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第11話 BBQ!

いろいろあった登山、その疲れを癒すにはご飯が一番!

BBQの前にはシークレットイベントの説明が!?

「はーい、みんな静かにー」


学年主任がBBQについて話し始めた。


「今から施設の敷地内にあるキャンプ場に移動して、BBQします。例年通り席は自由なんで、他クラスの人たちと交流していってください。えーと、事前に聞いてると思うけどスマホ持ち込みOKなんで写真撮ったりとかしてもらっていいけど、SNSに投稿はやめてねーあと…」


そんな感じでBBQの説明をしていく。そのあとの話をまとめると、席は自由だが食材を取るのはなるべくそれぞれのクラスのところから取ること、焼いたりするのはそれぞれに任せるがくれぐれも焦がさないようにすること、職員用のテントが近くにあるが緊急時以外は勝手に入ってこないこと、喧嘩になるようならクラスごとの席に変更することなどが注意点として言われた。

そしてBBQについて大体の説明が終わると学年主任は1つ咳払いをして、改まったようにして話題を変えた。


「おほん、と、ここまでがBBQの説明だ。なにか質問は?…

ないようなら次の説明を…えー、BBQの後、今年も肝試し開催します!」

「「え?」」

「肝試しって何?」

「そんなの冊子に書いてあったっけ?」


唐突に学年主任の口から出た肝試しという言葉に私たち生徒は全員、?な顔を浮かべる。しかし私の後ろにいる美里(みさと)は違った。


「きたー!毎年恒例のシークレットイベント!」

「え、何その恋愛シュミレーションゲームに出てきそうな言葉」

「なんなんだよそれ」


興奮気味に言う美里を見ながら私と悠利(ゆうり)は説明して欲しい、という顔をして言う。


「あ、そっかー咲槻(さつき)達は上がいないもんねー」

「はよ、説明しろよ」

「はいはい、そんなに焦らないでよ悠利。実はねこれお姉ちゃんから聞いた話なんだけど…」


美里が話し始める。美里によると毎年林間学校では、生徒たちに内緒で開催されるイベントがありそれがさっき学年主任が言った肝試しらしい。内容は美里も初めて聞いたらしい。と言うのもなぜか毎年先生が口止めをしている訳ではないのに肝試しをやったことを誰も他学年へ言わないらしい。


「私もこのことお姉ちゃんから聞いた時、内容までは教えてくれなかったもん」

「誰も言えないくらい怖いのかな?」

「え、ちょっちょっと咲槻やめてよー…」

「怖いの苦手?美里」

「へ?いや、だ、大丈夫だよ!全然怖くないもん!」


絶対に苦手な人が言うセリフを美里が言う。


「はーい、みんな黙ってー続き説明するよー」


私たちが喋っていたようにほとんどの人が予想していなかった肝試しにザワザワとしていた。それを落ち着かせるように学年主任が言うと少し静かになった。それを感じとった学年主任が続きを話し出す。


「えーまぁ、スケジュール表には隠してたんでおどろいたとは思いますが。まぁね少し早いけどせっかく近くにいい感じの雰囲気の神社があるんでね。ちなみに今の校長が考案したやつです。」


さすがゆるゆるな校則の学校。校長先生もなかなかおもしろいことが好きな人らしい。入学式の時しか見たことないけど…ほとんど顔も覚えてないw


「えっと、BBQ終わったらそのまま始めるから先にねルール説明しときます。」


ルールはこうだ。1,道中に案内板があるのでそれに従って神社に向かう。簡単な道なのでまず迷うことは無いそうだ。2,神社に到着したら事前に渡しておく五円玉を賽銭箱へ投げ入れてお参りして、混雑しないように行きとは別ルートで帰る。このルートも道なりに進んでいけば戻ってこれるらしい。

と言う感じだ。夜にお参りなんて変な気分だなと思いながら学年主任の次の説明を聞く。


「グループは大体2人〜4、5人ぐらいに別れてくれくだーさい。できればクラスで別れて欲しいけど…まぁ、あれだBBQの間に一緒に行く人が見つからなかったら活動班割り振ってただろ?そいつらと一緒に行けー」


