神獣も自由だったよ!
うん。モフモフ達も...
聖都に転移した俺と神獣は、大司教を通じて教皇にお会いした。
「ライカールトン教皇、お忙しい中すみません」
「いえ、使徒殿とお会い出来て光栄でございます。それで何用でしょう? 」
「それなんですか... 」
そこで、コレ迄の詳しい経緯と神敵の正体、今起こっている事を全て話した。もう何も隠す必要が無いからな。それを聞いた教皇は、大いに驚いていたが、全面的に協力してくれる事になった。信仰している神の手伝いが出来る! って張り切ってたよ。すぐに各地の情報を取って貰える筈だ。俺は、流行る気持ちを抑えて連絡を待つ事にした。焦って得する事は、無いし。情報は、刻一刻と集まり始めた。ほぼ全ての国が、襲撃を受けている様だ。しかも、とある国ではヴェゼル王国と同じ様に、隣国に侵攻していると言う話もあった。仲間の事は気になるが、侵攻されていると言う国が気になり、そこに向かう事に決めた。キュメル王国だ。時間が無いからシルフィーとサタンを抱いて、国境付近まで空を飛んだ。
◇◇◇
キュメル王国 国境付近〜
着いてはみたが、国境警備の兵士が見えない。念の為、周囲を警戒しながら進む。
「主! 人の気配はないから 私達で先に見て来る! 」
そう言ってシルフィーとサタンは、先行して行ってしまった... やる気マンマンだな。
国境を越えキュメル王国に入り暫く進むと街が有ったんだが、そこでようやく人に出会う事が出来た。かなり慌てた様子だが...
「慌しい時にすまないが、ちょっと教えてほしい。今、どう言う状態なんだ? 」
「何だアンタ。何も知らないのか? 早く逃げないとここにもリンドスラムの奴らが来るぞ! 」
この男性にもう少し詳しく話を聞いた所、2日前にリンドスラム帝国から宣戦布告があってその日の内に街が3つ制圧されたらしい。王都も時間の問題だから、北の山に避難する様に伝達が入ったとの事だった。教えてくれた後、家族達と足早に北へ向かって行ったよ。
西にある王都へ向けて走る。そこで、念話が入った。
"主! やっぱり魔物みたい! 先に相手しとくね"
っておいっ! 言い逃げだよ。相変わらずだな君達。生存者を見逃さない様に王都方面へ飛んだ。上空からは、北に向かって人々の長い行列が見えた。大丈夫みたいだな。山の方には魔物は見えなかった。急いでシルフィー達の元へ向かった俺が見たのは...
楽しそうに、広範囲魔法をぶっ放す2匹の神獣だった。手助け必要なくね? 遠慮とか無いのかね? 後始末俺がするんだよ! とややキレ気味のシゲルだった...
◇◇◇
戦闘は、一方的に終わったので、乱れた土地を整地し浄化魔法で亡くなった方を弔った。勿論、神獣2匹は叱っておいた。お腹見せて転がっているから撫でてたんだけどさ、逆にご褒美みたいになってしまった... 甘い、甘すぎるよ俺! モフモフに負けちゃダメだ!
やる事を済ませた俺達は、キュメル王都へ急いだ。到着した俺達は、騒がしい王都内で状況確認。現在、王都の直前までリンドスラムからの軍勢が迫っているらしい。良かった。何とか間に合ったな。
◇◇◇
前線のキュメル軍〜
「何だ⁉︎ あの数は! それに魔物だと? 抑え切れるのか... 」
「嫌だ! 死にたく無い! 」
「妻や子供だけでも逃げてくれ! 」
そんな緊迫した場面に、俺達は到着した。
「責任者の方いますか? 加勢しに来ました! 」
「あなた方は? 加勢は、助かりますが... 」
俺が、軍の関係者と喋ってる間に、またもや空気の読めない神獣2匹。
"永遠の眠り"
"乱雷の嵐"
迫る軍勢が、凍らせたり雷に打たれたりえらいこっちゃ... 得意げに褒めろって言う顔でこっち見てるんだよね。うん。凄いよ? さっきの反省はどっか行っちゃったんだね? ため息を吐きながらもそう言えば、俺もあんまり他人の事言えないよな? と思い直した。とにかく、殲滅だ! 俺達の圧倒的な戦いに、キュメル軍も息を吹き返した。神獣の魔法で出来たクレーターに、魔物や兵士が勝手に落ちてるからそこに浄化魔法を放り込んで行く。流れ作業だね。約3時間程で、リンドスラム軍は壊滅した。此処でも後始末はしっかりやりましたよ。もう慣れたもんですよ。休む暇もなく俺は、リンドスラム帝国へ向けて出発した。
このパターンは、絶対いるだろ? 例のやつ。
そんな事を考えながらも先を急いだんだ...
◇◇◇
リンドスラム帝国国境までは、魔物の姿も無く順調に進んだ。ただ、街道も荒れ果て侵攻方向にあった街や村はめちゃくちゃだ。亡骸が無いのが、とても寂しく虚しい気持ちになる。クトニウス! 絶対にお前の思い通りにさせないからな!




