さて、これからどうする?
宿に戻った俺達は、今後の動きについて皆と意見を交わした。
「さて、いつも通りの巻き込まれで、ここまで来たけど・・ これからどう動くべきなんだろうね? 」
「私は、積極的にこの世界の事に係わるのはどうかと・・」(アズミ)
「私も同意見です。戦争に参加するつもりはありません」(アオイ)
「よくわかりません・・ ただもう少し この世界の情勢を調べたいかな? 」(ヒトミ)
「私達と同じ人種が迫害されているのなら 何とかしたいです」(デニス・ウルルカ)
「我は、暴れられたら 何でも良い! 」(レイン、リゼットもこっち寄り)
「流されるままだと 私達の目的とは 違う方向にいってしまいそうです」(オリヴィエ・マリア)
精霊達は、話を聞いてない・・・ まぁ いつも自由だからな。
「確かに。俺としてもこの世界へ来た目的は、あくまでもクトニウスとペルセポネを抑える事だ。目の前に助けたい人が居たら・・・ その時毎に考えようかと思う」
この話し合いで、今の所、この世界については情報が足りないので、まずはそこを調べることを優先する事。その過程で、介入すべき事案があればその時考えようという事になった。
つまりいつも通りだ。なんだかんだ言ってもお人好しなんだよね。俺達は・・・・
その後、買い物や食事をしながら今、この世界で起こっている事をそれとなく街の人に聞いてみた。
集まった情報としては、
①多くの国が、魔族との戦いにおいては同調している事。
②国によっては、亜人と獣人に対して良い感情を持っていない事。
③人間同士も一枚岩ではなく魔族に協力している国も存在する事。
上記3点がわかった。
この国で得られる情報だけでは、事の真偽はわからないので、 隣国である”サイバ-トン王国”という国に移動する事に決めた。移動手段として馬車も購入したよ。国王からの報酬もお腹いっぱい頂いたしな。
それでだ、身分についてなんだが、冒険者と言う身分が無いので、国王に頼んで旅の商人という仮の身分証を作ってもらったんだ。これなら各国への移動もしやすいし入国の際に止められる心配もないからな。
国王には、かなり引き留められたが、俺達にも事情があって旅をしているという事で無理やり納得してもらった。正直にクトニウスの話をしても、信じてはもらえないだろうから探し物があるって言う話をしたんだが、説得には苦労したよ。
商人に偽装するにあたっては、塩を大量に購入しておいた。どこの世界でも比較的手に入れやすい物だし、扱い易いからという理由だ。他には何種類かの香辛料。移動中に薬草なんかを手に入れられればポ-ションは、自作できるしな。3日程 準備に時間をかけて翌日の朝、グラムトパーズ王国を出発した。
この間に、魔族たちの動きは無かったよ。国王が襲われた事で、警備も厳しくなっているし、すぐに何か起こる事も無いだろう。
国を出た俺達は、国境までに2つの村と3つの街に立ち寄った。村では、塩が喜ばれたよ。流通に関してはまだまだ発展していないようなんだ。1週間に1回商人が来れば良い方らしい。この移動中は、定番の盗賊も出て来なかったよ。結構、田舎だったからかな? うちのメンバ-達は、久しぶりにのんびりした旅を楽しんでいたけどね。
1週間かけて国境に到着した俺達は、検問を通りサイバ-トン王国に入国した。ちゃんと荷台に商品も置いていたし、商人の身分証明もあったから時間もかからなかったよ。
国境に近い街に入った俺達は、まず宿をとって そこの女将さんにこの国の事を聞いてみた。
「女将さん この国ってどういう国なんですか? 」
「そうさねぇ 住みやすい国ではあるけど 貴族様には逆らえないよ。この街の領主もいけ好かない野郎さ。アンタ達も気を付けな 係ると碌なもんじゃないよ 」
「そんな事言って大丈夫なんですか?」
「良いんだよ! この間も街中で小さい子が馬車で引かれちまってねえ 助けようとした親御さんが・・」
この街の領主であるアナデイム男爵は、気性の荒い人間らしい。平民は、ゴミ扱いは当たり前。通行の邪魔をするとそく首を刎ねられるとか・・。ただのクズだな。
最初は、露店でも開いて街の事を知ろうと思ってたんだが、かなりの高確率で巻き込まれそうな気がしたので、様子を見る事にした。
1つ気になる事も聞いたんだよ。ここ最近になって変な宗教が流行り出したらしい。
この世界は、テイア-様が主神なのだが、聞いたことのない神を信仰する者が現れているらしい。
女将さんは、神の名前までは分からないとの事だったから、俺達はその宗教について調べることにしたんだ。
クトニウスが動いているとすれば、その謎の宗教が関連している可能性が高いよね・・・




