第10話 林間学校・山登り
林間学校の最初のイベント山登り、各々楽しみながら登っていたが頂上で事件が━━━━━━━━━━━
ついに始まった林間学校、初日の昼は山登りだ。私たちは今、宿泊施設から山の麓まで歩いて移動していた。
「はぁはぁ、もう、つかれた…」
「え!?はやすぎ!まだ登山始まってないよ?心結」
「だってぇー」
近くで同室の黒川瑞希と倉本心結が話す。どうやらイメージ通りクール系の見た目で明るい性格の黒川瑞希は体力があり、ゆるふわな倉本心結は体力がないようだ。
「咲槻は大丈夫?」
「うん、体力には自信あるから」
私の隣で2人の会話を聞いた西条美里が私を心配して声をかけてくれる。美里の方は運動部に入っているし、声色からしてめちゃめちゃ元気そうだ。
「これから山登るのに心結ちゃんもつ?」
「んーどうだろ?もしやばかったら先生に言わなきゃだめよねぇ〜」
「いや、お母さんか!w」
美里と瑞希ちゃんの会話(漫才?)を聴きつつ心結ちゃんの方を私は見る。割としんどそうだ。
(大丈夫かな…登山中に限界が来たとして、誰が帰り運ぶのかな?まぁ、男子もいっぱいいるし誰かしら運ぶだろ)
そんなことを考えていると、列の前の方が止まり出した。どうやら山登りのインストラクターの富成さんが止まったようだ。山の麓まで到着したらしい。
「はい!今から本格的に山に入っていきます!くれぐれも列から離れないように!でもまぁ、割と安全な山道で整備もされているので事故等は大丈夫だと思いますが、なるべく班で固まってときどき班員人数チェックしてくださーい」
「「はーい」」
大きい声で後ろまで聞こえるように富成さんが声を掛ける。その声と同時に活動班に分かれていく。私たちの班は先生の忖度たっぷりの柏尾翔奏、清水悠利、緑川碧、美里、私の5人だ。
「おーす、元気だった?」
「そんなに離れてないでしょーが、かまちょなの悠利」
「咲槻も元気だった?」
「え、えーっと私もそんなに離れてなかったけど…」
私にも同じことを言ってくるが、そういうノリに慣れていない私は微妙な反応になってしまった。
「おいおい悠利、そういうノリは妻だけで十分だろ〜」
「はぁ!?妻って何だよ!」
「そうよ!私がいつ悠利の妻に!」
「え?いつもやってんじゃん夫婦漫才w」
私の後ろから翔奏が悠利をからかう。おかげで微妙な雰囲気にならずに済んだ。
「おーいみんなーやーっと追いついたぁー」
人混みの中から碧が現れた。これで全員だ。人のごちゃごちゃが収まると再びインストラクターの富成さんが声をかける。
「はーい!じゃあ登り始めまーす!」
列が進み始めた。私たちの班は心結ちゃんのこともあるので、瑞希ちゃんたちの活動班と一緒に一番後ろに行くことにした。
「ねぇねぇ、前からの視線が痛いんだけど」
「あー、あれは仕方ないよ。一年イチのイケメンたちが私らの班には揃ってるからなぁ〜」
「あぁーなるほどね、ご愁傷さまw」
2人の会話を苦笑いしながら聞く。瑞希ちゃんの隣ではすでに満身創痍の心結ちゃんが顔を真っ赤にして歩いていた。よく見ると瑞希ちゃんは心結ちゃんの背中を支えながら歩いていた。
(優しいんだなー、部屋一緒になれてよかった!)
