神との邂逅
翌朝、聖都へ向けて俺達は移動を開始した。道中、怪しい人物がいないか注意していたが、巡礼に向かう列に出会ったぐらいで平和な道のりだった。
◇◇◇
聖都が、見えて来たんだけどなんだか騒がしい。なんだ?そう思って聖都方面から歩いて来た人に尋ねてみた。
「すみません。何かあったんですか? 」
「あぁ 何かお隣りの国で、変な薬を扱う集団がおったらしい。それで持ち物検査してるんだそうだぞ」
「へぇ そうなんですね。わかりました」
お礼を言って別れたんだが、俺達が見つけたアレの事だよな。案外早く情報が回ってるみたいだ。別の人に聞いたらサイバートン王国は、大騒ぎらしい。貴族連中の粛正も始まり薬についての調査も同時に進められているようだ。俺たちが、関与した事は話に無かったから上手く隠せてるみたいだな。
長い行列に並んでいたが、やっと俺たちの順番が来たようだ。荷台の商品をひと通り見て、商人の手形を確認したら無事に聖都へ入る事ができた。見られて困る物も無いしな。
先に宿を押さえに行ったら4人部屋しか空いて無かったんだが、俺たちにはそれで充分だ。
宿の人は申し訳無さそうにしてたけど、部屋の中に例のテント出したら良いだけだし問題なし。聖都は、常に宿がいっぱいらしいよ。信仰する宗教の総本山だしそんなものなんだろう。この日は、聖都の散策をする事にして皆で宿の外に出た。都の中央に見えるのが大聖堂だろう。露天商も多くの店を出して結構賑わっていたよ。ひと通り露天を周り買い食いなんかもしながら噂話を耳にしていたんだが、例の集団について近々大司教から発表があると言う話を聞いた。ティターン教としてどういう反応を示すのか?興味深い。
◇◇◇
大聖堂内〜
「聖都内の状況は、何か変化ないか? 」
「はい。オラクル大司教。今の所 例の集団に動きは無いようです」
「それにしても例の薬が人間から作られていると言うのは本当なのか? 」
「それについては、未だ噂段階ではありますが間違いないのではと...」
「それが本当なら邪教集団として手配せねばならぬ。早急に調べなさい! 」
「かしこまりました」
◇◇◇
そんなやり取りを宿で見ているシゲル一行。精霊達に頼んで、大聖堂に行ってもらっていたんだ。過去に大司教が、闇に取り込まれていた事あったからさ。念のために探ってもらったんだけど、これなら安心だな。薬の件は、情報が入ったんだろうか? 俺達は、処分したしあの国には中身の事は伝えていなかったんだが。俺たちが、知らないだけで他の国でも同じ様な事があったのかもしれないよな。
翌朝、大聖堂に皆で向かった。観光地としても有名なようで、朝からかなりの人が来ていた。大聖堂の周囲には大小様々な教会が建っていて各教会には、ティターンの12神が祀られているらしい。大聖堂の中に入ると1番奥に12神の銅像が並んでいた。とても神聖な空間になっており多くの人が跪き祈りを捧げている。俺達もそれに習い祈りを捧げた...
◇◇◇
あれ?このパターンなら白い部屋かと思ったんだけど、ここどこ? 何か広い草原なんだけど?
「よく来たな。我らが長兄クロノスの力を宿す者よ」
「はじめまして シゲルと言います」
「そうかしこまる事はない。こちらに来て話をしよう」
そう言われた瞬間、目の前の景色が変わり大きなテーブルとそれを囲うように椅子が現れた。そこには、6人の女性と5人の男性が座っていた。俺は手招きされた席に着席した。
「では、改めて自己紹介といこうじゃないか」
そう言ったのは、初めに現れた男性だ。
「まず私が、ヒューベリオン。人々からは太陽神と呼ばれている」
そこから順番に、オケアノス、コイオス、クレイオス、イーアベトスここまでが、男性。
それから
「私は知ってるよね」
テイアー様から始まり、レアー、テミス、ムネーモシュネー、ポイべー、テーテュース
この場に11の神が揃っていた。話はヒューベリオン様が中心になって行われた。
「基本的に僕らティターンの神は、人間の争いには関与しない。だが、少し趣きが変わって来た。クトニウスとペルセポネのやり方が、我らの怒りを買ったと思ってくれ」
「という事は全ての神にお力を貸していただけると考えて良いのでしょうか? 」
「いや直接は、関与できない。その代わりに君の仲間達に力を授けよう」
「ありがとうございます 少し不安に思っていましたので、感謝いたします」
「シゲル。君には私とオケアノス、それとテイアーから力を授ける」
そう言われた瞬間.... 身体中から力が溢れる。
だが、意識を保てたのはここまでで、次の瞬間には、大聖堂に戻っていたんだ。
周りを見渡すと皆が、俺と同じ様に呆けた顔をしていた。どうやら同じ事が起こったみたいだな。こうして新たな力を得た俺たちだったんだが...




