第1章11話ニーナの探検
クロはニーナを他の勇者達に任せ、レイルと一緒
に遭遇した場所まで走ると移動中に3人のローブと
すれ違う。2人は目的地に到着すると銅像の周りを
探すが、犯人は見つからない。
「あれ? おかしいな……確かここに……嵌まって
るハズなんだけど……」
レイルが不思議そうな顔で頭を掻く。すると、閃
き口を開く。
「そうか! 幼女の姿じゃないと現れないのか!」
レイルは的外れな事を言い幼女の姿に戻ると招き
猫のポーズで踊りだす。
「ほら、ほら! 出ておいで!」
クロは呆れて見ているだけだった。
レイルが踊っている間に、3人のローブは盾の家
に着き、クリムの前に立つ。
「勇者さまー! 変なヨウジョにやられちゃったよ
うぇーん、仕返ししてください。銅像に体を入れら
れたんですよ」
黄の女が泣き叫びながら喋ると、俺なんか! 内
蔵ぐちゃぐちゃで死んだんだぜ! と赤の女も同時
に喋る。さらに、緑の女も、殺されたーと仰向けに
大の字で倒れた。
「いっぺんにしゃべるな、パプリカたち」
クリムが叫ぶとパプリカ達の頭上に雷が落ちる。
アババババと彼女達は痺れた。ひどいぜ勇者様……
と赤が声を出すとニーナに気付く。
「さっきの奴じゃん! 死んでなかったのか?」
声に出してニーナを見た。その声を聞いたニーナ
は足が震えた状態で逃げようとしたが、足がもつれ
後ろに転倒。そして、尻を地面につけ、その状態で
地面を蹴り、必死に逃げようとする。
着ていた服は汚れ顔は涙でグショグショになり、
仰向けに倒れると、うつ伏せに変え、ほふくで逃げ
ようとする。それを見たクリムがニーナの近くに行
き、抱き抱えると捕まって殺されると思ったのか、
ニーナは気を失った。
「パプリカたちがやったの? あやまって!」
クリムが命令すると、パプリカは必死に土下座を
した。そして、クリムも部下が酷いことしてごめん
ねと頭を撫でて謝る。すると、アリスがハンマーを
持ち頭を下げているパプリカ達を順番に叩く。
「血まみれになってから謝れ!」
アリスの顔が段々と鬼のような顔になっていく。
パプリカ達が血まみれになって気絶すると、ブライ
ンがパプリカ達の時間だけを巻き戻す。クロ達が諦
め戻ってくるまで、終わらなかった。
二人が戻ってきたあと。さらに、クロがフルボッ
コにする。数分後、気が済んだのか、殴るのをやめ
ニーナを家のベッドに運ぶ。それについていくよう
にクリムを除いた勇者達が移動する。
パプリカの達の顔面はボコボコに変形していた。
クリムが怪我を治すと、もう帰って! とパプリカ
達にお願いし、クリムは勇者達の後を追った。3人
は後悔しながら、クリームに帰って行った。
部屋にはクロとニーナ、それとクリムとユリノ以
外は追い出された。クロがベッドに寝かせると、ク
リムとユリノがニーナと寝た。扉の前でニーナがど
こにも行かないように、クロが見張っている。クリ
ムはニーナの正面で狐耳を触り、ユリノは背面から
尻尾を触っていた。堪能した二人は、触っていたと
ころにキスをした。
「おやすみ」
二人が同時に挨拶を交わし、眠りにつく。数時間
後、ニーナだけが目を覚ましクロの元へ近寄る。こ
の家を探検したいと手で、クロの腕を掴み引っ張っ
た。
「行こうか!」
クロの掛け声で二人は一緒に歩き出す。クロ達が
いる部屋は、3階にある東側の部屋だ。この階は、
建物の内側に廊下があり、西と東側には扉が真ん中
にある部屋が1個ずつ。廊下は一周できる道になっ
ていて、南側にある廊下の真ん中には、1本の階段
