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TOWN 第一部:【妙】〜『普通』の顔した正体不明(ひとのかわをかぶった※※※※)〜  作者: 双子座の副操縦士


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*第9章:廃鉱の中で響く声は“Here to Stay” 【廃墟の中、妖精を捜すかふうと弥勒。弥勒の心の内を考えるかふうの描写。ハグストーンの効果と思わぬトラブル。】*

「ここが例の廃鉱か…。なんか、心霊系凸してみたとか、マニア向けの動画にありそうな雰囲気っすね…。あと、サバゲー?とかでも使われてそう。」


「もう使われなくって…、どのぐらいだろう…?70年は経ってるんじゃないかな?」


「うぇ!?そんなに!?え、やば!?天井とか床とか抜けないかな…。ていうか、入ってからずっと“何か”臭いんですけど!?なんすか、この(しゅう)は、かふうさん!?何臭ですか!?」


「いや…、知らないよ…。何臭かは…。っていうか、『暗いと怖いし、なんか廃墟だから、ボロそうじゃね?なので、今行こう。』って誘ったのはみろじゃん。」


「そだっけ?」


「いや、“てへぺろりん”とかしても、全然カワイくないから。」


「やっぱ、てめ、死にてえのか。」


そう、僕らは予定を変更して朝から例の廃鉱へ来ていた。


繰り上げるなんてもんじゃない。


「もう、学校サボっちゃわねw?」ぐらいのノリで、朝みろからLINEが来た。


――以下、LINE――


みろ:>おはよう、ザナドゥ!

   >廃墟に行くぞ!

   >駄菓子屋集合!


かふう:>Σ(゜Д゜;)!?

    >いや…、みろさん…。

    >僕もう登校準備しちゃってるんすけど…。


みろ:>まじで?

   >じょあ、ちょうどいいじゃん!

   >お菓子は「号泣触感!クライサンダー‼」がいいかな?

   >「ヤンキードゥナッツ」もあるよ!

   >「弩級バー」もあるよ!

   >店長が「白菜さんだよ?」がうまいって!


かふう:>かおす・・・(#゜щ゜)・・・怒

    >学校は?


みろ:>「生理が重いんす。」つって(*`艸´)ウシシシ

   >「謝名堂くんも、あたしに付きっ切りで看病してるから来れません!」つって(〃艸〃)ムフッ


――以上――


みろの行動力は恐ろしい…。


最後の内容を読んで

「なんてことを…。」と思いつつも

僕は取り敢えず登校するふりをして家を出て


駄菓子屋でみろと合流し

そして今、例の廃鉱にいるわけだけれども…。


みろの今の気持ち…。


ぶつけようのない怒り…?


自責の感情…?


聞いてしまったことへの後悔…?


そんな感じだろうか…。


前に進むことで

“知ってしまった事実”を受け止めつつも

余計なことを振り払おうとしているのか…。


それともいつも通りのみろなのか…。


そんな僕の心配をよそに

みろはどんどん廃鉱の中を進んでいく。


変だ。


僕はこの廃鉱に来てから

ずっとある「違和感」が気になっていた。


ここには“アイツら”の気配が全くない。


それどころか………「普通の廃墟」っぽい。


なんだ……この場所は…。


僕がそんな「違和感」を気にしながら進んでいると、みろが立ち止まって話しかけてきた。


「ねぇ、そういえばさ、かふう。そのロッカーとロベルトってどうやって呼び出すの?」


「……………“ノッカーとコボルト”ね!」


「それそれ!」


「はぁ…。さっき店主も言ってたでしょ?『ハグストーン』だよ。『ハグストーン』。」


「それがさぁ、さっきからずっと見てんの。でも、なんか、ちっちゃな足跡しか見えないんだよね…。」


「え…。『見える』の!?」


驚くかふうに、あたしはドーナッツみたいな

穴の開いた石を渡した。


この廃墟に来てから

ずっとこの石を使って「見てきた」けど


妖精?小人?ぐらいの

サイズ感の足跡が中に続いていて


あたしはその足跡を辿ってきたわけだけれども…。


肝心の「足跡の持ち主」がどこにもいない。


石で見えたのは


まず最初に「でっかい穴」が一つあって


そのあと「けんけんぱ」みたいに

たくさん穴が開いている場所があって


それから、さっきはなんかダクト?みたいな

ホース?が“ぶらーん”って感じで

あたしの前を横切って行った。


でも、肝心の妖精とか

小人みたいなのは全然見えなかった。


んーー……。


こりゃ出直しかな?


やっぱ、夜にならなきゃ

おばけ的なヤツは出てこないのかな…?