そう思いながら歩いていると少しずつ傾斜が急になってきた。足を滑らさないように気をつけないと危なそうだ。
「思ったより急だなー大丈夫?きつかったら押したろーか?」
「大丈夫、私こう見えても体力には自信あるから」
「そう?なら良いけど、キツくなったら言いなよ?」
「うん、ありがとう」
さっきまで前を歩いていた翔奏が隣に来て話しかけてきた。私よりも心配した方がいい人がいるような気もするが、心配してくれるのは嫌な気はしない。しかし最近仲良くなったのはいいものの、それでもまだ会話はいつも美里が回してくれるのでうまく会話ができない。それにもう結構前だし大丈夫だと思うが、この前アフレコ現場で会ったためバレないかヒヤヒヤである。そんなことを考えていた私は外れないようにメガネの位置をなおす。
「BBQ楽しみだなー肉好き?」
「うん、結構好き」
「BBQ!ちょー楽しみだよね!無料で焼肉食べ放題!」
「ちょっとー美里太るよぉー?」
「大丈夫!部活で消費できるから!」
私と翔奏が話していると別のところで話していた美里と碧が入ってきた。
「ねぇ知ってる?この林間学校でカップル増えるらしいよ」
「知ってる!あれでしょ?BBQが合コンなんでしょ、席が自由だから」
碧と美里が話し始めた。その会話が聞こえたのか少し離れたところで近くの女子と会話をしていた悠利が入ってきた。
「合コンってお前彼氏欲しいのか?」
「んなわけ!彼氏なんてめんどくさいしー今は友達と遊びたい!」
そう言いながら私に飛びつく。「絶対に遊ぼうね?」と言う謎のプレッシャーが感じられるが、気のせいだろう。
「そ、そうか…」
「そんなことより!私咲槻の恋愛経験聞きたーい」
明らかに残念そうな声を上げる悠利をよそに私に話を振る美里。気付いていないようだ。
(美里はこういうことは鈍感なのか…)
美里の新たな一面を発見しつつ私は振られた会話の返答をする。
「えー私?私はないよ、恋愛なんてしたことない」
「えーうっそー初恋ぐらいはあるでしょ?」
「ないよ!」
そんな会話をしていると後ろから翔奏の大きな声がした。
「あ!!頂上じゃね?」
「ホントだ!」
その声に碧が反応する。意外と短かったように感じるが、腕時計を見ると山登りを開始した時点から1時間以上経過していた。
「おぉー良い景色ー風もあってきもちぃー」
「だねぇー」
頂上に登ると全クラスがいれるくらいの余裕があり、景色もひらけていたのでみんなスマホを取り出して写真を撮っていた。
「はい!じゃあみんな集合写真撮るから並んでー施設のとこで撮った感じでー」
順番が回ってきのか浜風先生が私たちのクラスに声をかけた。その声を合図にみんなが山頂からの景色をバックになるように並び始める。
「私たちが並んだらさ、せっかくの景色見えなくない?」
「まあ、しゃーねーだろ俺たちの思い出優先〜」
「だな」
「だね」
美里たちのやり取りを黙って聞きながら移動する。すると目の前にもう死にそうな顔の心結ちゃんがいた。
「大丈夫!?心結ちゃん!」
「あぁ、咲槻ちゃん…もうげんかーい帰り歩けないよぉー」
「帰りは下り坂だからマシだとは思うんだけど…どーしよ」
(ここまでよく歩いてこれたな…)
「どーした咲槻〜珍しく大声出して…って心結ちゃん大丈夫!?なんでこんなになるまで頑張ったの?」
「ごめんねー、私の事はいいから…」
「心結この状態で心配しない人いないから」
どんなモチベーションでここまで歩いて来たのか分からないがそう話す間にもクラスの人達は記念撮影の列に並び終え、撮影が始まってしまった為その話は写真を撮り終えてからすることになった。
「どーしよーか、誰かにおぶってもらう?」
「んー、男子におんぶしてもらうわけにもいかないしなー」
「どーしたの?瑞希ー」
「どーしたー」
「え!?心結ちゃん大丈夫?」
写真を撮り終えて、どうするか相談していると周りにクラスの人達がこの事態に気づき集まっていた。すると人が集まっていることに気づき浜風先生が来た。
「どーした、小湊なにがあった?」
中心で一人立っていた私が目に入ったのか、浜風先生が私に説明を求めた。
「えっと、倉本さんがばてちゃって下山する体力残ってないみたいで…」