がある。それは、建物の内側に向かって下に伸びて
いる。二人は廊下をぐるぐる回り、自分達がいた部
屋の反対側に行く。部屋に入るとヨウジョイノチと
レイルそれに、あと二人がテーブルを囲っていた。
ニーナは知らない3人に自己紹介を始めた。レイ
ルの今の状態は男でニーナは会っていない、残りも
男だ。レイルに少し似ていて名前はレイリとレイラ
母音が『あ』に近づくほど、身長が10cm増えて
いて服装は3人とも同じ。
レイラの特徴は、顔に左の頬に2本の引っ掻き傷
がある。もう一人は、その逆に1本の同じ痕がつい
ている。だが、レイルにはついていない。
3人がヨウジョ化すると、身長は縮み、傷は消え
その代わりに髪が伸びる。身長と同じ原理で、髪は
名前順に長い。
「ゆっくりしていって!」
ヨウジョイノチが椅子をだしクロ達を座らせた。
クロと4人は仲良く喋るが、ニーナは上手く輪に入
れずにいた。すると、ヨウジョイノチがニーナに話
しかけてきた。
「この町はどうかな? 良い町だろ? 住みたくな
い? ヨウジョ大歓迎さ!」
ほとんど勧誘のようなものだった。ニーナはクロ
の住んでいるところが好きと4人に言うと、見せつ
けるようにクロのほっぺにキスをした。
クロは嬉しくなり、部屋を出ようとした。それに
気づいたニーナも一緒に行く。二人は部屋を出る時
の挨拶をして部屋をでた。そして、階段を下りた二
人は周りを見る。
下りてきた階段の横には、反対方向の2本の階段
があり、両方1階へ続いてる。ニーナは手すりに掴
まり、ひろーいと叫んだ。この階は、廊下が外側に
あり部屋は内側にある。部屋へ行く通路は、北側の
壁沿いにある、左右の道しかない。道を進むと、角
がありそこを曲がると、2個の扉が内側にある。
反対も同じ構造だ。ニーナは東側の廊下をあるき
進んでゆく。近くの扉をコンッコンッ! と叩く。
「だれぇ? 何かよぉ? 用事ないなら帰って」
中からユリノの声がする。ごめんなさい……とニ
ーナが謝るとユリノが強く、内開きのドアを開けて
ニーナを部屋へ連れ込む。クロが入らないように、
すぐにドアを閉めたが、もうすでに入っていた。
「いろいろな機械があるね!」
クロが目を輝かせてみているとマッサージチェアが
置いてあった。それに、座りくつろぐ。
「あぁ~! きもちぃ~!」
それを見てチャンスと思ったユリノは、ニーナの
体を触り始めた。ニーナはくすぐられてビクビクと
震える。
「アハハハハハ! やめてぇ! アハハ!」
問答無用で擽る機械の椅子に座らせた。すると、
機械がくすぐり始め、ニーナはさらに笑い声をあげ
る。
1時間ぐらいが経つと、機械が自動で止まり、そ
の上にはニーナの汗と涙と、いろいろな液体が椅子
にこぼれ落ちていた。ニーナは痙攣したまま動かな
い。
介抱するためにユリノがニーナを持ちあげると、
さらに激しく痙攣した。部屋にある風呂に入れ機械
を使い一瞬で服を乾かし、ベッドの上に寝かせ回復
するのを見守る。
クロのマッサージが、3時間で終わったのと、同時
にニーナも目を覚ました。ニーナは何が起きたのか
思い出せずに、体が軽くなったような気分でクロと
部屋をでた。そして、次の部屋に進む。扉を叩くと
ブラインとリスが出てくる。
「なんのようだぁ? ってクロとニーナか!」
ブラインの声を聞いて、アリスが飛び出す。
ハァハァと荒い息をあげニーナに抱き着くと、さっ
きのくすぐりの効果がまだ残っていたのか、強く抱
き着いた瞬間、ニーナはくすぐったいのか痙攣し、
お漏らしをした。
アリスは、えぇ? と疑問に思うが、その疑問が
