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一番前の席のあなたを  作者: rinna
3/11

別れ

11月の寒いある朝に、

私は彼に別れを告げた。



彼と居るときは、ドキドキ胸が踊るようなワクワクするような感覚が無かった…。

けれど、あなたを見ていると

ドキドキして、嬉しくなる。

なんだか元気になれる気がして

ずっと目で追ってしまう。

付き合っているのにその気持ちは変わらなかったんだ。

その事に気づいてしまった。





『私、みずきちゃんが好き』って事を…。



「誰か、好きな人が出来たの?」

彼が聞いた。



「うん……。」

「ごめんね…。」




「そう…。」

「分かった……。」

彼の寂しそうな背中を見たような気がした。




『でも…

ごめん……。』

『変えられないの。』

『このきもち。』

そう心の中で思った。




教室に戻ると、

いつも通りの風景があった。



12月に入った。

冷たい空気が教室に入る。


相変わらず私はいうと

私は、あなたを目で追おってしまっている。


話はあれ以来していない。

挨拶も…。

まだ自信が無いの。




そうしている間に冬休みに入った。



私は、キャンバスを持ち帰り、

記憶を頼りに絵を描き足していく。


すごく、穏やかな気持ち。




『年賀状…

住所聞いとけば良かったな…。』

なんて届いた年賀状を見ながら思った。



1月も迎え

相変わらず、キャンバスに絵を描いている。



あなたは、あの日以降

部活に休まず出ているようだった。




そんなある日、窓の外を見ていると

あなたがこっちに向かって手を振っている。




私は、嬉しくなって

笑顔で手を振りかえした。



すると、大きな声であなたは叫んだ。



「りかちゃんって、別れたのー?」



「うん!」

大きな声で叫んだ。




「そう!よかった!」




『……やっぱり好きだったのかな…。』

『彼のこと…。』




笑顔になった、あなたは手を振っていたね。



私は、すごくその笑顔が苦しかった。

彼を好きだと思っていたから。


終業式が終わった。

1年も今日で終わる。

早かったなぁ…。


色紙にはみんなの寄せ書きが書いてある。

あなたのも。



そして、私ね、

『絵が完成したんだ。

あなたの、似顔絵を描いた。』

『でも……結局渡せなかった…。』

『告白も……。』



帰りにあなたに会った。

「りかちゃん!」

「1年間早かったね。」

「あまり、話せなかったけど楽しかった。」

「ありがとう。」

そう、あなたは言ってくれた。



『また、同じクラスになるといいなぁ。』

私は思った。



「じゃあね。」



「うん。」

「バイバイ。」



私たちは、深い話をすることもなく別れた。






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