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9戦目 話し合い

 木の上からの朝は気持ち良いがそれはよく眠れてる時に限る……私は大きな欠伸をして目を覚ました。


「おはよ……ございます……」

「はい、おはようございます。」

「おはよー!」

「おはよーー!良い朝だね!」


 全員バラバラの朝の挨拶だった。寝不足の私に対して眠れてる2人は元気だった。コーネリアは何も変わらない感じだが話してる時に目をつぶってるのは寝不足の証だ。


「皆さん体力満タンの人、寝不足の人と分かれてますが……今日は騎士団の方たちと会談して参ります。」

「行くのは私と……フェスです。」

「……えっ?」

「私ではないのですか?」


 アネリーとコーネリアが疑問の声を上げたが……理由はある。


「確かに普通なら私とコーネリアで行くのが妥当ですが……フェスとアネリーではまだ上手く連携できません。それに……この2人だと暴走しかねないですし、アネリーはまだ会談に行かせるには不安があります。また拠点を知ってるフェスを連れて行く方が手間も省けますから。」

「……納得の理由です。では、帰還をお待ちしてあります。」


 私は頷くとフェスと共に騎士団の拠点に向かった。道中は酷い荒れ様だった。


「酷いわね。」

「うん……相手は火を使ってくるのよ。」

「火ですか?」


 火は確かに恐ろしいですが……燃えるくらいでこうなるのは稀です。


「火を使う武器を使われてると?」

「そうそう。しかも一瞬で広がるしその直後に物凄い風で吹き飛ばされて壁や地面に叩きつけられて亡くなる人も多数よ。」


「なるほど、隣国の技術はもの凄いのですね。」

「感心してる場合じゃないの!こんなの騎士団が手にした日には戦略は上がるけどこちらとしては悲惨な目に会うのよ!」


「……そうね。でも、利用価値もあるのよ。通れない場所をその技術で壊して通れる様にしたりとかね。不要なものを一気に壊したりするとかね。」


 確かにこんな人を傷つける技術なんか必要ないと思われるだろう。けれども見方を変えれば違った価値を秘めてる事は多い。


「それに……」

「ん?」


「フェスも暴れたらこのくらいしますよね?まぁそのおかげで今回はすぐに見つけられましたがね。」


 私はフェスのおでこを人差し指でツンッと突いた。フェスは一瞬目をパチクリさせて笑った。


「あはは!やっぱりメアリーは面白い!」

「何がですか?」


「おい!」


 私たちが笑っていると後ろから少し威圧のある声をかけられた。私は振り返ると2人の男性がいた。


「お前たちここは騎士団連合の拠点だ。敵ならば今すぐ殺す……」

「なんだと……」


 私は喧嘩腰になりそうなフェスを制して自己紹介をした。


「申し訳ありません、私第21師団団長のメアリー・バーンです。」

「第21師団?」

「あぁ……新設されたところだろう?アンタ元々は総指揮官だったんだろう?」

「そうですね。今回は皆様の団長さんとお話ししたく参上しました。今日は会えますか?」


「ちっ……今から会えるわけねぇだろう?」


 まぁそんなの百も承知だが……やはりアポイントは取らねばならない様だ。


「分かりました。では、明日の正午に来るとお伝え下さい。」

「あぁ、伝えておくよ。団長が戻ってきてたらな……」


 2人いるが1人は好戦的でまだもう1人の方が話が通じると思って任せることにした。しかし翌日……


「帰られてないと……?」

「あぁ……すまないな。」


 昨日今日と隊に戻らないなんて事があるか?昨日の好戦的な人は今日はそっぽを向いてタバコを吹かしてる。しかしフェスだけが違和感に気づく。


「フェス……?」

「嘘ついてる!」


「はぁ?貴様!俺を侮辱するのか⁉︎」

「瞬きの回数昨日より多い!嘘つく人は瞬きの回数が増えるんだ!」


 そんな事まで見てるフェスに驚く私を他所にフェスが歩みを進めるが止められてしまう。そう止めたのはタバコを吹かしていた男だった。


