表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

2戦目 設立

「それで納得するとでも?」


 騎士団を管轄する国防部にいたのは第1騎士団団長のクルス・エイムだった。そして話してる相手は国防部最高責任者ドラグ・イーストだった。


「これは決まった事なのだよ。第1師団団長、クルス・エイム君。」

「100歩譲りましょう。コーネリアは仕方ないとして、なぜメアリーを降格させたのですか?」


「前回の戦争責任だよ。多くの兵を死なせたからね。」


「ならば更に100歩譲りましょう。あの時逃げた第4師団団長がなぜ総指揮官の副官にいるのですか?明らかにこちらの方が厳罰に処すべきでは?」


「しつこいね君も……なぜなぜと。閣議で決定した事だよ。私だけの意見ではない。騎士団を管轄する国防部の決定なのだよ。それとも君は国防部に歯向かうのかね?」


「ぐっ……失礼……しました。それで今後の総指揮官は誰がなさるのですか?」

「しばらくは副官のアルバルト君に研鑽を積ませなくてはだからね。隠居中のコルサ・フェイト君にやって貰おうかね。彼も一度の失態で失脚したが彼もまた優秀な指揮官だ。情勢も芳しくない。彼の元で頼んだよ。クルス君……」


 そうして今回の話は終わるのだった。部屋を出たクルスを待っていたのは副官イェーガー・フェイトだった。


「長かったですね。団長……」

「あー……お前の親父が総指揮官に戻るんだとよ。」


「はい、存じております。昨日願書が届きましたから……」

「嬉しくねぇみてぇだな。」

「それはまぁ……御家の恥晒しですよ。2人揃って……」

「そう言や、第4師団団長は確か……」

「私の兄フゥーガ・フェイトです。恐らくメアリー指揮官を嵌める為にやったかと……」

「つーことは国防部もグルか……また無駄な犠牲が出ちまうなぁ……」


 2人はため息を吐き第1騎士団の屯所に帰るのだった。




 第21師団に決まった私たちは特攻部隊となった。そして指揮官は私メアリー・バーン。そして副官のコーネリア・サーシャ。まずは2人からの部署となりました。それでもすぐに1人はやってくる。第21師団の屯所はというと結構な僻地……王城から遠いかつ森の中の古いお屋敷でした。アネリーがくるのは2日前に決まった事によりそこからは2人で大掃除です。そして当日を迎えました。


「今日初出勤なのよね……」


 コーネリアと一緒に出勤と聞いていたがまだ来ていない。今まで総指揮官という立場から直近の部下はコーネリアだけだったからどう接するかもわからなかった。それから少し時が進み……


「来ない……」


 そう誰も来ないのだ。いつも部屋で寝てる私を起こしてくれるコーネリアが今日はまだ来てない。何かあったのか心配になる。


バリンッ!


 そんな心配をしているといきなり窓ガラスが割れた。飛び込んで来たのは小さな女の子……


「初めまして……じゃないよね?こんにちは!私の団長さん!」

「……もしかしてアネリーさん?」


「おぉー!流石一瞬でその答えに持ってくるとはやるねー!じゃあ早速手合わせよろしく!」


 そう言うとアネリーはいきなり攻撃を始めた。素手で!


「ちょっ!まだ自己紹介が……」

「良い良い、大丈夫大丈夫!全て拳で語ろうよ!その方が手っ取り早いから!」


 言いながらも手数は増え続けていた。防御が間に合わなくなってくる。


「まだここまではウォーミングアップだよー!」

「ちょっと!本当に待って!このままだと部屋が壊れる!」

「大丈夫だよ!片付けは一緒にするから!」


 話が噛み合ってる様で合ってない!このまま押し切られるわけにはいかない為にある技を仕掛ける。その為にわざと1発貰います。


「ぐっ……フゥー……」

「あれれ?こんなも……ん?あれ?」


 私は一瞬にしてアネリーを床に寝かせた。私が使ったのは合気という術。相手の力を利用する東洋の技を文間を基に私なりに再現したものです。


「ふぅー……私の勝ちで良いですか?」


 私はアネリーのおでこに人差し指を当てて確認する。


「まだまだ……あれ?」

「人はね、おでこを押さえられると起き上がれなくなるの……人体の不思議よね……」


 その時、部屋の扉を豪快に開ける音がした。


「アネリー!」

「おはようございます。コーネリア……貴女の妹君は聞いている以上に破天荒ですね。」

「も、申し訳ございません!」


 コーネリアは深々と頭を下げて謝罪した。まぁ怒ってないと言えば嘘になるが……最初にこの子の実力を知れてよかったのもある。そして私はアネリーのおでこを押さえていた指をはずして立たせた。


「さぁ、立ちなさい。正式に貴女はこの隊に配属になりました。そして少なからず先陣の報酬も与えます。ですが、窓ガラス代に少し報酬金から引かせて頂きます。よろしいですか?」

