魔人出現!
今回は、天界の様子から〜
シゲル達が、魔法をぶっ放していた頃...
◇◇◇
天界〜
「アイツらちょっとは、自重しなさいよ!」
「まぁまぁ、テイアー。抑えて!」
今にも飛び出しそうなテイアーをヒューベリオンが必死に押さえていた。
「面白いな。アレでも全力じゃないだろ?」
そう言うのは、オケアノス。感心した様子で腕を組みながら頷いている。
「ちょっと感心してないで、手伝いなさいよ‼︎ 」
更にヒートアップするテイアー。コイオスもヒューベリオンに加勢して捕まえる。
「うふふふ。アレは良いわね」
「ちょっとタイプかもー」
レアーとムネーモシュネーは、楽しそうにシゲルを見ている。恍惚とした表情だ...
「ひゃー やらかしてるねー」
「うんうん いっけぇー♪ 」
ポイベーとテーテュースは、もうノリノリだ。2人で奇妙なダンスまでしている。
「実にけしからん!」 「....良いね!」
クレイオスとイーアベトスは、何やら意気投合して嬉しそうにしていた。
「アンタ達‼︎ いい加減仕事しなさいよ! 大陸が崩壊するじゃない! あの馬鹿共がぁああああ!」
テイアーが、怒るのも無理はない。あの人数が、極大魔法を放つと普通に大陸が沈むんだ。シゲル達は、解っていなかった。自分達の規格外の力を...
◇◇◇
ところ変わってここは聖都。
「なんだ⁈ とんでもない音が響いて来たぞ!」
「教皇様! 現在調べております! 」
慌てふためく教皇と大司教。当たり前だよね。大陸が崩壊するほどの魔法だもん。
◇◇◇
そしてシゲル達を後方から見ていた聖騎士達。驚愕した顔で固まっていた。そりゃそうだ。見たことの無い規模の魔法だからさ。
「アレが神の使徒様の力... 神よ!」
口々にそう言うと一斉に跪き祈り始める一同。もはやカオスである。そんな事は露知らず勝手に盛り上がっているシゲル達は、後ろの状況に気がついていなかった。自重ってなんなんだろうね?
◇◇◇
そんな事もありながらも進軍を再開したシゲル達は、王都の城壁が見える位置まで到着した。これまでに通った街や村は例外なく崩壊していた。戦力が、王都に集中しているのだろうか? そんな緊張から隊列が乱れてきた。そのタイミングでシゲルが声を掛ける。
「みんな! ここでこの戦は終わる! 大丈夫だ! 俺達は負けない! 苦しむ人を邪な力から解放するんだ!」
「「「おおおおおー!!!」」」
重苦しい雰囲気が払拭され、戦意が回復した軍勢から雄叫びが上がった。
王都の城壁には、大軍が待ち受けていた。その数約10万。今まで通り兵士と魔物の組み合わせの前に、黒いローブ姿の集団が並んでいた。杖を持っているので、魔法使いなんだろうか? そしてその一団の後方に死者の王が3人。更に最後方に3本の角を額に生やした鬼の姿が確認できた。
「あの1番後ろの鬼は魔人だな。アレの相手は俺がやるよ」
「オッケー。じゃあ死者の王は、私とマリアとアズミで相手するわね」
そう答えたのは、レイン。相性的にはそれが無難だな。
「じゃあ私達で、あのローブの集団を相手しますね。アオイちゃん、オリヴィエ、ヒトミちゃんは私と一緒に」
デニスがそう声を掛けた。そうだな。魔法使いには、接近戦で相手するのが良いかな。
「じゃあ、私とリゼットは、精霊達と残りを相手しようか」
ウルルカ達には負担をかけるが、お願いしよう。俺は、シルフィーとサタンを連れてあの鬼まで突っ込もうか!
先制で放たれたシルフィーの''氷結地獄"が直撃するかと思われた時... 一斉に杖を掲げたローブの集団から黒い障壁が現れて魔法が防がれた。なるほど、その為の配置だったようだな。しかし1つの魔法に集団全てで対応するんだ。悲観する事は、全くない。俺は、その集団の一角に一瞬で距離を詰め一閃する。そのまま直線的に鬼に向かった。ここから本格的な戦闘が開始。
俺が切り開いた後ろからレインのチームが続き襲い掛かる魔物達は、ウルルカチームが蹴散らす。精霊達も遠慮なく魔法をぶっ放している。デニス達もローブ集団に対し各個撃破で対応し始めた。聖騎士達も怯む事なく魔物や兵士に攻撃。今のところ問題はない。
圧倒的な力でグングン距離を詰める俺に対しても鬼は動じる事もなく仁王立ちだ。余程自身があるようだな。俺は、冷静にそう感じていた。周囲の魔物達を斬り伏せながら後で必ず天に返すと心で誓い、間もなく死者の王と言う位置まで来た時... 不意に前方から斬撃が飛んできた。俺はその斬撃を神気で相殺する。へぇ 不意打ちとは底が見えるぞ? 俺は口角を上げて鬼を見た。
さぁ、この世界の魔人の力、見せてもらおうか!




