12戦目 進化とは毎日の積み重ね
「本当に来てたーー!」
「初めて会いました……」
フェスとアネリーの反応はほぼ同じだった。この2人はよく似てる。レイはまだ寝てて起きてきてない。
「フェスさんは久しぶりですね。3年ぶりですか?」
「そのくらいかな?私が騎士団を抜けたのが2年前だから……」
フェスは私の指揮下から外れてから3日で騎士団を抜けた。だから会うのも久しぶりになる。
「そしてそちらは……」
「あ、アネリー・サーシャです!」
「まぁ、あなたがコーネリアさんの妹さんでしたか!」
ガチガチに固まってるアネリーは初めて見たからコーネリアと2人で笑いを堪えるのが大変だった。
「初めまして、アネリーさん。しばらくご厄介になりますのでよろしくお願いします。」
「こ、こちらこそ!よよよ、よろしくお願いしましゅー!」
かみかみのアネリーについに私たちは笑ってしまった。
「お2人とも笑うなんて失礼ですよー」
「ごめんなさい。でも、普段のアネリーじゃ考えられないんで……」
ロゼッタ姫に怒られましたが、いつもと違い過ぎて笑ってしまった。流石に笑いすぎて息が苦しくなってしまいましたが……
「話を戻しましょう。皆さんは今日は何をするのですか?」
最初に声を上げたのはフェスだった。
「とりあえず私たちは実践訓練かな?アネリーちゃんを育てるの楽しいし!」
「私とコーネリアは書類の山を片付けます。マーヤは兵站と備蓄の管理と新しいルーツ開拓をしてもらいます。」
「分かりました……」
「私はまたレナさんの元へ行くと思います。帰りはそのまま帰宅しても良いですか?」
「許可します。その代わり残業した場合はその分を申請して下さい。」
「分かりました。」
という事で、皆さんの動向は分かりました。そしてそれを聞いた姫様は……
「では、私は本を読んでお待ちしてますね。」
「あ、まだ会わせてない子がいるからさ。昼になったらまたここにお願いします。」
「例の子ですね。」
ロゼッタ姫は横目で紙の山を見てました。そこからしばし時間が経って……
「レイ、こちらへ。」
ちょこちょこと歩いてきてロゼッタ姫の前までやってきます。
「初めまして!」
「初めまして……」
「私はロゼッタと申します。しばらくご厄介になりますね。」
「……」
人見知りが激しいレイなのですぐに私の後ろに隠れてしまいます。
「名前、言ってごらん。」
「……レイ……です。」
「レイちゃんね。幾つなの?」
「……7つです。」
成長は少し遅い様だが……この子の才能はきっとこの国を救うと思ってる。
「ねぇ、メアリー。この子午後から借りて良いかしら?」
「構いませんよ。仲良くなれば警戒心は解きますので……」
2人は部屋を出ました。するとすぐにコーネリアが私に問いかけてきました。
「よろしかったのですか?」
「大丈夫よ、空を飛びたいという話を出さないかでしょ?」
「はい、ロゼッタ姫は確かにお転婆で少しズレてますが、この国姫様で常識もあります。」
随分な言われようだが強ち間違えてない。
「少し危惧はしています。ですが、それ以上に期待もしてるのです。」
「期待ですか?」
私は窓のそばまで寄って空を見ながら呟きます。
「レイは異端です。この国では、ですが他の国はこの国とは異なる価値観を持ち技術もあります。」
そして私はコーネリアに振り返り話を続けます。
「私は先の掃討作戦の中で火薬を使う武器を見た時近くまた戦争は起こると感じました。そこにレイを盗られたとすると今度は空からの強襲を受け大打撃となったでしょう。今回レイを拾えたのは幸運としか言い様がないのです。」
「それにロゼッタ姫が気づくかどうかですか?」
「はい、レイが話を持ちかけるのは時間の問題。ならばもう2人きりにした方が良いと考えたのです。」
そして私はある作戦の紙を出します。それをコーネリアは凝視し顔を上げました。
「メアリー様!これは……」
「はい、空からの攻撃パターンと対策です。上から槍を落とされるだけでもパニックになるでしょう。その時の対処を持ちつつ相手がされて嫌なことをこちらは行う。チェスと同じですね。」
私は紙を引き出しに戻して話を再開します。
「これはあくまでもまだ机上の空論です。ですが、対策はしておくに越した事はありません。」
「……では、私からも1つ提案があります。」
「なんでしょう?」
「暖炉の煙を使えませんか?」
私は頭にハテナが浮かびます。私は部屋にある暖炉を見ます。
「……なるほど!そういう事ですね!ですがそれだけの火を起こすのは至難です。もう少し煮詰めましょう。」
バタン!
そうしてタイミング良く入ってきたのはロゼッタ姫とレイだった。
「ねぇ!この子凄い事言ってるわ!実現出来ないかしら!?」
「どうやら話が合った様ですね。こちらも今コーネリアが良い案を出してくれました。予算を立てて下さい。ロゼッタ姫。」
「了解しました!金貨50枚は回します!」
姫様はこういうが大体半分降りれば大勝利だ。実際には1〜15の間であれば良い方なのだ。なので期待はしていない。常に誰かが考えて動いてくれるというのは新しい発見、つまりは改善にも繋がりより良い物が増える。意識次第で変わるのであった。
「では、一度お城に帰られますか?」
「あっ……うーん…………いえ、まずこの国では宗教で空を飛びたいなど言えば下手すると牢獄行きです。上手く言いくるめる必要がありますから。少し知恵をお貸し下さい。」
「わかりました。では、こちらを……」
私が出したのは先程の空からの作戦と相手がもし仕掛けて来た時の被害を見積もった紙を出しました。
「これはそう遠くない未来における私たちの破滅が描かれてます。そして前回の掃討作戦では、火を用いた武器を相手は使ってました。軍や騎士団ですらない者がです。これはつまりもっと高性能な武器が近隣国には大量にあるという事、こちらはさほど火を使う武器はないのにです。」
「なるほどそれを引いてあまりある物が空にはあるという事ですね!」
「加えてこれがあるという事実は相手国への抑止力にも繋がります。実際使えなくてもハッタリに使えますからね」
「なるほど、開発協力というだけでも同盟関係を築けば他は手を出しづらくなりますね。わかりました。父上たちにも話を通してみます。」
そしてコーネリアの方へ向き直ります。
「コーネリア、お願いがあります。」
「はぁ……姫様のことですね。わかりました。仲介役兼護衛として向かいましょう。」
こうしてたった1日の家出を終わらせたロゼッタ姫は夕方には帰宅した。そして翌日、今度はコーネリアと共に戻ってきたのです。
「しばらくご厄介になります。」
「正式にここに滞在するのですね。」
「ええ、私の残した暗号を誰も読み解けなかった様です。それならいっそここにいると分かってた方が良いとの事で。」
「そうなのですね。では、改めてよろしくお願いします!ロゼッタ姫!」
「こちらこそ!よろしくね。メアリー指揮官!」
再び固い握手をした私たち、宗教では国は護れない。国王は昔言ってました。民を護れるのは神ではなく人であり、王であると。なのでこの判断に至るのは至極真っ当だ。だからコーネリアを行かせたのだ。もし、危険なら私も行っていた。
「ありがとう。コーネリア……」
「いえ、お安い御用です。」
私たちへの国王からの信頼はまだ消えてない様です。忠義を尽くすのは騎士道精神……私にはあまりわかりませんが、国王様がまだ信頼して下さるならそれに応えようと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新もお楽しみに!
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