溺れる青とキミの声
ーー夏休み最終日、先輩は僕の前からいなくなった。
伝えたい事は山程浮かんでくるのに、言葉にしようとすると上手に話せない透真は、廃部寸前の文芸部で一人、変わらない日々を過ごしていた。
ある日、誰もいないはずの部室に行くと、長い黒髪を靡かせた一人の少女が窓際の席に座っていた。
「私、日向 千夏! よろしく。後輩くん!」
いきなり現れた先輩は、どこまでも明るくて自信に溢れていた。
そんな先輩に振り回されて過ごすのにも慣れた頃、口下手であることにコンプレックスを感じていることを打ち明けると、先輩は意外な提案をした。
「小説を書いてみない?」
言葉が出なくて黙ってしまうなら、文章にしてしまえばいい。そう言った先輩に背中を押されて、小説と向き合うことで透真は段々と自身の問題へと向き合っていく。
尊敬か、恋愛感情か自分でも分からないまま、先輩に惹かれていく透真。先輩と過ごす時間が、かけがえのない大切な時間へと変わっていく。
「……このまま時間が止まっちゃえばいいのに」
そう言った先輩は、夏の終わりに姿を消した。
※12/5までに完結する予定です。
1話 潮風を纏う少女
2024/11/27 17:27
2話 万華鏡は転がった
2024/11/27 18:16
3話 言葉の海に溺れてしまう
2024/11/27 18:43
4話 炭酸と硝子瓶
2024/11/27 19:53
5話 太陽は眩しくて
2024/11/28 08:16
6話 失敗
2024/11/28 12:06
7話 隠したい心に耳を傾けて
2024/11/28 12:25
8話 束ねる寄せ集め
2024/11/28 17:13
9話 恋人達の服毒心中
2024/11/28 18:13
10話 僕が、
2024/11/28 18:53
11話 幕が下りる
2024/11/29 08:15
12話 カーテンコール
2024/11/29 09:22
13話 線香花火
2024/11/29 12:08
14話 秒針を止めて
2024/11/29 17:13
15話 遠ざかる夏の足音
2024/11/29 19:12
16話 揺らぐ世界
2024/11/29 20:38
17話 潮騒の心臓
2024/11/30 08:25
18話 キミの明日に、私を
2024/11/30 20:44
19話 潮風が撫でる特等席
2024/12/02 18:47
20話 言葉で繋がっているから
2024/12/03 07:43
21話 時を超えて
2024/12/03 08:17
if 潮風を纏う少女
2024/12/03 12:15