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12 疑惑の放置

※この作品はフィクションです。作中の考え・思想はあくまでも登場人物のものであり、作者の意見ではありません。作中に暴力的な表現がありますが、犯罪行為、暴力行為を助長する意図はありません。暴力も犯罪も絶対にしてはいけない行為です。また、作中に出ている危険行為は絶対に真似しないでください。



防犯カメラの映像は次の日の放課後には投函されていた。さすが小鳥遊グループの一人息子()、学園内ではできないことはない。

 私は早速、映像を再生した。

「ふーん」

 議題提出ボックスに近づいたのは7名。これは紙の枚数とも一致する。そのうち2名が男子生徒、5名が女子生徒だ。

その中で明らかに不審な動きをしている女子生徒が一人いた。

 アヤカさんだ。

 彼女は周りの様子をきょろきょろと伺いながら、自分の体で隠すように投函した。

「うーん。」

 私は頬杖をつく。

 アヤカさんがこんなことをするとは思えない。カメラに写っているのだからしてはいるのだが、動機がないのだ。彼女は小鳥遊にはなんの興味も持っていないだろう。彼女の心にはクズパイセンがいる。それによしんば小鳥遊に恨みがあったとしてもこのような手段を使うとは考えにくい。本当にセクハラ教師をどうにかしたいならあんなことをしないで学生相談室で相談したほうが良い。いたずらめいた手段をとったせいで今回の件はなかったことになった。

「アヤカさんが恨んでるのは私だし…、私か…」

 もしあの気持ちの悪い男と二人きりで会っているところを知っていたとすれば、犯人の目的は小鳥遊だけではなく私ということも考えられる。

 まあ、でもアヤカさんがとる手段ではない。アヤカさんならその写真なりなんなりを持って職員室に行くか、仲間うちに見せて噂を広げるかすればいい話である。アヤカさんがこんなバカげた手段をとるには何か理由があるはずだ。

「クズパイセンがやらせた?」

 クズパイセンの言うことなら聞くはずだ。でも、クズパイセンは一応は私に友好的に接している。私を恨んでいるのなら態度に出るだろう。

 でも、良い線いってるかもしれない。

 アヤカさんはクズパイセンのためにこれをやっているとする。クズパイセンがまさしくクズだった時、その仲間もまたどうしようもなくクズだったので、クズパイセンがいじめている様子をスマホで撮って笑っていたのだ。動画はすべて回収したはずだが隠し持っていて、その動画をネタにアヤカさんが脅されて仕方なく投函した、とか?

 とすると、私に恨みを持っていて顔出しして堂々と責める訳にもいかない理由があるクズパイセンの元仲間が黒幕ということになる。

「なるほどねえ」

 私は一部の内部生にアホほど恨みを買っているが特に強く私を恨んでいる人間が三人いるのだ。磔の刑は確かにやりすぎたかもしれない。でも、足は地面についている状態で腕にもすれても痛くない柔らか素材だったし服も着てたし放置時間は小一時間だし人が少ない場所だったし顔にちょっとした落書きはしましたけれども洗って落ちる程度ですし、写真も撮りましたけれどもそれはいじめをしないようにする、いじめ動画・画像を流出しないようにする保険のためですし、確かに殴りましたけど先に殴りかかってきたのはあっちですし三対一であっちが数的に有利でしたし。…。うーん。恨まれてるなぁ。

 まあ、でも。いずれにせよ怖いことは何もない。小鳥遊と会っていた時、会話を聞ける範囲には誰もいないことは確認している。会話内容さえ知られなければ二人で写っていることを全校生徒に知られようと私には何の問題にもならない。

「放置、放置!」

 私は問題になりそうもないのでしばらく放っておくことに決めた。

そのあと月一のお手紙作成を始めた。お手紙といっても紙のお手紙ではない。今どきは電子の世界に頼るが吉。何を隠そう私には意中の相手がいるのである。本当はもっと頻繁に出したいくらいだが、自制して月一に抑えている。その代わり毎月かなり趣向を凝らして飽きないようにしているのだ。

 必ず、落としてみせるわ!……なんてな!


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