「女ぁー、死にたくないなら帰んな……大層な武器の様だが俺たちには勝てないぜ……」

「勝てば通してくれる?」

「勝てれば……な!」


「おい!よせ!」

「フェス!止めなさい!」


 私たちの静止を聞かずフェスは槍を、相手は剣を抜いた。


「久しぶりに暴れたかったんだ!簡単に死ぬなよ!女ぁぁ!」

「私はフェスって言うのよ!名前も覚えられないお猿さん!」


 2人の剣と槍が交えただが、フェスにはもう一本の槍が残っている。


「貰うわよ。その足!」


 そしてフェスは槍で男の太ももに突き刺さる……かと思った。


「読めてるぞ、その攻撃はな!」


 男は半歩引いて躱していた。だがフェスはというと……


「そのくらい読んでくれないとね!」


 フェスはそのまま前に出ながら男の前に出ていた足に蹴りを入れていた。


「ぐっ……良い蹴りだ……が……」

「くっ……」


「そういう弱い部分には鉄板くらい入れておくもんなんだぜ……まぁそれでも良いダメージになったぜ。」

「……ふふふ……良いわね!楽しくなってきた。殺してあげる!」


「やめなさーーーい!」

「いい加減にしろ!エイジ!」


 私はフェスを抱きしめて止めた。そしてもう1人の男性は拳を顔面へ叩き込んで止めた。


「ちっ……テメー!折角テンションが上がってきたところだろうが!!」

「止めろ!指揮官からの命令を忘れたのか⁉︎」


「ふぅーん……指揮官はやっぱりいるんですね。」


「……はぁ……」

「おい、このまま斬り捨てるか?」


「いや……やめておこう……相手は格下でも指揮官様だ。下手をすると俺たちも後を追うことになる。」

「ちっ……勝手にしろ!」


 エイジと呼ばれた男はそっぽを向いて道を開けた。


「改めて……名乗ろう俺はフードだ。指揮官は今面会謝絶にしてる。いるのはいるのだが……」

「面会謝絶って……何か病気ですか!?」

「いや、指揮官3人集まって話し合いをしてる。かれこれ3日だ。その間誰も中へ入れるなと言われている。」


 という事は派遣された騎士団の指揮官が全員集まってるという事だ。


「ならばこう伝えて貰えますか?レア肉と……」

「レア肉?ふざけてるのか⁉︎」


 フードは私を怒鳴った。しかし私たちにはこれで伝わるのだ。だからそれを上回る剣幕で私は言った。


「良いから伝えて来なさい!メアリー・バーンがそう告げたと。それで分かるはずです。もし、それであなたが罰を受けるのなら私が肩代わりしてあげます!」


 そう言うとフードは走って行った。これは隠語だ。レア肉というのは外は焼けているが中は赤く焼けていないという意味から形だけの話し合いは無駄な時間だから止めろという隠語にした。そして案の定3人の指揮官が私の元にやって来た。


「メアリー様!」

「メアリー様だ……」

「どうか私たちに知恵を……もうどうしたら良いか分からないんです!」


 この様子ではよほど切迫していて後がないようだ。


「Zなの?」

「いいえ……もはやα(アルファ)です。」


 これも隠語だ。ここは部下達のいる場状況の深刻さを伝えれば士気が下がりかねない。とは言えαとは……Zは後がないの?って聞いてαと返ってきた。これは新たな問題が始まってるという事だ。なお、話について来れてない3人はポカンとしていた。


「詳しく聞きましょう。会談の場へ案内してください。フェスはコーネリアを連れて来てもらえますか?」

「分かった……」


 案内されたテントはこじんまりしていた。まぁ3人で話すにはそのくらいで良いだろう。


「では、現状を伝えて貰えますか?」

「では、僭越ながら私から……」


 そう言って立ち上がったのは第18師団の指揮官ヨハンだ。彼のことは覚えている。なかなか切れ者であり作戦を立てれば成果を出してた男だ。


「まず、上からの任務をお伝えします。暴動を鎮圧せよ。これが私がここへ来た時の任務でした。そしたら町で外国人が暴れておりこれの鎮圧と思い我々18師団は動いておりました。しかし……」


