第1章18話ゲームの世界
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ユリノの家でニーナ捜索隊は解散する。
「次はこっちの国に来いよぉ?」
ブライン達はクリニアへ帰っていく。魔王は空気
のように消えていくと、クリムも魔法で空を飛んで
行った。残された者はこの国の観光を始める。
ニーナが行く場所に皆は付いていくと、アイスが
売っているので買おうとするが、ニーナはお金を持
っていない。
ニーナが眺めていると、ユリノが加わり大量のお
金を渡した。
「食べ終わったら、体で返して貰うから」
ユリノはそう言うがニーナはお金に浮かれて聞い
ていなかった。
「良い? 逃げたらバラバラにするよ」
ニーナはハイと受け流しアイスを美味しそうに食
べる。気前よくみんなのアイス代をユリノが出し、
ユリノはガッツポーズを決めると、食べ終わるのを
後ろで待つ。
数分後、食べ終わったニーナが皆の注目を集め苦
笑いを浮かべる。
「ごめんなさい、ユリノのところに行かないといけ
なくなったから皆で楽しんで……」
ニーナが離脱して、ユリノに連れて行かれると、
クロが先頭に立ち皆を統制した。
「ニーナのお土産を買ってこの国を楽しもう!」
クロの発言にヒプノはムカッとする。
「ニーナの事が心配じゃないの? 本当に酷いやつ
だな」
「多分、ゲームをするだけだよ」
ヒプノが心配そうに声を荒らげて言うと、クロは
ニーナが何をするのか予想する。
ゲームと言う言葉を聞いたヒプノは気になった。
それはクリムもやっていて楽しいと遊んでいたのを
見たことあるからだ。
「よし! お土産を沢山買っていこう」
「お主、お金はあるのか?」
クロが次に進もうとしたが、ベルがお金の心配を
する。
「そんなの顔パスだよ!」
そういってクロが店に入り、お土産を貰って出て
くると、他の人は口を開け見ていることしかできな
くて、クロに付いていくことにした。
ユリノの家に連れて行かれたニーナは、椅子に座
らされ頭にゴーグルとヘルメットのような装置を着
けられる。
「いってらっしゃい」
ユリノが耳元で囁くと、ニーナの意識が青い色の
世界に吸い込まれていった。
ニーナは浮遊していて世界を見渡すが、そこには
何もなかった。
数分後、赤い文字で【ゴブリンブレイダー】と文
字が出るとニーナは触り、世界が変わってゆく。
ニーナの目の前に洞窟の入り口と外の森が描写さ
れていく。それが終わると、動けるようになり洞窟
の奥へ進むと緑色のゴブリンが姿を現した。咄嗟に
持っている日本刀の鞘付きで叩き、ゴブリンを倒し
進む。
今度は前からゴブリンが現れ、後ろからも現れる
と、左右の壁が崩れゴブリンに四方を囲まれた。ニ
ーナは羽交い絞めに押さえつけられてゴブリン3体
に乱暴される。服は破られ、股を広げられると、目
の前が真っ暗になり、お腹に激痛が走る。すると、
【ゲームオーバー】と表示される。その後、ニーナ
の意識は現実世界へ戻された。
体は何ともないが、脳が痛みを引きずり、ニーナ
はお腹を押さえて悶えると涙目になった。ニーナが
冷静さを取り戻すと痛みがなくなっていく。
「酷い経験させてごめん、送る世界間違えた!」
ユリノがニーナのお腹を擦り、もう一度、ニーナ
を青い世界に送る。
今度は【アルターコネクション】と表示されその
中に吸い込まれた。
「この世界はニーナだけクリアしないと、出られな
い仕様だから楽しんで」
ユリノの声を聞いたニーナは、視界が真っ黒で周
りを見渡すと、光を見つけその方向へ歩いていく。
「ようこそ! アルターコネクションの世界へ!
このゲームは心をゲームの中に移し、キャラクター
を動かすゲームだよ。モンスターを倒してレベルを
上げて、魔王を倒せたら終わりだよ。魔王を倒した
ら初期化されるので注意してね。では行ってらっし
ゃい!」
ニーナの足下が落とし穴に変わり下に落ちると、
王様の目の前に、ニーナは尻餅をついて現れる。
「おおぉ! 勇者よ! そなたの名前を聞かせてお
くれ!」
ニーナは自分の名前を答える。
「おおぉ! 勇者よ! そなたの名前を聞かせてお
くれ!」
もう一度、自分の名前を答える。
「おおぉ! 勇者よ! そなたの名前を聞かせてお
くれ!」
ニーナは王様の前から逃げ出した。すると、王様
の態度が変わった。
「無礼な奴をとらえるのだ!」
その言葉に大量の兵士が現れ、追跡を開始した。
ニーナは追われていることに気付き必死に逃げる。
城を出て町に行くと、グチョグチョと音を立てるロ
ーブの人とぶつかり、すぐに謝るとその場から離れ
た。
「……、……」
ローブの人がニーナを見ると、その後ろを兵士が
追いかけていた。
ニーナは走り、入り組んだ路地裏に入り込み逃げ
る。数分後、行き止まりに追い込まれたニーナの前
に赤いおにぎりが現れた。
「やぁやぁ! お困りのようだね? 君はこの世界
初めてかな? 一緒に安全な家で暮らさない? 宝
箱あげるよ」
ニーナはおにぎりが喋っているのに驚くと、宝箱
を渡される。宝箱を見ていると、おにぎりは姿を消
した。
【強いのが入っているよ取って! 装備!】
宝箱にそう書かれていた。箱を開けると、ニーナ
のパンツが入っていた。兵士が行き止まりに集まる
と、一歩ずつ近づいてくる。ニーナは慌てて装備す
ると、パンツから触手が伸び、兵士を葬った。
「つよーい!」
ニーナが褒めると、ニーナの服を食べ、服に擬態
すると体を触り始めた。
「ニーナの体よくできてる! さっきぶつかって追
ったのは正解だった」
ニーナはその声と触り方でアリスと気付くと、声
をかける。
「アリスさん……ですか?」
(あれ? 本物? ルゥめ……本物ならそう言って
欲しかった……)
正体がバレそうになったアリスはそう思うと、慌
てて否定する。
「ち、ちがうよ! NPCだよ! 装備したら外れ
ない呪いのパンツだよ!」
ニーナはNPCという単語がわからなかったが、
外れないパンツは防具だと理解した。すると、パン
ツの細い触手がニーナの耳に入りクチュクチュと脳
をいじり、ニーナは白目を向き、体をアリスに操作
される。
目から見える情報は確認できるが、体は動かせな
い。王様のところに戻り、しゃがむと話が進んだ。
王様の上に枠が表示されると、【魔物魔王倒せ】こ
の文字が三行で書かれていた、もう一度話しかける
とそれ以降【はよいけ!】に変わっていた。
操られているニーナは城の門を出るとアリスが報
告する。
「ご飯できたらしいから食べてくるね」
アリスがゲームの世界から現実世界に戻ると、体
の主導権をアリスに奪われたニーナは、倒れて動か
なくなりアリスが擬態していた服が消えた。
(あれ? 動かない……どうして? アリスさんが
いないと何もできない体になったのかな?)
