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狐耳の少女ニーナ  作者: プププ
19/57

第1章19話魔王城1

「ジューチュ! ジューチュ! チュパチュパ!

チュウチュウ」


 ニーナの頭はおかしくなっていて、クロ達がお土

産を持ってニーナを迎えに来ると、ユリノが必死に

隠そうとするが、ニーナの声が繰り返し響き渡り、

クロは目の焦点が合っていないニーナを見つけてし

まう。


 ユリノは事情をクロに説明し、治そうとしたこと

も伝えると、クロは左手で目を覆い右手を広げて手

のひらをユリノに向ける。


「ちょっとまって! 悪化してるじゃん!」


 クロはユリノに文句を言うと、魔王城へ行くこと

を決めニーナを背負い、ベルとエル、ヒプノを連れ

てユリンからでるとユリノもついてきた。


 魔王城へ行く為に坑道を通りロリコンに向かい、

湖の回りにある石板をクロが押すと、下へ向かう階

段が出現した。一行は階段を降りた先にある部屋へ

行き、スイッチを押したら階段が閉まると、青い光

が部屋を満たし、そして赤い光に変わる。


 部屋を出て階段を上ると、目の前に森が広がって

いた。出てきた場所は洞窟になっていて、クロ達は

目の前の森を進み、その奥の魔王城へ到着する。


 扉を開き中にはいるとそこは魔王の部屋だった。

張りぼてで魔王城にみせた、一部屋の家で中にはモ

ナーミがゲームの機械を、頭に着けて横たわってい

る。クロがモナーミを叩き機械を外すと、起き上が

ってモナーミが一言。


「ニーナがゲームの世界にいると思ってやったのに

ないじゃん!」


 魔王はユリノを鋭い目つきで見るとユリノの目が

泳ぎ、アハハと笑う。


「アリスが触手で【ずる】したのがいけないんだよ

あの触手おかしいって! あんなに……早く終わる

とは思わなかったよ。せっかくクリムも楽しんでい

たのに……」


 ユリノがアリスの事で怒っている。すると、クロ

が魔王に、ニーナを差し出した。


「治してお願い!」


 クロが魔王に頼むと、ニーナが喋った。


「ジューチュ! ジューチュ! チュパチュパ!

チュウチュウ」


 この発言を聞いた魔王はニーナの脳に触れ、白い

光を出して別れた時まで戻す。


「はっ! ここどこ!」


 ニーナはいきなり瞬間移動したように記憶が飛ん

でいて、クロと魔王が傍にいて安心すると、周りを

見る。


 木造の部屋で入口から見て、右端に300cmの

ベッド、左端にキッチンがある。さらに真ん中には

赤い大きな椅子が一台、扉の方を向いていて、状況

が理解できていないニーナは、周りを観察した。す

ると、ヒプノがニーナの前に立ち抱きしめる。


「大丈夫だよ」


 ヒプノがそう言ってニーナの頭を撫でると、ニー

ナは尻尾と耳が下に垂れると体の力が抜け、顔が天

を向きボーっとしている。


 キスをしようとヒプノが唇を差し出すとニーナは

それに答えるように唇を出し、ゆっくりと近づいて

ゆく。すると、二人の間にクロが手を出し、二人は

手にキスをした。


「私の手にキスするってことは二人とも一緒に寝た

いんだね?」


 クロが飛躍した思考をすると、二人はトロけた顔

でハイと答え、魔王のベッドで眠った。


「ウチのベッド!」


 魔王もその中に混ざり、ベルも何となく入る。そ

してユリノはカメラでニーナの寝顔を撮っていた。


(アリスに送ってあげないと)


