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狐耳の少女ニーナ  作者: プププ
13/57

第1章13話夢の世界

 ニーナを取り戻し皆で盾の家へ帰ると、今日は豪

華な料理を出すよとクリムが左手を伸ばして言うと

ユリノは右手で手を繋ぎ、楽しみにしてて! と仲

良く、みんなに期待をさせた。その動きを羨ましく

思いニーナは見ている。


「その動きやってみたい」


 クリムにお願いすると、また後でね。手を振って

魔法をかけると食堂に入っていった。他の人はそれ

ぞれの部屋に戻り、クロは家から出たらだめだよ?

とニーナに約束をすると部屋に行く。何故かクリム

の部屋に行きたくなったニーナは気がつくと部屋の

前にいた。


「あれ?」


 ニーナは記憶が飛んでいる感じがすると思い、こ

の部屋から離れようとする。すると、ニーナの右手

はドアノブに手をかけていた。ドアノブを触ると、

グチョと音がする。そして、手をみるとピンク色の

液体が着いていた。


「なにこれ?」


 ニーナは困った顔をしてペロペロ舐める。桃の甘

い味がするドアノブをなめ終わると扉を開けた。中

は空の瓶と匂い以外は他の部屋と変わらない。


 部屋のなかで甘い匂いの発生源を探し、真ん中に

あるベッドからすることがわかった。寝ながらニー

ナは匂い嗅ぐと、頭の中がモヤモヤする感じに襲わ

れる。


「……、……。…………」


 何も考えられなくなり、さらに喋れなくなった。

仰向けになり、ボーッとしていると、液体の塊が

天井から降りてきて、ニーナを包み込む。


 スライムがニーナの肺に、空気を送れるようにす

ると、全身をマッサージするように揉む。そして、

スライムが3匹に分裂し、ニーナの体を取り込んで

いる1匹と中に何もないのが2匹になった。


 体内に何もない1匹はニーナの脳を作り出しもう

片方が背骨を作る。両方の感覚を魔法で本体に繋げ

ると、骨が入っている方のスライムは神経を治し安

らぎを与え、もう片方は催眠術にかかりやすくなる

ように、脳を揉み改造すると楽しい夢をみれるよう

に催眠をかけた。


 2匹のスライムが合体すると、やったことを本体

へ流し込むその衝撃でニーナの体がビクッと1回身

を震わせた。スライムはやることを終えると部屋の

瓶に入り、自分で蓋を閉める。ニーナが目を覚ます

と、なんでここにいるのか理解できないまま、再び

眠りにつく。


 ニーナは夢を見ていた。お菓子でできた家が見え

近づくと、クリムとユリノが家をお菓子で飾ってい

る。挨拶をして中に入るとベルの後ろ姿が見えた。


「師匠! 会えて嬉しいです」


 ニーナが走って近寄ると、ベルは頭を撫でるだけ

で一言も喋らない。師匠? お話したいです……。

ニーナはベルの顔を見ると、顔がぐちゃぐちゃでモ

ザイクがかかっているようだった。


(師匠の顔が思い出せない……なんで?)


 ニーナが疑問に思っていると後ろからクロが出て

くる。クロ様! と叫び抱きつくと、ニーナの足は

宙を浮く。クロが自分の腰を掴んでいること気づき

持ち上げられ3周、一緒に回った。目を回して倒れ

ると、ゆめの世界を退出した。


 ニーナは起き上がると、クロとクリムが腰に手を

当て怒った顔で見ていた。クロ様! と夢と同じ事

をすると、クロは抱き締めてニーナの目を見た。


「催眠術かけた?」


 ニーナの目が光を受け付けていないのか、それと

も自分の精神を心の底に落としたのか、瞳が淀んで

いる。


 ドキッとクリムは目を泳がせるといきなり言い訳

を始めた。


「ニーナが眠れてなさそうだから、眠れるようにし

ただけ! 本当にそれだけだって!」


 クリムは手を動かし慌てる。ニーナはクロの手を

握り唇にキスをすると、そのままクロの口に舌を入

れた。


 口に入れた瞬間、ニーナの生命力がクロの方に流

れ込んでいく。クロが少しずつニーナの力が弱まっ

ているのを感じると、ニーナを突き飛ばした。


(クロ様……なんで……)