ニーナはそう思い、アリスが戻ってくるのを待っ
た。その2分後、一人のマントを着けている兵士が
ニーナに近づく。
「見つけたぞ! 無礼者!」
兵士が言うと自分のマント取り外し、そのマント
でニーナの体を覆い、兵士がニーナを城にある可愛
い部屋に連れて行った。
「ここは姫様の部屋だ、無礼者はこの部屋でじっく
りと可愛がってもらうと良い」
ニーナは机の上に座らされ、兵士が兜と鎧を取る
とニーナの目にはクリムに似た背が高い女性が映っ
た。
「私が姫だ!」
兵士が姫を名乗ると、着せ替え人形のようにニー
ナで遊んだ。
(助けて……誰か……)
自分の体で遊ばれているニーナはそう思い涙を流
そうとしたが、涙が出せなかった。遊び終わった姫
は、ニーナを持って風呂に行くとニーナ用の風呂を
用意して入れた。
姫は別の風呂に入り、動けないニーナは風呂の効
果で、刺激に敏感な肌へと変わっていく。変化した
か確認するために姫は、ニーナを持ち優しく抱きし
めるとニーナの体は何ともないが、心は昇天して眠
りにつき、その姿は目を開けたまま眠っているよう
に見えた。
姫がニーナを連れて部屋に戻るとニーナに自分の
ドレスを着させ、抱きながら眠る。ニーナの心は抱
かれるだけで、幸せを感じるようになっていった。
アリスが戻るとニーナがいない事に気付き、パン
ツ型のモンスターであるアリスが触手を生やし、人
の手と足に擬態させローブを着た。
「追われてたから多分……捕まったのかな? 城内
を探そう!」
城内をアリスはしらみつぶしに探すと、最後に姫
の部屋へ入った。姫に抱きつかれているニーナを見
たアリスが、ニーナの脳を弄りパンツを装備させ、
ドレスを食べて擬態する。
「ニーナ大丈夫? 返事して?」
アリスがニーナの口で語りかけるが返事がない。
脳に直接刺激を与えると、意識が戻ってきた。
(抱きしめないでぇ……やめてぇー! もう意識を
失いたくないぃ!)
心の叫びが聞こえると、ニーナの心がそれ以上喋
ることはなかった。
ニーナの体が姫の部屋をでると、草原に向かいそ
こで休んだ。服に擬態しているアリスがニーナの体
に触れないよう、服は宙に浮き、触ることはな
かった。
(助かったのかな?)
ニーナの意識が戻ってくる。
「この世界から出れば治るんじゃないの?」
アリスはこの世界の常識をニーナに教えた。する
と、ニーナはアリスにクリアしないと戻れないと伝
え、それを聞いたアリスは触手攻撃でモンスターを
次々と倒し、ニーナのレベルが上がっていく。擬態
できる服の数も増えてニーナは、クリアに近づくの
を喜ぶが、体は動かせない。見ているだけのニーナ
は自分の体が無双するのを楽しんでいた。
(強い……強いよ! スゴイ、私ってこんなに強か
ったんだ!)
アリスが強いのであって、ニーナは弱いがそれだ
けで満足していた。
(このゲーム、さぁい!こぉー!)
あっという間に、魔王の部屋まで来ていた。触手
で魔王を倒すと、世界が終わり、全員が外に出され
ると世界は再構築される。体はゲームが入る前の状
態になるが、心はそのままだった。
「触手がドカーン、触手がグサッグサッ」
ゲームを終えたニーナは妄想で遊んでいた。ユリ
ノはヤバいと思ったのか持ち上げ、記憶を消す装置
の前に運ぼうとする。その時に抱いてしまい、ニー
ナの頭は幸せに支配され、棒立ちの状態で顔が恍惚
の表情をしていた。
ユリノは装置をニーナの頭に着けて、起動させる
とゲームの時の記憶を選択し、消すボタンを押す。
すると、装置から甘い匂いが吐き出され、ニーナの
脳を書き換えた。