四話
「え~~!桜井兄弟と同居しているって、どういう、、、むぐっ!」
「しー!真依ちゃん、声が大きいよぅ!」
その日の翌日、私は学校で初めての友達である真依ちゃん、相良真依ちゃんに全てを打ち明けた。
真依ちゃんは一房だけ赤いリボンを付けているボブがよく似合う可愛い女の子。
高校生になってから知り合って、裏表がない性格の真依ちゃんは私にとって頼れる姉のような存在であり、お互いに悩みを相談し合える唯一の友達。
「そっか〜、許嫁ねぇ、、、」
「うん。勝手に決められたことだから」
「そうなんだ。それで同居するなんて〜!」
私は慌てて、真依ちゃんの口を塞ごうとした。
真依ちゃんはそんな手をヒョイとかわして、
「ごめんごめん。他の女子に聞かれたら未来の学校生活、終わるもんね」
なんて、恐ろしいことをさらりと言った。
(うぅ、、、でも、真依ちゃんの言ったことは本当なんだよねー)
あの二人は学校の女子の憧れの的だから。
「二人とは同居していることは学校では秘密にしよう!ってことになったんだけど」
思い出すのは―――入学前夜、二人と交わした約束だ。
初めに言い出したのは悠くんだった。蓮くんは言いたかったらしいけど、何とか言いくるめることが出来た。
二人は格好良いから、やはり女子達からモテモテだった。
二人には箱推し・単推しと、沢山のファンがついている。
そのファンは『ツインズ』と呼ばれていて、、、彼女らは常に二人の最新情報をチェックしていた。
「真依ちゃんの言う通り、ツインズに目をつけられたら学校では生きていけないよ、、、」
ツインズは二人に近付く女の子を絶対に許さないって有名なんだよね。
もし、二人との同居がバレたら、、、、、、
(か、考えただけで怖すぎる!!)
でももし、何かのキッカケで二人との同居がバレてしまったら?確実にツインズの人達に酷い目に合わされてしまうかも、、、
「絶対にバレないようにしないと!」
改めて、心に誓う。
そんな私を見ていた真依ちゃんが、
「でも、これってチャンスかもよ?もしかしたら二人のうちの誰かと恋するかも~」
真依ちゃんの目がキラーンと光った。
「こ、恋、、、?」
「うん。許嫁でも、二人の内のどちらか選ばなければいけないんでしょ?」
「うん。でも、恋愛感情なんて、、、」
蓮くんの言っていた結婚しようも冗談の可能性がある。
そもそも、教室の陰にいるような私が恋なんて無理に決まってる。
そもそも二人が相手にする訳ないし、、、。親が勝手に決めた許嫁、それだけの関係。
(恋が始まるなんて、絶対にないよ)
「蓮斗くんは異様に未来と距離が近いと思ってたけど、そういうことだったんだ〜!納得!」
「きょ、距離近い、、、?」
「うん」
真依ちゃんは即答だった。
学校ではあまり親しくしないように気を付けているが、蓮くんはそんな私の努力を水に返してくる。悠くんは必要最低限以外に話しかけて来ないから油断してた。
「ちなみに、蓮斗くんと未来が付き合っているという噂はすでに流れているよ」
「、、、え」
「急に流れ出して、広まってるよ。ま〜、距離感バグり過ぎてるから勘違いするよね」
「嘘、、、」
サァーっと全身から血の気が引いていくのが分かる。
やばい、本当に終わった。どうしよう、どうしよう。
その場から一歩も動けなくなった。