「そーか、わかった。説明ありがとう、ケガしたわけじゃないんだな」
私が説明をしている間に先生が中心まで歩いてくる。中心まで来ると心結ちゃんと目線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「熱中症って感じだな、ここで待つにしても日が暮れちゃうしな…ですよね富成さん」
「ですねー担架とかも持ってくるとなると時間かかりますし…」
「よし!先生がおんぶして運ぼう!嫌か?」
「えっと…」
「やっぱおっさんより若いクラスメイトのほうがいいよなぁーすまんすまん」
若干いやそうな表情を見せた心結ちゃんを見て、心結ちゃんが断りやすいように自虐を言う。
「私がおんぶしていきます。男子には任せられません」
「え、黒川今から急な下り坂だぞ?お前が部活で鍛えてるって言っても、男子のほうが安定しているだろ」
「瑞希ちゃん、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ、先生おんぶしてもらっていいですか?」
瑞希ちゃんと先生の会話を聞いていると、瑞希ちゃんが男子というワードに過剰に反応しているように思えた。何か事情があるようだ。しかし早く下山しないと夕方になりあっという間によるか来てしまう。何でもっと余裕のあるスケジュールにしなかったのか…そう思った。
「いいのか?んじゃ」
そう言って先生がおんぶする体勢になった。浜風先生はそこそこ若いと思うし、体育会系だがそれでもおじさんはおじさんなので(施設までもつかな…)と心なしか不安そうな顔をしていた。そして心結ちゃんが先生の肩に手をかけようとしたとき聞き覚えのある声がした。
「あの!俺がおんぶして下山します。先生じゃ腰やっちゃいますよ?」
冗談交じりに声を上げたのは翔奏だった。
「お、おう、いいのか。どうする?倉本」
「えっと…」
突然の出来事に心結ちゃんが迷っていると横から顔を出した碧がいつものおちゃらけた調子でこう言った。
「どうせおんぶされるなら、イケメンのほうが良くないですかー?」
「たしかに!心結ちゃんここは甘えとこ!」
「じゃあ、おねがいします…」
碧に続いて美里がひと押しすると、心結ちゃんがうなずいた。そして心結ちゃんの前で翔奏がおんぶする体勢になる。心結ちゃんがおんぶされ翔奏が立ち上がるのを確認した先生がみんなに伝わるように大きめの声で言う。
「よし!みんな心配してくれてありがとう!んじゃ下山するぞーここ頑張ったらBBQがまってるぞー」
「「はーい」」
この先に待つBBQに思いをはせつつみんなが今山を登ってきたとは思えないほどの大きな声を上げる。他の一般の登山客が驚いてこちらを見ていた。そんなことには気づかず私たちのクラスは下山を始めた。
「だ、大丈夫?柏尾くん重くない?」
「おう!全然大丈夫だぞ〜アクションシーンのために鍛えてるからな!」
「そ、そっか…」
「そーそーこいつの心配なんてしなくていいのよー」
顔を真っ赤にして心配する心結ちゃん見て、美里が少しからかっている。
「美里、あんまり言うと心結ちゃん燃えちゃうよ」
「あ、ごめん」
私は心結ちゃんの頭から煙が見えた気がして、美里を止める。美里は苦笑いをしながら心結ちゃんに謝った。
「ま、今をときめく若手俳優におんぶされちゃー誰でもあーなるだろ。あ、お前は例外だけどなw」
「なにーその言い方〜まるで私が女子じゃないって言いたい訳?」
美里を指さしながら悠利言うと、美里がいつものように反論する。
「心結、嫌だったら私がおんぶするからね?大丈夫?」
「黒川さんお母さんみたいだねー」
「それ碧が言うと特大ブーメランだよ?」
「え?なんの事?」
「ふふっ、確かにw」
下山を始めてからずっと翔奏におんぶされる心結ちゃんの周りをあたふたしている瑞希ちゃんを見て、碧が言う。それをすぐ反応してからかう美里に私は賛同した。
〜下山終了〜
その後も私たちはワイワイと喋りながら下山した。私もすごく楽しい時間だった。abilityの現場以外でこんなに楽しいと思ったのは初めて…な気がする。
「あー、やーっと着いたー!」
「結構しんどかったね〜」