 後ろに倒れながら両手をクロに差し出すと、ニー

ナの頭は地面に激突した。立ち上がれないぐらいに

力を吸われ衰弱していたのに加え、強い衝撃で気を

失った。気絶したニーナの口が開きスライムが出て

くると、慌てて部屋から逃げ出す。


 クロはクリムを睨み、どういうつもり? と威嚇

する。あれは私のじゃない! と否定するとどっか

で見たことあるとクリムは思った。


 弱っているニーナをクロがベッドに寝かせると、

魔王がクローゼットから出てくる。


「ニーナの夢の中に入ってみるか?」


 クロは驚くがそれどころではないので入ると言い

ニーナの隣に寝る。そして、モナーミがクロとニー

ナの頭に手をかざす。夢の世界にクロが送り込まれ

ると、そこは牢屋が沢山ある、通路だった。


「なにここ?」


 クロが牢屋を見て何もないとすぐに、次の牢をみ

る。何個か見たあとに、ニーナがいる牢屋を見つけ

た。目が虚ろのニーナは座ったまま、クロが名前を

呼ぶが気付いていない。


 人の歩く音がすると、反対の開いている牢屋にク

ロは身を潜めた。影が見えてくると、スライムの帽

子を被った、鞭を持っているニーナが姿を見せた。


 スライムがニーナの耳をクチュクチュ音を立てる

と、操られているのか急に怒りだし牢屋を開ける。

すると、閉じ込められているニーナは、扉が開く音

が聞こえると立ち上がり、自分の姿に似た人へ近づ

く。ここからだして! と勢いよく体を揺さぶり、

鞭を持った方は、うるさい! とニーナを押し倒し

鞭を打ちながら喋り始める。


【お前のせいで、クロ様に見放されたんだ】


【お前のせいで、クロ様が怒ったんだ!】


【お前のせいで、クロ様は突き飛ばしたんだ!】


 ニーナは鞭を打たれ、痛いという声がしだいに、

弱くなり痙攣すると動かなくなった。動かなくなっ

ても、お前のせいで。と繰り返し、鞭を叩く。それ

を見ていたクロが鞭を持っている方に近づきビンタ

をする。


(あれ? クロ様……なんでここに?)


 そう疑問に思うが、スライムがクチュクチュ音を

立てると、クロ様が来るわけがない! と鞭を振り

回す。そして、クロに襲いかかってくる。


 クロは素早くスライムの帽子を引きちぎると、カ

ラスと黒騎士を召喚し、スライムはカラスの餌にな

り、帽子を失ったニーナは黒騎士にボコボコにされ

る。


 鞭の怪我を負ったニーナをクロが抱きしめると、

ニーナは目を開ける。


「クロおねぇ……ちゃん、ありがとう……」


 笑顔を見せるとこの世界から開放されたように、

光の粒になって消え去る。そして、夢の世界が崩壊

すると、クロは強制的に追い出された。


 目を開けたクロは起き上がってニーナを見た。終

わったようだな? 魔王は目を覚ましたクロに言う

と、クローゼットの中に戻っていく。


 クリムは2度ニーナに回復魔法をかけ、傍で見守

っている。3度目の回復魔法をかけると、ニーナは

目を覚ました。ニーナは二人に夢の中の事を語り始

める。辛いことがあっても、最後にはクロが助けて

くれる! と嬉しそうに喋る。


「おねーちゃんじゃなくて、クロって呼んで!」


 クロがお願いすると、その通りにニーナの脳が、

書き換えられる。すると、クロ! クロ! と連呼

するニーナ。クリムを見て、催眠は解けてるはずだ

よね? とクロが訊く。


「後遺症として、催眠にかかりやすくなったかも!

それとご飯の準備できてるよ!」


 クリムは逃げるように立ち去る。ため息を吐き魔

王が消えたクローゼットを確認するとそこには何も

なかった。


 ニーナと一緒にクロは食堂へ向かう、食堂へ着く

までずっとニーナは腕を掴んで離さない。食堂の扉

を開けると、皆が二人を待っていた。一斉に、ラブ

ラブー! と二人を煽る。


 ニーナの目はハートになり顔が真っ赤に染まり、

心臓の鼓動が早くなる。そして、ありがとうござい

ます。とみんなに返した。


 美味しい料理を食べ終わると、今日でお泊りは終

わりか……とみんなが名残惜しい気持ちになった。

そんな中クロは、ベルが心配だからと言い、ニーナ

と食堂をでようとする。


「まって」


 アリスがクロを引き留めると、そっちに泊まって

良い?と訊いた。良いよ! と返事を返すと二人が

家を出る。アリスはうれしいーと叫びブラインにう

るさいと注意された。


【家から東の門に行く途中、ブラッドが現れた】


「その子を置いていけ!」


 ブラッドが拳を構えると、二人は顔を合わせ、


「だれ?」


 同時に訊いた。そして、クロがカッコウを召喚す

ると、静まり返った場に、閑古鳥が鳴く。


 珍しい鳥の声を聞いたヨウジョが集まって、ブラ

ッドを押し倒し、踏みつぶす。その間に、クロとニ

ーナは国を出た。




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