なるほど、これがBBQが合コン状態になる原因か、そう思った。肝試しは友達と行くのも楽しいが、気になる異性と距離を縮めるにはもってこいのイベントだ、と思う。そんな相手がいないので周りがどう思っているかは分からないが、恐らく皆同じことを思っただろう。


「えー、どうせ行くなら好きな人と行きたいよねー!ね、咲槻」

「え?まぁいればねー」


美里もこう言っている事だし、私の考えは間違っていないだろう。その話を聞いていた悠利が美里の後ろから言う。


「お前、好きな人いんのかよ」

「えーなにー?気になる?」

「お、おう」

「あんたには教えなーい」

「はぁ!?おい!どーゆーことだよ!」


美里が舌を出しながら悠利をからかう。悠利は怒っているというより焦っているように見えた。それを見て私はそーゆーことね、と思う。


「はいはーい、静かにーこれで説明は終わりだからA組から移動してくださーい。先生方誘導お願いします。では解散!」


解散の言葉を合図に全員が一斉に喋り出す。かろうじてA組の担任の声が聞こえる。その声を聞いたA組が立ち上がり移動する。


「はぁーや〜っと晩御飯食べれるー」

「だねーお腹すいたぁー」

「なぁ!一緒に肝試し行こーぜ!」


声のした方を見ると翔奏(かなた)だった。どうやら説明が終わってから私たちの方に移動してきたらしい。


「あ、翔奏ーえーあんたと行くのぉー?」

「いや、みんなでって話をしてんだけど」

「いいんじゃない?」

「ほんと?じゃあ!」


私はみんなと行けるなら楽しいだろうと翔奏に賛成する。


「あ、でも、BBQ中に誘われたら全然その人と行ってもらっていいから」

「そうそう、あんたと行ったらほかの女子からの目線が怖いしーこれ、悠利も例外じゃないからね!」

「はぁ!?なんでだよ。大体他の奴と行くとめんどーだからいつメンで行こーぜ」


あとの面倒を考えるとちょっと気が引けたが、せっかく誘ってくれたので私と美里はしぶしぶ了承した。


「もう、仕方ないなぁーてあれ、(あおい)は?」

「僕ならここだよー」

「わぁあ!び、びっくりした…」


いつの間にか私の真後ろにいた碧から声をかけられて私は一瞬振り返り後ずさりしながら驚く。それを見た碧はいつもの笑顔で言った。


「えへへ、驚いた?肝試しって聞いたらついやりたくなっちゃってw」

「おい、碧あんま咲槻を驚かすなよー大丈夫か?咲槻」


そう言いながら翔奏が私の顔を覗き込む。


「うん、大丈夫…もう、急に後ろに立たれたらさすがにビビる…」


驚きすぎてズレたメガネの位置をなおしながら答える。すると横で見ていた美里がさっきの決定を碧に伝える。


「碧肝試しいつメンで行こーって話してたんだけどそれでいい?」

「え?僕参加しないよ?肝試し」

「はい?」


予想していなかった返事に私たち4人は驚く。


