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狐耳の少女ニーナ  作者: プププ
12/57

第1章12話闘技場

 ニーナは出された物を食べ終わり、ごちそうさま

でした。と挨拶をした二人が食堂をでようとする。

すると、その二人にクリムが声をかける。


「闘技場行かない? 南東の方にあるんだ」


 クロは人差し指をおでこに当て考えた。それをみ

たニーナも真似して、指をおでこに当て考える振り

をした。クロが口を開けると、行ってみたい? と

ニーナに訊く。考える振りをやめると、行きたいと

返した。


 言い出した二人に案内して! とクロが求める。

ユリノが良いよと言って先頭をあるき、クリムは彼

女の後ろにくっつきそれの後に続くクロとニーナ。

そして、4人は盾の家をでた。その後ろに、6人と

1匹の影がついてきた。


 道なりに、進み闘技場に着くと、そこは人々の声

援や罵声などが響き、入口にも沢山、人がいて賑わ

っている。


 ニーナが棒立ちしていると、後ろからトントンと

肩を叩かれる。振り返るとそこには、置いてきた人

たちがいた。


「よっ! 奇遇だな。良い席あるから一緒に観よう

ぜ」


 ヨウジョイノチが先に行った4人を誘うように、

チケットをヒラヒラと見せびらかし、近づき人数分

あるチケットを配り終えると、闘技場へ入る。


 外は壁で覆われて、入口は東西南北に1ヶ所ずつ

あり、中には入口1個につき、出場と観戦の受付が

ある。受付嬢は全員服装はバラバラで、個性豊かな

服を着ているヨウジョだ。全員が観戦の受付をする

と、階段へ案内される。登り終わると、人々の熱気

と声が鳴り響く。そこは闘技場全体を見渡せ、普通

の観戦席より高い位置にある、一ヶ所しかない一番

良い場所だった。試合をする場所と観戦する場所に

は、人があがれないほどの段差がある。


 全員が椅子に座る。すると、見た目はヨウジョ、

髪色は黄、団子のように、頭の上で長い髪をまとめ

ている、メイド服を着た可愛らしいヨウジョが現れ

た。


「ようこそ! お越しくださいまして、ありがとう

ございます」


 彼女はお辞儀をすると、一人一人握手をする。最

初は勇者様、次は魔王様、その後に勇者の仲間、最

後はニーナ。


 そのときに見たことの無いひとだと、ニーナを見

て思う。


「初めまして、わたくしは闘技場管理者のルーネア

と申します」


 ルーネアが自己紹介を終え、手をパンパンと叩く

と、メイド服を着たヨウジョが数人、お菓子と飲み

物を運んできた。そして、皆が座っている椅子の仕

掛けをいじると、椅子の肘掛け付近からテーブルが

出てきてそこに運んできたものを置いて立ち去る。


「存分に、ゆっくりしてください」


 ルーネアもその言葉を言うと、メイドたちと同じ

ようにいなくなった。そして、皆は試合の観戦を楽

しんだ。ほとんどの試合がヨウジョ対ヨウジョの、

掴み合いだった。全員が盾の加護持ちだから、こう

いう感じの試合になったらしい。


 10試合目が終わった時、トイレに行ってきます

とニーナが行く場所を宣言し席を立ち探しに行く。

確か入口の方にあったかな? と思いながら戻ると

トイレを発見しそこで用を足し、出た直後に受付の

ヨウジョに手を掴まれる。


「あの、すみません! 勇者様の仲間ですよね?

