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六話

「はぁ〜〜〜」

双子との同居が始まって今日で約一ヶ月。

最近の私はため息をつくのがクセになりつつあった。

リュックを背負いながら、バスの近くにいた真依ちゃんの傍に駆け寄る。

「真依ちゃん、今日は気合い入ってるね〜」

動きやすさと可愛さ重視の真依ちゃんの服装に、少し羨ましいな、、、と思ってしまう。

「宿泊学習だもん!私服OKなら気合い入るでしょ!でも、未来の服も可愛いよ!」

「ありがとう、、、」

私の服装は、前にショッピングモールで奢られた服。淡いピンク色の長袖に白色の花柄レースがあしらわれたワンピース。

昨日、蓮くんに『僕が選んだ服で行ってほしい』と、泣き付かれてお願いされた。

「未来ちゃん、可愛い〜!」

「あ、蓮くん」

バスから降りていた蓮くんは私の姿を確認するなり、これでもかというくらいに褒めちぎる。一方の悠くんは私を見て固まっている。変だったかな?

「悠斗もそう思うでしょ?」

「え、あ、、、うん。、、、似合ってる」口元を手で隠しながら言う。

良かった、変ではないらしい。

そして真依ちゃんに話題を振ろうとしたら、さっきまで隣にいた真依ちゃんはいつの間に少し離れた方にいた。

「真依ちゃん、、、?」

真依ちゃんが何を言っているのか小声過ぎた為、聞き取れなかったが何やら少し興奮しているよう。口元を手で隠しながら私達を見ている。目元は少しニヤついていた。

「バスは自由席みたいだな」

「僕は未来ちゃんの隣が良い!」

「俺も同じクラスだったら未来の隣に座れてたかもしれねぇのに、、、蓮斗が羨ましい」

「え、、、」

(教室の隅にいるような私が二人の隣に座ってるなんてバレたら、きっと大変なことになる。私が出来ることは目立たずに距離を置くこと、、、)

「ごめん。友達と決めてて、、、蓮くんとは乗れない、、、」

「そっか、、、」

明らか様に肩を落とす蓮くん。少し言い方キツかった気もするけど、それくらい言わないと蓮くんなら諦めてくれなさそうだし。


宿泊学習では近くの山でレクリエーション。チェックポイントを通って帰ってくるというもの。三人グループはクラス関係なく決めて良いということなので、真依ちゃんと組める!

と思っていたのに、、、

「未来ちゃんと同じグループ〜」

「やっと未来の傍にいれる」

何故こうなった?

両サイドには嬉しそうに抱き着いてくる蓮くんと蓮くんを引き剥がしながら地図とコンパクトを見ている悠くん。

この道、初めは平坦(へいたん)な道だっったから良かったけれど、この山道、奥へ進む程に険しくなっていって、段々と体力の消費が激しくなっていく。

途中からフラフラしてしまい、おぼつかない足取りで歩いていたら、木の根っこにつまいずいて転びそうになった。

「おっと、大丈夫か?」

すると、さっと横から悠くんの腕伸びてきて、私の体を支えてくれる。思わずドキッとしてしまう私。

「もう少しで出口だな」

何故二人は息ひとつ切らさず歩けるのか切実に問いたい。

「はぁ、、、はぁ、、、疲れた」

「未来ちゃん大丈夫?」

「う、、、うん」

「おぶってやろうか?」

悠くんが私の方に手を差し出してくる。オロオロしながら蓮くんを見る。

「悠斗、未来ちゃんが困ってるよ」

「あ、悪い、、、」

何か罪悪感が、、、。

夜ご飯はクラス混合五人グループでカレー作り。

「真依ちゃん、皮剥き上手だね〜」

「園芸部が育てた野菜だって。絶対美味しいよね」

玉ねぎの皮をシュルシュルと包丁で剥く真依ちゃんに声をかける。

「それにしても、桜井兄弟って過保護なんだね」

「あ、あはは、、、」

飯盒(はんごう)炊飯(すいさん)でお米を炊こうにも、蓮くんに止められる。包丁で野菜を切ろうにも、悠くんに止められる。

「あの〜、私は何かすることある?」近くで火加減を見ていた蓮くんに尋ねる。

「ないよ」

「昔からお世話になりっぱなしなのに、これ以上迷惑かけられないよ、、、」

「迷惑なんかじゃないよ。僕達がやりたくてやってることだもん」

「それに、お前一人じゃ何も出来ないだろ。ピーラーで手を切ってしまったらどうするんだ」

「ひ、酷い。そんなことはないと思うけど、、、多分」

「多分て、、、」

悠くんが呆れたように眉間を指で摘む。

「カレールーは?」

「佐藤くんが引き受けてくれた」

「頼んだぞ佐藤!」

カレー混ぜ込み担当の佐藤くんが任せろみたいなポーズをしている。

「、、、じゃあ私は食べ終わったら洗い物しとくね」

「う、、、それなら大丈夫、、、?」

「いや、洗剤が中性洗剤じゃない可能性もあるだろ」

「そっかぁ、未来ちゃんの手が荒れたら嫌だもんね」

「ダメだこりゃ、、、」

食器用洗剤のボトルには説明欄に小さく中性洗剤と書かれている。

「あ、焦げてる?」

「ヤバっ」

底の方が少し焦げたお米。今日のご飯はおこげカレー。

「これはこれであり、、、」

「うん。美味い」

「おこげが美味しい!」

「流石オレの混ぜたカレー!」

「意外に美味しい。外で食べるからな?」

夜ご飯を食べ終え、片付けも終えたら自由時間。

「、、、」

山の方をじっと見ている悠くん。

「どうしたの?」

「いや、、、」

すると、何かに気付いたように立ち上がり、山の中に走っていった。

「悠くん!?」

蓮くんと一緒に見逃さないように追いかけた。

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