「は、はい!」


 最初から強烈な挨拶で始まったこの部署……でもそれもいいかなと思った。


「ほら、コーネリアもこっち来て挨拶!」

「えっ?私もですか?」

「当然!ここでは家族じゃないんですから。でも、家族の様な絆を作って行きたい。それが私が目指す第21師団ですから。」


 コーネリアは一息ついてこちらにやってきた。


「第21師団副官コーネリア・サーシャ!貴女の上官に当たる者!我が部隊へようこそ!」


 バシッと敬礼をして見せたコーネリア。アネリーもこんな姉の姿は見たことがなかったのだろう。少し気圧されていた。しかし遅れながらもしっかりとアネリーもコーネリアに対して敬礼を返していた。


「では、早速アネリーに仕事を与える!」


 そう言うとコーネリアは部屋の隅にあるロッカーからある物を取り出した。


「掃除だ!貴女が汚したんだから責任持って片付ける様に!」

「ええーー!」


「口答えしない!さっさとやる!」


 と言う事で半日かけて私の部屋の掃除をしたアネリーだった。そして午後からは……


「実践訓練をやります。」

「お願いします!」


 たったの3人だけどアネリーにはまだ大切な事を知らないでいる。それを教える為に午後は実践訓練をする事にした。


「実践訓練は何をするんですか?」


 アネリーは知らないだろうから簡単に説明する。


「つまり本物の武器を持って死なない程度に寸止めすると言う事ですね!」

「平たく言えばその通りよ。今回は私が相手をします。午前中よりも広いスペースです。全力で来なさい。」


 コーネリアには審判をしてもらう。今回は大切な事を教えなくてはならないから。


「隊長の武器は何ですか?」

「私はこれよ。」


 私が出したのは一本のサバイバルナイフだった。指揮官になった日からずっと使い続けてる相棒だ。


「……こんな事言ったら失礼ですが……死にますよ?」

「大丈夫ですよ。私はこのナイフと頭脳でやってきたので……」

「そうですか……なら私は全力で行きます!」


 アネリーが抜いたのは双剣だった。そして一気に間合いを詰めて自分の距離にした。


(なるほど……気合いも踏み込みもそして相手との位置取りもなかなかね。)


 私は上手く間合いを測りつつ避けていきます。それを見てアネリーは段々と速度を上げていきます。


「何で当たらないの!」

(クソクソクソ!なんでなんでなんで!とか思ってるんでしょうね。)


 イライラが攻撃を単調にしてしまう。まだ14歳だからの弱点でもあるが、戦場ではそれで命を落としてしまう。


「攻撃が単調です。それでは……」

「ぐっ……‼︎」


 私の蹴りがメアリーのお腹に深々も刺さり飛んで行く。飛ばされても態勢をすぐに立て直せてるのは良い点だ。でも、彼女の知らない所はまだそこじゃない。今度は私から前に出る。アネリーも瞬時に守りの体制へ入る。しかし、私がしたのは……


「えっ……」


 足払いだ。そしてそのまま地面に倒されて私がナイフを振り上げる。


「う、嘘ですよね……隊長?」


 私は殺気を放ち目は完全にメアリーの頭を見据えていた。メアリーからしたら完全に殺す気に見えるだろう。私はそのままナイフを振り下ろした。


ザク!

 地面に……メアリーは額どころか全身から汗が吹き出してた。


「訓練終了よ。お疲れ様。」

「はぁはぁ……」


 少し刺激が強すぎたかもだが実践ではそれが普通だ。確かに敵と交戦し、自ら先陣を切る。素晴らしい戦士になれるだろう。だが勇敢と無謀は違う。なんでも突撃していては早死にしてしまう。長い目で見たら一度死ぬ恐怖を体で覚えた方がいいんです。


「少し刺激が強かったですかね?」

「大丈夫です。むしろ良い経験になったはずですよ。」


 まだ起き上がらないアネリーを見て感想を言い合う私たち。そして話しているとむくりと起き上がった。


「……もう一回!」

「「えっ?」」


「もう一回!負けたまま終われない!」


 私とコーネリアは顔を見合わせた。そして盛大に笑った後了承した。結局夕方まで付き合わされた。そしてこの子が体力お化けなのも分かった。明日からこの子の相手をする苦労を考えると頭が痛かった。



第6師団屯所にて……


「皆さん……弓をもっと大切に使ってくれませんか?」

「下っ端が何を言うか!お前の仕事を作ってやってるんだ!感謝くらいしろよ!」


 1人の女性の周りには弦の切れた弓が無造作に置かれていた。それがたまらなく辛かったのだ。


「道具を大切にしない者は武人ではありません!」

「なんだと?お前の代わりなんて幾らでもいる!いつでもクビに出来るんだそ!」


 そう吐き捨てて部屋を出て行った。1人残された女性マーヤ・サムスは夜通し弓の手入れをするのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