何モラナイ。人間ガ来ルダケデ、“俺タチ”嬉シイ。久シブリダ。」
準備してきたお菓子が
空になってしまった僕らにとって、
そのみどりのやつが言ってきたことは、
本当に幸運なことだと思った。
でも、同時に僕は、このみどりのちっこいのが
初めから言っている“ある違和感”がどうしても気になった。
「ずっと、君は“俺たち”って言っているけど・・・、僕らには『君』だけしか見えない。他にも誰かがいるの?それとも・・・僕らよりも先に『誰か』が来ているの?」
「 “のっかー”ダ。名前ハ“とみー”。デモ、アイツ多分隠レテル。“のっかー”ハ、トテモ恥ズカシガリ。人間、俺タチノコト、知ラナイノカ?俺ハ“こぼると”。名前ハ“よあひむ”ダ。」
「え!?コボルト!?今、コボルトって言った!?それに、ノッカーって!」
「君たちが“ノッカーとコボルト”・・・。」
みどり色のちっこいの「コボルトのヨアヒム」は
興奮している僕らの顔を交互に見ながら、
また首を傾げて「変なヤツら」という感じで
僕らを見ている。
「掘ラナイ・・・、買ワナイ・・・。変ナ人間ダナ。人間、何シニ来タ?」
首を傾げながら思議そうに
僕らのことを見つめているヨアヒムに、
僕らはここに来た目的を改めて正直に話した。
「実は・・・、“君たち”に手を貸してほしいんだ。僕たち、『妖精の住処』に行きたいんだけれど、そこへの生き方が分からなくって・・・。」
「そこに、あたしのおじさんがいるかもしれないんだ・・・。ずっと昔に“チェンジリング”っていう妖精に連れてかれちゃってさ・・・。もしかしたら、そこに行けば会えるんじゃないかって思って・・・。で、ノッカーとコボルトっていう妖精たちが助けてくれるはず、って
聞いてここに捜しに来たんだよね・・・。」
僕らの話を聞いて
ヨアヒムは「ゲッッ」っという表情をした。
その時だった
「ドーン・・・ドーーン・・・。ドーン・・・ドーーン・・・。」と
何かを叩く音が廃墟に低く響き渡った。
「???なになに!?ラップ音ってやつ!?」
「・・・・・・・・・まさか・・・。」
「大丈夫。“のっかー”ダ。壁ヲ叩イテル。」
「・・・あ!『ノックする妖精』だから、“ノッカー”なんだ!」
「ソウダ。“のっかー”ハ、ミンナ恥ズカシガリ。人間ニ姿余リ見セナイ。“のっく”シテ知ラセル。『ウゲェッッ!!』ダッテ。」
そういって、ヨアヒムは
さっきと同じ「ゲッッ」という顔をした。
「どした?」
「何か・・・僕たち気に障ることでも言った?」
「違ウ。俺タチ、“チェンジリング”ノコト、嫌イダ。俺タチ、人間ノ『ともだち』タクサンイタカラ、アイツラ、嫌イダ。アイツラ、“悪イヤツラ”。“神隠し”スルヤツラ。」
ちっこいヨアヒムは
また「ゲッッ」という顔をしている。
よっぽど嫌いらしい。
あたしも真似して「ゲッッ」としてみる。
ヨアヒムはケラケラと笑って、
トミーは高くて軽快なノックを鳴らしている。
結構付き合いやすいやつらかも。
みろと妖精たちは打ち解けているし
この二人(?)(いや、二匹?気分害されてもあれだから、黙っとこう。)は“チェンジリング”のことを嫌っている。
嫌いな理由も「ともだち」である人間に
害を与える存在だからということみたいだから、
この二人(?)なら味方になってくれるはず。
僕はヨアヒムにさらに頼んでみた。
「ねえ、ヨアヒム。僕はかふう。こっちはみろ。このみろのおじさんを助けるために『妖精の住処』に僕たちを案内してくれない?あと、図々しいお願いなのは分かってるけど、でも、頼れるのが君たちしかいないから、できれば・・・どうやったら助けられるのかもわ
かんないから、助けてほしいんだ。」
「あたしからも、お願い。どうしても、おじさんを助けたいんだけど、どうやったら“そこ”に行けるのかわかんないし・・・。あと、妖精と戦うってどうやったらいいのかもわかんないし・・・。」
「え?みろ、最初からケンカするつもりで来てたの?」
「え?逆にザナ氏は穏便に話し合い系?かあさんは、許しませんよ。」
「誰がおかんやねん。違うよ、ヨアヒムやトミーに力を貸してもらえるんだったら、姿を見えなくしてもらうとか、バレないようにおじさんを救出できる方法でいこうかな?って思ってたから。」
「えー、そこは妖精なんだから、なんか魔法的なやつで、光の球打ち出すーとか、ドラゴンに変身だ!とかさ。かふうがね。」
やっぱ、僕なんだ・・・という顔で、
蔑むようなジトっとした視線を
みろをを向けている僕と、
「いや、当たり前じゃん。引くわ。」の顔で
僕を見ているみろ。
「ン?イイゾ。手伝ッテヤル。俺タチ、アイツラ嫌イダシ。アイツラ、悪イヤツラ。ダカラ、人間タチ俺タチモ“悪イヤツラ”ダッテ、怖ガル。俺タチ、ソレ嫌ダ。」
「ドンドンドンドンドーン・・・。ドドンドドンドーン・・・。」
「とみーモ、“イイゾ。”ッテ。」
「マジ!?ぃいよっしゃーイェーイ!!!」
「よかった・・・。」
「デモ、」
「ん?×2」
「デモ、俺タチ姿見エナイノ、『まほう』ジャナイ。人間カラ隠レルトキダケ。悪イ人間か『ともだち』カ、ワカラナイカラ。人間ダケド、ソノ『いし』持ッテルヤツ、俺タチガ見エル。」
「あ、そうか。妖精のほうから姿を現さない限りは、人間には見えないんだ。だから、ここに来たときは見えなかったんだ。」
「え?じゃー、かふうを強い怪物とかに変身させて戦わせる!とか、かふうが攻撃魔法を使えるようになる!とかもできないの?」
「・・・・・・・・・なんで、僕なんす?みろさん。」
「俺タチ、ケンカシナイ。悪イヤツラ違ウカラ。ケンカスルノハ、人間。」
ヨアヒムが凜々しい顔して、
「ビシッッ!」と僕を指さす・・・。
・・・・・・・・・「え?やっぱ、僕なんす?」の僕・・・。
「え?準備したんっしょ?」と、
こっち見てるみろ・・・。
“テヘペロリン” って感じのヨアヒム・・・。
え、妖精もするの?そういうの…。
一瞬で隠れちゃったけど
なんかミニチュアの鉱夫のみたいな
恰幅のいいおひげのおじさんが
「グッ!」っと親指を力強く・・・・・・あ、ノッカーか!?
妖精たちと幼馴染みの期待を一身に背負った僕は
この時はまだ何も知らなかった。
頼ってもらえて、なんかちょっと嬉しいな・・・。
照れながらそんなことを考えていた僕に・・・・・・
まさか・・・・・・
「あんなこと」が起こるなんて・・・・・・・・・。
そう・・・僕はあのとき・・・“人間をやめた”。
大切な友達のために
友達の未来を守るために
友達に未来を託してくれた人のために。
僕は人であることを棄てた。




