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22 旧校舎裏の対決

※この作品はフィクションです。作中の考え・思想はあくまでも登場人物のものであり、作者の意見ではありません。作中に暴力的な表現がありますが、犯罪行為、暴力行為を助長する意図はありません。暴力も犯罪も絶対にしてはいけない行為です。また、作中に出ている危険行為は絶対に真似しないでください。



 放課後。私は犯人の要求に従い、旧校舎裏に来ている。場所はカメラの死角になっているところにしておいた。犯人たちがここを見つけられない可能性もあるがそのときはそのときだ。

 まだ夏本番ではないとはいえ長時間日に当たっていると暑くて耐えられないので助かった。ここは今の時間帯はちょうど日陰になる。室内も暑いのかカーテンを閉めたまま、旧校舎の窓が開いている。周りに人もいないし何かをしたいときにはちょうどいい場所だ。

「ちゃんと来たみてぇだな」

 ぼんやり涼んでいると男の声がした。ちゃんと合流出来てよかった。犯人は私の予想通り、私のことを恨んでいるだろう三人組だ。予想通り過ぎてつまらない。相変わらず一目でみてわかるほど柄が悪い。本当にどこぞのご令息なのだろうか。ヤンキー漫画の序盤で主人公の強さをアピールするために出てくるゴロツキのような風体だ。

「帰るか」

 私が帰ろうとすると、彼らは私の前に立ちふさがった。スマホを私の目の前にかざし、勝ち誇った笑みを浮かべる。ドヤ顔だ。私もドヤ顔には定評がある。

「これ。何かわかるよな?」

 スマホには私と小鳥遊の写真が映し出されている。いつもの場所で会っている時の写真だろう。今度から場所を変えよう。いやあ、いつみても鼻の下伸ばしててキモイな。

「あーはいはい。小鳥遊先生ね。で、それがどうかした?」

 実際そんな写真がばらまかれたところで私には何の問題もない。学園の敷地内で教師が生徒と話していても何の問題にもならないだろう。

「そんな余裕こいていいのか?ほら、もっとよく見ろよ」

 ずいっと私の顔に押し付けるようにスマホを近づける。彼はその写真の一部を拡大する。小鳥遊の手が私の手を握っている場面だ。小鳥遊は会うたびに何かしらのスキンシップを図ろうとする。気持ちの悪い話だ。まあ要するに彼らは教師と生徒が手をつないでいるからまずいんじゃないかと言いたいんだろう。

「えーっとさ。もしかして君たち勘違いしてない?」

「はあ?」

「小鳥遊先生と私に何かあると思っているなら間違いだよ」

 何かはあるんだけども、彼らが思っているようなスキャンダラスな話題ではない。いや、十分スキャンダルかも。まあ、その件については追々ケリをつけるつもりだ。

「は。言い訳したって無駄だ。こっちは証拠があるんだからな。わかったらさっさと俺たちの要求を聞け」

 そんな手を握っているだけの写真を公開しても何のダメージも受けない。恋人繋ぎで歩いているわけでも腕を組んでいるわけでもない。うえー。想像したら気持ち悪くなってきた。

 小鳥遊が両手で私の手を握っている写真は、恋人というよりも何かをお願いしているように見える。懇願。私は生徒会の一員で大体の生徒に顔を覚えられているので何かと教師から手伝いを頼まれやすい。授業の準備やあと片付けにとどまらず、やれ外部生と内部生の仲を取り持ってくれだの、後輩の外部生の相談に乗ってあげてほしいだの、庶民出の新人で内部生に舐められていてまともに授業を聞いてくれないのでどうにかしてほしいだの。色んな教師から色んな頼みごとをされているので、この写真もそういう頼みごとをされたと言えば済む話である。

 まあ一応目的は聞いておきますか。

「あーそういえば、それ、まだ、聞いてなかったね。一応聞いておこっかな」

 聞く耳を持った私をみて三人組は嬉しそうだ。聞くだけですけどね。無邪気に笑っている。

「俺たちの動画。全部消せ」

 やっぱりそう来たか。本当につくづく予想を外れないな。ここまでピッタリだと自分に予言する才能があるのかとも思ってしまうほどだ。スピリチュアルな才能が開花すれば、占い師としてやっていけるかもしれない。

「え?やだよ」

「な!ならこの写真をネットにばらまくぞ」

 私の反応が予想外だったらしく三人はひどくうろたえている。その三人組に私はさらに追い打ちをかける。

「ご自由にどうぞ。というかー、そもそもの話。私が脅しに屈すると本気で思っていたの?もし本当に私の秘密を君たちが握っていたとして、それを盾にしたからって私を脅せると思うなんてまだまだわかってないなぁ」

 私は肩をすくめておどけて見せた。この人たち、小鳥遊グループがどれだけ大きな企業かわかってないのかな。この人たちの親もどこだかの会社の偉い人だけれど、小鳥遊グループとは対等ではない。もし本当にゲロきも男が女子生徒に手を出したとしても小鳥遊グループの力があれば容易にもみ消せるだろう。そんなことも理解できないとは、つくづく残念な人たちだ。そもそも彼らが退学にならないのは彼らの親をはじめとする体面を保ちたい金持ちたちのおかげだというのに。

「良い?もし私の知られたくない秘密ってやつを君たちがばらまいたら、私は君たちの秘密をばらまく。…わかるよね?」

 私が一歩近づくと、三人のうちの一人が尻もちをついた。一度こっぴどくやっているので私には接近されたくないらしい。この人たちは私がやられたらやり返す人間だということをまだ理解していないらしい。その写真は全くダメージにならないが、脅されたからには私も脅しておこう。

「じゃあね」

 私を引き留めるものはもういなかった。

少し歩いたあと私はくるりと方向転換して彼らのもとにもどる。人差し指を口に当て彼らに黙るように促す。気になっていることがあるのだ。


私は今、旧校舎の中にいる。スマホを片手に階段を上った。

目的が写真を消させるために脅すことならわざわざ綾子さんに怪文書を投函させる必要はなかった。同じ学校にいるんだからいつでも私を脅しに来ればいい。写真を見せる前、あいつはチャットアプリを開いていた。あの写真はあいつらが撮ったんじゃない。誰かから送られてきたのだ。きっとその誰かがこの計画を立てたのだろう。アイツらの仲間のふりをして穴だらけの計画を遂行させた。わざわざ綾子さんを使い怪文書を送らせた。何のために?私への嫌がらせ?小鳥遊への嫌がらせ?…わからない。

「わからないので確かめに来ましたぁ」

 私はある教室のドアを開けた。ちょうど私たちが先ほど話していた場所の真上に当たる。

 そう。お察しの通り窓の開いていた教室だ。

 そこにいた人影がこちらの方に振り返る。正直言うと振り返る前から後ろ姿でわかっていたがこの引きをやらせてほしい。

 ゆっくりと振り返ったのはなんと…………腹黒似非関西弁副会長だった。



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