神託と邪教認定
ティターン神との邂逅を終えた後、大聖堂内はちょっとした騒ぎになった。どうやら俺たちに光が差し込む現象が、起きていたようで...
「おおー 神からの洗礼だ! 」とか「あの方達は、何者なの⁈ 」なんて巡礼者が騒ぎだしたんだよ。あちゃー これは、かなり目立ってるよ! さっさと逃げないと! って思ったんだが、すでに遅かった...
「申し訳ありません。こちらに来て頂けませんか? 」
と司教さんがやって来ちゃってさ。適当に言い訳して去ろうかとしたらガシッと腕を掴まれたから諦めた。暴れても良くないしなぁ
◇◇◇
大聖堂内 応接室〜
「突然 お呼びたてして すみません」
そう切り出したのは、エルム司教と修道女のセドアさん。2人共キラキラした目でこちらを見ていらっしゃる...
「えっと それで私達に御用とはなんでしょうか? 」
「昨夜、こちらのセドアが神託を受けまして... 」
あぁ 手回しが早いよ。きっとテイアー様だよなぁ。
「すみません その神託と言うのはどういったものなんでしょうか? 」
「本日、神の使徒が現れると言う内容でした! 」
セドアさんが、胸の前で両手を握りながら喰い気味に叫ぶ。
「そ、そうなんですね。それが私達だとおっしゃるんですか? 」
「間違いありません! 先程の光景は私も見ていましたから! 」
はぁ これは逃げられないか...
「そうですか... 内緒にしたかったのですが仕方ありませんね」
俺はそう言った後、冥界神を信仰する集団を追っている事。広く情報を集めている事を話した。出来ればこれ以上目立ちたく無いと言うのも含めて。
結果的にティターン教として協力しますと言う言葉を頂いた。そしてこの日...
◇◇◇
「我々、ティターン教は 冥界神を信仰する集団を神敵と認定する!」
ライカールトン教皇から全ての国に対して宣誓がなされた。その宣誓には、彼らの行った非道な事柄や人種を問わない信者の危険性も含まれていたよ。この宣誓により魔族との戦いと共に邪教集団の排除も大々的に周知される事になった。
俺たちは、ティターン教から神の使徒としてバックアップを受ける事になったが、公にはしない約束をしてもらっている。表向きは商人として行動する方が動き易いし、邪教徒の排除に影響が出るからな。
状況が、落ち着いたのであの時みんながどんな体験をしたのか聞いてみた。すると皆一様に白い部屋に行ってたようだ。内容はこんな感じ。
①レイン⇨テーテュース様。加護の腕輪が渡されたようだ。詳細は不明。
②デニス⇨ポイベー様。加護のネックレス。薔薇の紋章が入っている。
③マリア⇨テミス様。加護の耳飾り。槍が交差した紋章が入っている。
④オリヴィエ⇨ムネーモシュネー様。加護のアンクル。砂時計の紋章。
⑤ウルルカ⇨レアー様。加護の指輪。山の紋章が入っている。
⑥リゼット⇨クレイモス様。加護のナックル。炎の紋章あり。
⑦アズミ⇨コイオス様。加護の杖。雪の結晶の紋章あり。
⑧アオイ⇨テイアー様。加護の鍔。ハートの紋章あり。
⑨ヒトミ⇨イーアベトス様。加護の双剣。雷の紋章あり。
俺に関しては、正直よくわかってない。イタズラっぽく3人の神様達が笑ってたから期待して良いんだろう。皆は、必要になれば力が解放されると言われたらしいからな。加護を受けた事で、邪悪な者との戦いは有利になるだろう。
教皇の宣誓を見届けていよいよ移動をしようとした矢先、聖都内でテロと思われる爆発が、起こった。複数から煙が上がっている。やはり入り込まれていたようだ!
すぐに手分けをして俺達は現場へ向かった。負傷者は救護が必要だし邪教徒は排除しなければ! 俺が向かったのは、教会だ。そこで見たのは燃え上がる建物と逃げ惑う人々。負傷者を確認して治療しながら教会上空に水魔法を放つ。これ以上の延焼を防がないとな。教会の人達に避難誘導を頼みこの騒ぎを起こした奴らを探す...
⁈ 居た! 逃げる人に紛れているが、そいつらの手元に魔道具が握られているのを俺は見逃さない!
「おいっ! そこまでだ! 」
「ちっ 我々の邪魔をするな! 」
戦い慣れているようで、5人が俺を囲みに来た。いちいち相手にしていられないから
土魔法で拘束した。
「なんだこれは⁈ 何故我々の邪魔をする! 」
「何故? じゃあ何のためにこんな事をするんだ? 」
「我々の神の為にその命を捧げられるんだ! 光栄な事だそ! 」
「バカバカしい! 人の命を何だとおもっているんだ! 」
話にならない。俺は、5人の意識を絶ち近くの衛兵に後を頼んだ。見たところ洗脳されたような感じはしなかったが、裁きはこの国に任せよう。
念話で、皆の状況を確認したがそれぞれ対処できているようだ。おかしいな これだけなのか? あまりにも簡単すぎる。
その俺の考えは間違いでは無かったんだ...