選手が一人足りなくなってしまって、代わりをお願

いします!」


 ニーナは頼まれるとハイと返事をしてしまった。

ありがとうございます。と感謝されると名前も答え

させられ、控室に連れて行かれる。そこで受付嬢が

別の人と変わり、服を半袖と半ズボンに着替えさせ

られドアの前に立った。


 あっという間の、出来事である。ニーナは剣も持

たされ、ドアが開くと、ニーナは前へ歩く。


「次の挑戦者は! えっ! 変更? 変わりまして

ニーナ!」


 放送が流れ、場は騒然とする。


 聖女様の名を騙る不届き物めと一人の観客が、物

を投げながら叫ぶ。それに同調した観客が次々と物

を投げる。


「チャンピオンの登場です。ブラッドだー!」


 放送が終わるとワァー! と歓声が上がり、不届

き物を裁けと言う人も出てきた。


 姿は赤い髪、色白で120cmの女性で服はニー

ナと同じ。


「あんた外見は可愛いのに、こんな場所に出てくる

とは、自分が強いとでも思っているのか? ここの

ルールって知っているんだろ?負けたら勝者の永久

奴隷だ」


 ブラッドはそう言いながら赤い血のようなオーラ

を纏った。奴隷という言葉に驚愕しているニーナは

動こうとはしない。


「こっちから行くぜ!」


 オーラを纏ったブラッドの腕は、ブラブラと垂れ

下がる。


 数秒後、ニーナの隙をみつけたのか一気に離れて

いた距離をつめる。そして、手でニーナの体を掴も

うとするが、剣で叩き落された。


 ニーナが一瞬で5回剣を振ると剣は壊れるが、ブ

ラッドの攻撃は防いだ。


 ブラッドは攻撃が失敗すると後ろに距離を取る。


「やるじゃねぇか! 本気出させてもらうぜ! 死

んでも加護で生き返るだろ? 安心しろ。痛いのは

一瞬だぜ!」


 ブラッドから赤い霧が発生すると、ニーナの周り

を覆い、視界を奪う。目が見えないニーナは、壊れ

た剣を必死に振り回す。霧が晴れると、目の前にブ

ラッドがいた。


「しばらくお別れだな!」


 ニーナの耳に囁くと、ブラッドが拳を突きオーラ

が飛ばされ、ニーナの心臓を一突きする。ブラッド

は加護持ちとしか勝負していなかったから、わから

なかった。心臓を突いてもニーナの体は消えない。

これで死なないのか? とブラッドは首を掴み持ち

上げ、疑問に思うとニーナへ喋りかけた。


「消えてないなら、返事しろよ」


 ニーナの体を支えながら、揺らすが反応がない。

力が無いように、ぶら下がり、心臓の音も聞こえな

い。段々とニーナの状況を理解したのか、ニーナを

離し地面にぶつかるのを見ると、膝をつき両手を地

面につけ、顔は下を向き、ブラッドは叫んだ。


「あああぁぁぁ!」


(死、し……しんだ? これが死か? あたいが人

殺し……? 嘘だよな……心臓一突きで消えて終わ

りだろ? それで町で復活していつも通りただ家族

が増えるだけなのに……こいつ勇者様の加護が無い

のか……?)


 すると、ニーナと自分の位置が戻っていた。二人

はさっき起きたことが全部夢のような感じだった。

ブラッドは立ったまま寝ていたのか? と疑問に思

う。そして、体を霧化させて、ニーナの気管に霧を

詰め、呼吸を止める作戦に変えた。


 霧に覆われたニーナは呼吸ができないのか、口を

パクパクさせると白目を向いてフラつき、倒れる前

にブラッドが支える。


「あたいが、守ってやるから」


 ブラッドはそう言いながら、ニーナをオンブする

と闘技場を出た。


「おっと? どこへ行くんだ? 持ち帰って良いル

ール何て無いぞ?」


 マイクで司会の声が響く。


 それを聞いた観客が金を返せ! と騒ぎ始めた。

闘技場の勝者は敗者を首輪で奴隷にできると、ブラ

ッドはそう思っていた。いつもならしていたが、今

回は特別に首輪を着けなかった。歩いた振動で体が

揺れると、ニーナが目を覚ます。


「私はもう奴隷ですか?」


 オンブされながら悲しげに尋ねた。あぁそうだ!

とブラッドが返し、ニーナは自分を助けてくれた勇

者達のことを思い出し、ブラッドの背中に、大粒の

滴を落とした。ブラッドは奴隷が沢山いる、自分の

家に帰ろうとすると、勇者達が道を塞いだ。


「私の嫁を誘拐とか許せないよ!」


 クロが怒った顔で睨みつける。ブラッドはニーナ

の顔を見せ、勇者様! なんでこの子に加護を与え

ないんだ? と疑問を投げつける。


「加護着けた瞬間どうなるか見たいのかぁ? さっ

きお前が殺した時より、悲惨だろうなぁ!」


 さっきの異常を起こしたブラインが答えた。それ

を聞いて、あれは夢だ! と反論する。クロはブラ

ッドの背中からニーナを奪うと魔王が自分の記憶を

相手に記憶を流し込む。ブラッドは一瞬で、何万回

もニーナの体が死に、徐々に心が死んで逝くのを見

せられた。その記憶を体感し、アァァと声をあげ、

ブラッドは息を荒くし涙を流す。


「なんで! なんでこんな……」


 涙を拭くと、あたいはニーナの飼い主だから、近

くに居させてくれ。とブラッドはクロに頼んだ。


「君さぁ……奴隷沢山持ってるよね? そのこ達ど

うするの?」


 クロが質問をすると、ブラッドは返す言葉を探し

て動かない。何かを閃いたのか動き出す。ちょっと

待っててくれ! とお願いをして、自分の家に入り

出てきたのは泣いている奴隷達だ。


 力の弱い拳でポコポコとクロを叩き始めた。


「ブラッドを取らないで、私たちを見捨てないで」


 ブラッドが戻ってくると、全員捨てたからこれで

準備はできた! と覚悟を決めて話した。


 クロは呆れ、ため息を吐き、ニーナを見せる。


「ニーナにも同じことをする気? 他に可哀想な子

ができたら、こうやって見捨てるんでしょ? そん

な人にニーナは預けられないよ」


 クロが発言した後付け足すようにヨウジョイノチ

が、闘技場で負けたら奴隷とかそんなルール無いよ

と話したことに、戸惑うブラッドと取り巻き。


 取り巻きはブラッドを見て、一緒にいたいよ……

と泣き出す。すると、ブラッドは諦めたように、取

り巻きと家に帰った。

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