 次に立ち上がったのは第15師団の指揮官ブルックだ。彼の武功も聞いている。戦果もいつ昇進を受けても申し分ないものだ。


「次に我々15師団が受けた任務では外国人との共存をさせよになりました。ただし武力は使うなと……だが暴れる外国人は多く中には火薬という物を使い簡単にこちらの命を奪う武器を使ってきました。仲間も6人が亡くなりました……」


 そして最後に立ち上がったのは第13師団の指揮官ハネスだ。彼がこの中で最も年長者で部下の育成が素晴らしく13師団から他の隊に行き成果を出した者も数多くいる。現に第15師団の指揮官ブルックもその1人だ。


「そして私どもが受けた任務は反発する国民を一掃せよ……でした。これはここにいる他の騎士団への共通の任務とするとの事です。」


「なるほど……それが新たな問題αなのですね。」

「はい、そしてあなたが来た。つまりはあなたの頭脳で反発する国民を一掃しろ……という事なのでしょう?我々は流石にこんな作戦に加担するつもりは……」


 私はそこで手のひらを向けて静止させた。なぜなら私は今回何も命を受けていないのだから。


「ストップ。私は今回何も命を受けておりません。仲間を増やす為にここに来て偶然この事件に関わったのです。」

「でしたら……」

「ええ!まだ護れます!この国も国民も!」


 3人の指揮官の目に光が戻りました。それもそのはずです。国民を護る為に騎士団に入ったにも関わらず国民を一掃しろなどという命令をするなど本来ならあり得ないのです。


「今回の任務は誰からの指示ですか?総指揮官からですか?」

「はい、どうやら国策という事で移民を受け入れる事で海外からの技術を吸収するのが狙いだそうです。」

「普通逆なんですがね……ですが総指揮官と言えどそんな政治的な事まで踏み込めるはずありません。恐らく裏に国の中枢機関の人間が出したのでしょう。」


 だが、今の私にはその心当たりがない。つまりこれを調べるのに打ってつけなのが……


「お待たせしました。」

「来てくれましたね。コーネリア!」


 そうコーネリアだ、コーネリアの父親は国の政治家とも接点がある。つまり情報を聞き出せるのだ。


「コーネリア、時間があまりありません。すぐに動いて下さい!」

「分かりました……この顔ぶれで私に出来る事……つまり政界の情報抜きですね。」

「そうです。話が早くて助かります。移民政策をしてる貴族、政治家を突き止めて下さい。元凶を絶たねば被害が広がってしまいます。」


「その情報でしたら既にありますよ。」

「流石です。」


 そしてコーネリアはメモを取り出して情報を読み上げてくれた。


「移民政策を推してるのは上級貴族のエモラ・グルという方とサン・イロンという方です。エモラは外務を担当する様になってからはお金使いも荒くなった様です。恐らく賄賂を貰ってるかと……サンの方はどうやら国籍を2つ持っていたみたいですね。今はこの国だけですが、数年前までは他の国の国籍を複数持っていた様です。」


 優秀過ぎる部下に戦慄するも、すぐに情報をまとめ現状を確認する。


「なるほど……この政策は白紙に戻した方が良さそうですね……コーネリア。紙と筆をあの方に一筆書きます。」


 私にはこういう時の奥の手を持っていた。その方に宛てた手紙を書いた。宛名を見た3人の指揮官は顔が青ざめていたが、私は友人に書いてる気持ちで書いたのだった。


「では、皆さん……移民の方でこの国を乗っ取るつもりの方達に裁きの鉄槌を与えて下さい!」


『かしこまりました!』


 3人の指揮官は颯爽とテントを出て指示を出していました。


「コーネリア、あなたはこれを王城にお願いします。私はアネリーとフェスを指揮して騎士団と合流、一掃させてきます。」

「分かりました。メアリー様はあまり前線には出ないで下さいね。」

「……それは保証出来かねますね。」


 私は苦笑いをして誤魔化すがコーネリアは私を真剣に見ていた。


「あなた様に何かあればこの師団は終わりです。くれぐれもお忘れなく……」

「分かっています。その為に常日頃鍛えてますからね。」


 私のことを1番に考えてくれてるコーネリアには少し申し訳ないが……私は指揮官として最前線にいなければならない。だから今回も……

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新もお楽しみに!


 面白い、続きが気になるという方はブックマークをしてお待ち頂けると幸いです。

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