「だねー、てかホントに咲槻体力あったんだね。さっきも途中でばてるんじゃないかってヒヤヒヤしてたのに〜」
下山して施設への帰り道、美里話しながら歩いていた。その時ふと視線を感じてその方を見る。
「ん、なに?なんかついてる?」
「えっと、いや、何でもない…」
その方向を見ると翔奏がこっちを見ていて、私は顔になにかついているのかと思って聞いてみたが何もついてないみたいだった。
「そ?ならいいんだけど…あ、心結ちゃん寝ちゃったねw」
私はそう言って寝ている心結ちゃんの方へ顔を近付ける。すると慌てた様子で翔奏が後ずさる。
「へあ!?そ、そうだな。いつの間に…」
慌てて後ずさった翔奏の顔を見ると真っ赤だった。
「え!?顔真っ赤!翔奏も熱中症?大丈夫?」
「だ、大丈夫!全然!ちょっと暑いだけだから!」
「そう?ならいいけど…」
真っ赤な顔の翔奏を見て心配した私は声をかけたが、ちょっと暑いだけらしい。
「ふわぁー…ごめん!柏尾くん!いつの間にか寝てて!」
「あ、いや全然大丈夫だけど」
さっき後ずさりした振動と翔奏の大きな声で心結ちゃんが目覚めてしまったようだ。その様子を見ていた瑞希ちゃんが少し強めの口調で言う。
「そろそろ変わるわ柏尾くん、あとは平坦な道ばっかだし」
「え?いや言い出したからには最後まで…」
「い・い・か・ら!」
最後は怒ったような口調になって、言い終えるとしゃがんでおんぶするときの体勢になった。それを見た心結ちゃんはすぐに翔奏の背中から降りると瑞希ちゃんの方へ行った。
「瑞希ちゃん、しんどかったら私変わるよー」
「ここから施設までそんなに遠くないから大丈夫よ」
おんぶした瑞希ちゃんに駆け寄って美里が言う。美里も部活で鍛えているから、心結ちゃんのような小さい子なら余裕でおんぶして行けるのだろう。私は、絶対無理…。
「心結ちゃん調子どう?大丈夫?」
「うん、だいぶ楽になった。いろいろありがとう」
「いやいや、私は何もしてないよ」
二人の会話を聞きながら、瑞希ちゃんの背中にいる心結ちゃんに声をかける。だいぶん顔色は良さそうだ。
「おつかれー翔奏。あれれ〜?顔真っ赤wさすがにバテた?」
「いや、バテてはないけど…」
「えー?そうなの?ならいいけどー♪」
「なんだよ!」
「いやべーつにー?」
少し離れたところで碧が翔奏に労いの言葉をかける。少しからかっているようにも聞こえたが、なぜからかっているのか私にはわからなかった。
〜施設到着〜
私たちが施設に到着する頃には他のクラスはもう到着して、一度自分たちの部屋に戻っていた。私たちのクラスも夕方のBBQまで部屋に戻って休憩するように先生から指示があった。インストラクターの富成さんに代表で委員長の綾風奈希がお礼を述べた。その後先生から17時に施設の体育館に集合するように指示があって解散になった。心結ちゃんと同じ部屋の私たちは、引率で来ていた保健の先生に一度心結ちゃんをみてもらいに行った。
コンコンコンッ
「すいませーん」
「はーい、あ、倉本さんねー入ってーここ座って」
美里が保健の先生が待機している部屋をノックして中に声をかける。中から優しい感じの声がして中に入るように促される。
「浜風先生か聞いたわー熱中症だってね。今はもう平気?」
「はい、帰りはおんぶしてもらったので結構楽になりました」
「そう、体力自慢の子がいて良かったわねー毎年1人は熱中症いるのよねー」
リラックスできるように適当な話を挟みつつ心結ちゃんの今の状態を診ていく。瑞稀ちゃん、美里、私の3人はそれを黙って見守る。
「うん、今は大丈夫そうね。どうする?一応病院に行くこともできるけど、すぐ近くだから」
「いえ、大丈夫です。みんなともっと楽しみたいし、明日は無理しないようにしますので」
「そう?なら少しでもしんどいと思ったら近くの先生にすぐ言うのよ?」
どうやら、もう大丈夫のようだ。確かに山頂にいた時とは顔色が段違いに良くなっている。とりあえず一安心だ。
「はい、先生ありがとうございました。」
心結ちゃんは一礼すると立ち上がり、後ろで見守っていた私たちの方へ歩いてきた。
「「ありがとうございましたー」」
最後にその部屋を出る直前に振り返り、全員でお礼をしたあと部屋に向かって歩き出した。