 ユリノは写真をアリスに転送し、見張りをする。


 数時間後、ニーナが目を覚まし、探索したくて、

うずうずしていた。ニーナは見張りのユリノに探索

して良いか訊くと、良いよと返ってきた。ニーナは

嬉しそうに部屋を出ると、ユリノが後をつける。


「ここどこだろう?」


 ニーナが森を歩いていると、洞窟を横切り、看板

を発見する。


【ここから先は魔王城の最深部、用がなければ入る

な!】と書いてあり、ニーナの来た方角に矢印が向

いていた。その先へ行くと、くだり階段を発見して

おりていく。


 金属の壁で1本道になっている所をニーナが進む

と天井や壁、床に切り込みがあるところを越えた。

すると、切り込みのところに壁が現れ、ニーナは閉

じ込められゴッゴッゴッ! と音が鳴り地面が揺れ

ると、箱が切り離され横へ移動していく。そして新

しい箱が入り、切り込みの壁が消える。


【ユリノはニーナを見失ってしまった】


 ニーナが入っている箱の地面がパカッ! と開き

ゆっくりと落ちてゆく。


 尻餅をついて着地するとそこは、牢屋だった。牢

屋は鉄格子で緑色のゴブリンが見回りに来ている。


「前回の作戦でゴブリン達は昇格したが……なんで

俺は看守になるんだ……」


 ゴブリンが独り言を言いながら、ニーナが入って

いるのを見ずに通り過ぎるだが、ニーナは緑色のゴ

ブリンを見てしまい体が震えていた。そして、口が

勝手にピャーと悲鳴をあげ、その声を聞いたゴブリ

ンが、声がした方へ近づきニーナを発見した。


「おおぉ、ラッキー! 気付かなかったぜ! おや

つにしてしまおう! 食ってやる……ぐへへ」


 ゴブリンがぐへへと言う不気味な笑い声を上げる

とさらに喋る。


「っていうのはないから安心しろ」


 そう言って牢屋の鍵を開けた。すると、空間に穴

が開き機械の手が出現する。手からニーナに向かっ

て丸いものがふわふわと飛んでいくと、ニーナにぶ

つかり、それが大きく膨らみニーナを飲み込む。


 ニーナの体が固定され、ボールが回るとニーナの

体も回る。


 手から複数の銃身で円形の物が出てくると、その

場がハチの巣になると、数秒後に撃ち終わりと空間

が閉じる。


 天井を機械の手が突き破り引っ込めると、ユリノ

が落ちてきた。そして、華麗に着地して、ニーナを

ボールから出した。


「悲鳴が聞こえたけど何があったの?」


 ユリノはニーナに訊くが、ニーナは牢屋の隅で体

育座りになり、ゴブリンと機械の手に怯えて答えな

い。そんなニーナをユリノは優しく抱きしめ頭を撫

でる。


「大丈夫だよ。安心して……」


 ユリノの言葉に心を許したニーナは、自分の体を

託し目を閉じ、ユリノが魔王の部屋に運んだ。


戻ってもまだ、皆は寝ていた。すると、ユリノはニ

ーナにお願いをする。


「新しい道具の実験体をお願いしても良い?」


 ハイと返事をしたニーナはなすがままにされる。

4本のロープを天井に吊るすとニーナの四肢を水平

に拘束する。ニーナが地面を見ていると、ユリノの

声が聞こえる。


「こっち向いて」


 その言葉通りに行動すると、ユリノが目の前にニ

ーナの顔ぐらいの透明な円を取り出した。


 不思議な物をニーナが見ると真ん中から太い丸の

線が、次々と外側に向かって流れていく。


 段々とその線は細くなり、線がでる間隔が短くな

る。すると、徐々に楕円の形に線が変わっていき、

不規則に線がグニャリと曲がっていく。それを見て

いるニーナの心は落ち着き、脳は半分眠っていた。

そして、意識を吸い込むように波紋が内側に向かっ

ていく。


「私のことを忘れて」


 ユリノが悲しいことを言うと、ニーナはそれに従

い記憶から消す。


「誰ですか?」


 いきなり名前が出てこなくなったニーナは目の前

の人に訊くと、相手は鞭を取り出しニーナを痛めつ

ける。


 ニーナの悲痛な声と鞭の音それにユリノの笑い声

が入り混じり、ユリノに敵意を向け睨むと、憎悪で

ニーナの思考が埋め尽くされていく。


 体と精神が限界を迎え意識を失うと、夢の中でも

【嫌い】という感情が作られていくと、ユリノはニ

ーナの体を回復薬で治す。


「こっちに来ないで! やめて! くるなぁー!」


 意識が回復し、そう叫び体を動かしロープを揺ら

す。ユリノが近づき両手のロープを鞭で斬ると、ニ

ーナの顔が地面にゴツン! と激突する。


 顔を手で押さえると、足のロープが斬られ両足が

地面にぶつかる。痛がりながらも少しでも逃げよう

と部屋の角に移動した。


「殺される……死にたくない……」


 その言葉を繰り返しているニーナの、目の輝きは

失われ涙も出なくなっていた。すると、クロが目を

覚ます。


「ニーナに何してるの?」


 クロが問うとユリノは見ててと言い、帽子の機械

をニーナに取り付け起動する。


 ニーナの相手に対する負の感情が、正の感情と少

しずつ入れ替わると、ユリノの事が好きになり、キ

スがしたくなってニーナはキスをすると、相手の体

を舐め回す。


 幸せに書き換えられていくニーナは嬉しさのあま

り身体中から汗とかの体液を垂れ流し、ユリノに抱

きつくと嬉しい顔をしていた。


 ニーナの手の力と心臓の音がだんだんと、弱くな

りそのまま息を引き取った。


「ニーナ大丈夫?」


 ユリノが声をかけるが返事がない。


(やりすぎはだめだね。クリム呼ぼう)


 そう思った瞬間にクリムが現れた。


「呼ばれる前に即参上!」


 クリムはニーナの心臓に手を触れると虹色の光を

1秒当てた。すると、ニーナの心臓が動き始める。


 ユリノが装置を外して催眠術を解くと、ニーナは

ユリノに酷いこと言ってしまったと涙を流す。


「ごめんなさい」


 ニーナは謝り、部屋を飛び出していった。


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