「なんでだよ碧」

「全員参加じゃねーの?これ」


翔奏と悠利が続けて質問する。


「えー?それはねー僕は他にやることがあるからさ!」

「やることって?」


意味深な言い方に美里が反応する。すると碧は口元に人差し指をあてて言った。


「ひーみつ!ふふふっ」


そのやり取りを見ていると横から翔奏に話しかけられた。


「なぁ、碧が勝手に決めちゃったけどそれでいいのか?」

「ん?うん別に大丈夫だけど…むしろ楽しそう」

「そっか、ならよかった」


いつものメンバー以外の人とほとんど交流がない私は素直に楽しそうだと思った。それを聞いてなんだかうれしそうに答える翔奏を不思議に思って質問した。


「なんでそんなに嬉しそうなの?」

「え?いや、その、やっぱりいつものメンバーのほうが楽しいし、誘われても断る理由ができたし…」

「あーそういうことか、確かにそれはよかったね!」


肝試しのことを想像して少し笑ってしまう。それを見た翔奏も私と一緒に笑う。


「あれー?2人そんなに仲良かったけ~?」


笑う翔奏と私を見て碧が不思議そうな、嬉しそうな顔をして言った。


「そ、そら、学校でよく一緒にいるしな!」

「そーだね」


少し慌てた様子で翔奏は私に同意を求めた。私もそう思ったので同意する。


「ふーんそっか…確かに!」


碧は少し考える様子を見せてから納得したように言った。


「ま、何でもいいけどーさ!BBQ会場へ行くよ!みんな!」

「そだなー腹減ったし、はよいこーぜー」


碧の言葉に悠利が反応する。その言葉を合図に会場に向かって歩き出す。


会場にたどり着くとすでに到着していた人たちがBBQという名の合コンを始めていた。


「うわぁ、すご…」

「うおー!いいにおい!はやく肉取りに行こ!」


私がその様子を見て圧倒されていると横から翔奏が待ちきれない様子で言い、お肉を焼いている場所まで走り出す。それにつられて悠利と碧も走り出す。


「さすが男子高校生ね」

「だね」

「私たちも行こっか」

「おーい、二人ともー」


美里と私もあきれながら会場の中へ歩き出す。そのとき横から心結ちゃんと瑞希ちゃんが話しかけてきた。


「あ、おっすおっすー、一緒に食べよー」


それに美里が反応して返す。


「うん!どこで食べる?空いてる場所ないかな?」


心結ちゃんがおでこに手を当てて探す仕草をする。私もそれにならい空いている場所を探す。


「やっぱり私たちのクラスの場所は人いっぱいだね〜」

「だねー、しゃーないC組の方空いてるしお肉テキトーにとってそっち行こっか」


私と美里が会話する。人がいっぱいの原因は言うまでもないが翔奏達である。やはり肝試しはイケメンに守ってもらいながら行きたいものなのだろか。私たちの会話を聞いていた瑞希ちゃんと心結ちゃんは横から賛成の声を上げる。