「いやー熱中症ひどくなくてよかったね!」
「だねホント山頂であの顔見た時はびっくりした」
「もうあんなになるまで頑張らなくても良かったのに、これからはああなる前に言ってよね!」
「ごめん、瑞稀。これからは気をつける。みんな心配してくれてありがとう」
心結ちゃんが私たちに向かってお礼を言う。その言葉を聞いた私たちは声をそろえて言った。
「「どういたしまして!」」
その後部屋に戻った私たちは今日の登山中の話をしながら17時までの時間を過ごした。
「あ、もうこんな時間じゃん、そろそろ行こっか」
「そうねいきましょうか」
部屋にある時計を見ると16時50分と示してあった。ここから体育館までは5分もかからないので5分前集合にはちょうど良い時間だろう。
「どんなお肉が待ってるんだろうね!想像するだけでよだれが…」
「えちょ、美里汚い、」
「ごめんごめんw」
体育館までの道を間違えなように4人で確認しつつ隣を歩く美里と話す。美里はBBQのお肉が楽しみで仕方ないらしい。
「BBQってお肉だけじゃないでしょ」
「焼きとうもろこし食べたい。」
瑞稀ちゃんが美里にツッコミを入れる横で目をキラキラさせて天井を見上げながら呟く心結ちゃん。好きなものに関しては食いしん坊なのかもしれない。
「私、食べる専門だから咲槻焼いてねー」
「えー私も食べたいよ」
「えっ!咲槻あんた以外と食いしん坊?その体で?」
「何が言いたいのー?」
「仕方ないなーここはお姉さんが焼いてあげよう!」
私が焼く係を嫌がっていると横から瑞稀ちゃんが役がかりに立候補した。
「ほんと?やったー食べ放題!」
「まじ?瑞稀ちゃん焼いてくれるの?」
「うん、私焼くの好きなの、あ、ちゃんと食べるのも好きだから私の分勝手に食べたら怒るからね!」
まさかの神様登場で私たちが瑞稀ちゃんの正面に行き、拝むように手を合わせる。
「ちょ、やめてよ。こういうのはやりたい人がやるのが良いのよ」
「瑞稀焼くのめっちゃうまいんだよ〜この前初めてクラスのみんなで親睦会だ!ってご飯食べに行ったとき、焼肉だったんだけどねーその時女子と男子で分かれてて、女子側のおにくは全部瑞稀が焼いてて、すごい手際だったんだー」
「確かに!あの時私含め瑞稀ちゃん以外ずーっと喋ってたよねー鍋奉行ならぬ、焼き奉行だったww」
「へぇーそんなことあったんだ」
「あ、あの頃まだクラスの会話グループにあんた入れてなかった時だっけ?ま、誘っても断ってたでしょ」
「うん、確実に行く気はない、クラスでそんな話題が出てたのは知ってたけどね」
私がまだ美里と関わる前の話でその時の私は学校では1人でいようという謎の決意の元動いていたため、よくあるチャット型のSNSのクラスのグループにすら入っていなかった。まぁ、入っていたとしてもそんな人がワイワイしているところには行っていないだろう。
「そんなことはさておき、あの人数捌さばいてたのは凄いね」
「そう?」
そう、私が盗み聞きしていた情報からすればあの親睦会に参加していた人数は大体のクラスの人が都合のいい日に設定していたため、クラスのほとんどが参加したことになる。女子だけとはいえクラスのほぼ半分の人数の焼肉を1人で焼いていたのは普通に考えてすごい。
「ちょっとー咲槻ー道そっちじゃないよー」
「あ、ごめんごめん、瑞稀ちゃんの焼肉焼いてる姿想像してたら…」
いろいろ考えているうちについついぼーっとしてしまったらしい。私の悪い癖である。
「ぼーっとしてて階段から落ちるとかやめてよー」
「わかってるー」
〜体育館到着〜
そんなこんなで体育館にたどり着いた私たちはクラスの列へと向かう。
「一旦お別れだねー」
「うん、たまあとでー2人とも」
「あとでー」
私と美里、心結ちゃんと瑞希ちゃんに別れて列に入る。私と美里が列に入ると先に来ていた悠利を見つける。
「お、やっと来た、遅いぞお前ら。迷子か?」
「違うわよ、混んでたのよ道が」
悠利が私たちを見つけると声をかける。というより、からかってきた。それにすぐさま美里は反応する。相変わらずの反応スピードだ。
「はーい、じゃあみんな静かにーBBQの説明とかするよー」
少しすると学年主任の先生が話し始めた。