吹き飛ぶぐらい、ブラインのパンチが飛んできた。
アリスが片づけをしている間に、クロはニーナを連
れて前の部屋に戻ると服を乾かしてもらう。その後
ニーナは階段へ戻る。
「いろいろあったね」
クロが話すとニーナは顔を赤くして、ハイと答え
西側の廊下を進む。手前にある扉の前に来ると、コ
ンと扉を叩く。誰もいないのかニーナが扉を開ける
と、クロの目の前からニーナの姿が消える。
クロは驚き、部屋に入ると誰もいなかった。来た
道を戻ると、階段のところに、さっきまでなかった
ニーナの像が追加されていた。慌てて階段を上って
きたクリムが、ニーナの石化を解く。
「ごめん、魔法解除するの忘れてほかの部屋行って
た」
クリムは魔法が発動したのを感じ取れていたよう
だ。部屋に行っても何もないよとクリムが忠告して
階段を下りて行った。ニーナ達は、一番奥の部屋を
目指し進む。
今度は扉を叩かずに開けた。すると、そこは空き
部屋。ニーナはがっかりしながら、階段をおりた。
それについていくように、クロもおりる。
1階の東側と西側の部屋は2階の構造を逆にした
だけで、階段から下りたさきには、出口があり、そ
の反対側には、食堂がある。二人は食堂の扉を開け
周りを見ながら入った。
真ん中の左右には扉があり調理場へ続いている。
調理場を探索するとお菓子があるので、ニーナはつ
まみ食いをしようとした。クロがだめだよと注意す
ると、手を引っ込める。
食堂を出て、次は入口付近で足を止めた。入口の
壁沿いには廊下があり、左右の道に分かれている。
クロはどっちから行くか迷うが、ニーナは東側の廊
下に決めて進みだし、クロはそれについていく。
ニーナが手前の扉を叩く。すると、クリムとモナ
ーミが出てきた。
「この家を探索しておるのか? そしてこの部屋ま
で来たのだな!」
モナーミが腕を組み、自分で決めつけ納得した。
クリムはごめんと悲しそうな顔をして謝るとその場
を立ち去る。
モナーミは勇者を一人ずつ呼び出し、ニーナをど
うするか聞いていた。とクロに囁いた。それを聞い
たクロは、次の部屋いこうか! とニーナを連れて
行く。
奥の扉にはレイルと書かれている。ニーナが部屋
に入ろうとするが、ドアに鍵がかかっていた。諦め
たニーナは西側の方へ向かう。手前の扉はレイリと
書かれていて、奥の扉にはレイラと書かれていた。
両方の扉は、レイルの扉と同様鍵がかかっている。
ニーナはクロと一緒に探索し終えた。そして、詰
まんなそうに、クロと手をつなぎ自分の部屋へ戻っ
ていく。
クロ達は部屋に戻ると、そこで時間を潰した。
クロは時間が経ってニーナを見ると空腹で涎を垂
らし、倒れていた。ニーナを食堂に運びクリムとユ
リノを呼び、急いで料理を作ってもらった。
ニーナのホッペをクリムがぺちぺちと叩く。目を
覚ましたニーナは口をユリノの手で無理やり開け
させられ、クリムが料理を口に突っ込む。
ニーナは噛むことはせずに、口に入れたまま、食
べることはなかった。それを見ていた、ユリノがニ
ーナの頭と顎に手のひらをつけ力を込め食べるまで
口を強制的に閉じさせる。クリムは、食べないと息
できないよ? と囁きニーナの鼻をつまむと、息が
できないのか食べ物をゴクンと飲み込んだ。
ニーナは目の輝きを失い、耳と尻尾も落ち込ませ
クロをみた。
「ごめんなさい……つまみ食いしました」
声を出してニーナが謝罪する。それを聞いたクロ
も、ごめんと抱きしめた。
料理まだまだあるから! と見せつけられていた
二人が、料理を運びながら言う。