「そーだね、あの中でご飯食べるのはちょっと大変…」

「よしっ!じゃあテキトーに別れてお肉取ってこよっか!」

「おっけー、んじゃまた後でーあの辺集合ねー」


人混みをかき分けてお肉を取らなければならなかったので別れて食材を取ることにした私たちは、美里が指さす方向を覚えつつお肉を探しに人混みに入る。


「うーん、やっぱりすごい人…」

「咲槻ー大丈夫ー?」

「うん、なんとかー」


人ごみの中心に何とかたどり着く。お肉の良いにおいが漂ってきて、思わずよだれがたれそうになる。

何とかよだれがたれるのを抑えて、焼けていそうなお肉に箸を伸ばす。


「このお肉もらってもいいですか?」


お肉を焼いてくれていた同じクラスの学級委員長、綾風奈希(あやかぜなの)の声をかける。


「あ、どーぞー。そこのやつ焼けてそうだから…ほいっ」

「ありがとー」


綾風奈希は焼けていそうなお肉を私が持っていたお皿に乗せていってくれる。ある程度自分の食べる量を入れてもらって、お礼を言いつつまた人混みを抜けていく。


「ぷはぁー、相変わらず人すご」


その人混みの中心にいる翔奏たちを見ながらほかの3人を待つ。


「おーす、はやいね」

「あ、美里ーうん委員長が入れてくれて、すぐ出られたw」


私と美里が合流する。


「あ!いた!やーっと見つけたー」

「あーおつー」

「ねぇ、見てこの肉の量w委員長に入れてって言ったら部活してるからたくさんいけるでしょって入れられたw」

「そんなにいっぱい食べれるの?」


美里の紙皿には山盛りのお肉が乗せられていた。私は絶対食べれないなと思う。


「よゆー中学の合宿の時なんてこれの倍は食べてたもーん」

「あとで食べてって言われても食べないからね」

「だーいじょーぶ!」


そう言って美里は大量に乗せられたお肉たちを口の中へ次々と入れていく。

結局そのあと食べきれなくて美里以外の4人で処理したのは言うまでもない…



~BBQ 終了~



美里の残りを処理してパンパンに膨れたお腹に少し空きができた頃、メガホンの音で聞き慣れた声が聞こえた。


「はーい、みんなだいたい食べ終わったかー」


浜風先生がそう言うとそれまでざわざわしていた会場が少し静かになった。それを感じ取ってか、続きを話し始める。


「そろそろみんなペアも決まってそうなんで、肝試し始めまーす。」


また一気にざわつき始める。男子の中には「ウェーイ」と大声を出しているやつもいる。


「と、その前に片付けですが、大方の片付けは施設の人がやってくれるそうなんで紙皿とかは肝試しの受付に準備してるんで一緒に行く人でまとめて捨ててくださーい」


その声で一気に移動を始める。カップルで行く人、ダブルデート的な感じの人、友達同士で行く人、見ている限りいろんなパターンがあるようだ。


「んじゃ、私たちは二人で先に行ってくるわね、行こ心結」

「うん、また後でね」


私が移動し始めた人たちを観察していると、横にいた瑞希ちゃんが一声かけて離れていく。


「あ、うん!また後でー」

「またー」


美里が返事を返す。私も続けて返事をする。


「2人も一緒に行かなくて良かったのかな?」

「2人には二人の時間がいるんだよーわかってないなー咲槻はー」

「?」


私はてっきりいつメンに瑞希ちゃん、心結ちゃんを加えた、7人で行くと思っていたので突然先に行ってしまった2人に驚いた。美里は何となく察していたらしい。


「おーい、2人とも~」

「あ、翔奏と悠利だ」


私が2人が離れていった方を見ながら考えていると、翔奏と悠利が近くまで来ていた。


「じゃ、そろったし行くか」

「だねーてか、ホントに碧来なかったんだね」

「あぁ、先生の話を聞いてる途中でいつの間にか消えてたんだよ」


歩き始めると同時に悠利と美里が会話を始めた。


「消えんうますぎて俺も悠利も気づかなかったよな」

「そんなことあるの?」


そこに混ざった翔奏が言う。続けて私も混ざる。


しばらく歩いて途中ごみ捨てをしながら、肝試しの受付まで到着した。


「はい、じゃあこれ五円ね、途中でなくさないようにしっかり持っててね」

「「はーい」」


A組の担任に五円玉をもらい、注意を受けて全員で返事を返す。


「あとこれ地図ね、一応2枚渡しとくわね。」


そう言って翔奏と悠利に1枚ずつ地図を渡した。


「それじゃ、道なりに進んで『start』って書いてあるところの道から5分したらスタートしてね」


道が詰まらないように時間調整しているらしい。その辺はしっかりしてるのか…と思いつつ先生から5分でセットされたタイマーを渡される。


「それじゃあ、行ってらっしゃい」

「「はーい」」


手でうながされ、指示された方へ歩き出す。少し歩いて曲がったところに『start』の看板があった。そこにはタイマー返却用のカゴがあり、到着と同時に私はタイマーをスタートさせた。タイマーのピッという音の後、美里が耳元で言った。


「ねぇねぇ、なんか緊張してきたんだけど」

「やっぱり怖いの?」

「うん~(泣)」

「もう、じゃあ悠利にくっついてれば?w」

「な、!今そんなこと言ってる場合じゃないよー」


今にも泣きだしそうな美里を見ながらからかう。それを見ていた悠利と翔奏が会話に入ってきた。


「やっぱりお前怖いんだろ美里」

「え、やめとく?今なら引き返せるだろ」

「いや、行く!せっかくの咲槻と思い出つくるチャンスだもん!」


2人も心配しているようだ。しかし美里の意思は強いらしい。


ピピピピッ、ピピピピッ


そうしている間にタイマーが鳴り、5分が経過したらしい。

最終的に美里は私の腕をがっちり掴んだ状態で行くことになった。



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