次にどうするのか相談しようと思って

かふうに声をかけようとしたら

変なことを言ってきた。


「みろ…『これ』…、全部『見えていた』の?」


「え?」


みろは自分だけが

石を通して「見えていた」ことに

気付いていないようだった。


そうか、「ハグストーン」は

妖精を見るだけじゃないんだ。


この石は「妖精が仕掛けたいたずらや、罠を見破ること」もできるんだ。


だから店主は僕らにこれを渡したんだ。


だから、あのとき黒瓜はあんな態度を取ったんだ。


僕はみろに次にすることを提案した。


「みろ。この石は妖精の足跡だけじゃなくって、妖精の仕掛けた『モノ』も見破れるようだから、もしかしたら、妖精がどこに隠れているのかも、見破ることができるのかもしれないよ?」


「マジで!?え、この石すげーじゃん!……でも、さっきからいろいろ見てるけど、なんも……。」


かふうから石を受け取って穴を覗きながら

そこまで言って、あたしは話すのをやめた。


かふうの後ろ


1mぐらいのところに「いる」


小さなやつと目が合ったからだ。


そいつはかふうの膝から下ぐらいの身長で


頭まですっぽり包まれた全身タイツ?

宇宙人?みたいな服を着て

ブーツを履いた


全体的にみどりぃカラーパターンの格好をしていて、あたしのことをじっと見ていた。


…………………


どうしていいかわからず

取り合えずそのまま5、6秒くらい

見つめ合っていたけど


あたしはかふうにありのままを話した。


「なんか、みどりぃやつがいる!」


「え!?どこ!?」


「下!かふうの足んとこ!後ろのちょい目線下!なんかいる!」


みろの言葉が指し示しているだろう場所を

僕は振り返って見てみた。


ほんとだ…。


何かいる…。


たしかにいる…。


小さな緑色の服を着た……と、考えながら

僕は同時に「え?」と思わず声を漏らした。


そう、「見えている」んだ。


そいつを、僕は石を通してではなく

肉眼で「見えている」らしかった。


おまけに、小さな“そいつ”は僕らに話しかけてきた。


「人間、何シニ来タ?ココ、モウ『鉱物』ナイ。掘ルモノ何モナイ。」


「うお!しゃべった!え!?ていうか、見るだけじゃなくって聞こえてる!?」


「どうやら……そうらしいよ……みろ。僕も見えてるし、聞こえてる…みたい。」


かふうがそう言うから

あたしは石をどかして自分の目で見てみた。


ほんとだ、「見える」。


ちっちゃいみどりコーデのやつがいる。


こいつが妖精!?


みどりのちっちゃいやつは

さらにあたしたちに話しかけてきた。


「人間クルノハ、久シブリ。モウ来ナイト思ッテタ。掘ルモノナイカラ。“俺タチ”人間ノ『ともだち』タクサンイタ。ダカラ、チョット寂シイ。オマエラ、掘ルノカ?ソレトモ、買ウノカ?」


「え?何?」


「きっと、採掘業者か卸業かってことじゃないかな?僕らはどっちでもないよ。妖精に会いに来たんだ。」


かふうが言った「妖精に会いに来た」

という言葉を聞いて、そのみどりぃやつは


「なんだそれ?」とでも、言いたいような顔で

首を傾げた。


ちょっとカワイイかも。


それに、人間にこんなに親しく話しかけてくるし、

「人間の“友達”がたくさんいた」って言ってたし、

こいつは悪いやつじゃないのかも。


そう思ったあたしは、かふうに提案してみた。


「ねぇ、かふう。こいつにお菓子あげてみようよ。もしかしたら、お礼にブッカーTとコブルポットのこと教えてくれるかもよ?」


「…………………ノッカーとコボルトね?」


ねぇ、覚えてみろさん。

妖精さんの名前……。


でも、みろの提案は確かに一理ある。


もし、正体不明のアイツらみたいなヤツなら

もうすでに僕もみろも襲われているか

何らかの現象に巻き込まれているはず。


一か八か…、試してみる価値はあるはず。


僕はみろに目で「ok」と伝えた。


みろがカバンからお菓子を出しながら

妖精に話しかける。


「ねぇ、ちょっと教えてほしいんだけどさ…。あたしたち、妖精を探してるんだ。その、えっとー………、ノッカーとコボルト!を探してるんだけど…、どこのいるのかわかんないかな?ほら、お菓子食べない?妖精が好きだって聞いたから持ってきたんだけど…。あ

れ?」


「・・・・・・・・・どうしたの?」


カバンを探っているみろの様子がおかしい。


まさか……、そんな……。

嘘だと言ってよ、みーろー……。


僕は神様にでもすがるような顔でみろを見た。


みろが僕の顔を見ながら

聞きたくなかった事実を告げる。


「ごめん…、ザナドゥ…。しくった…。」


お菓子が・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない。

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