グラムトパーズの王都へ
グラムトパ-ズ王国の王都までは、4~5日かかる。王都までの移動中は野営はしないで、最寄りの街に宿泊する事になっている。 国王の安全の為の措置だな。
移送中の魔族は、最後尾で兵士たちに囲まれての移動だ。俺達は、周囲を主に注意しながら移動している。
魔族が、奪還しに来ることも念頭に置いておかねばならない。移動中よりも街中の方が、注意を払う必要があるだろう。すでに、デュナリスの街で経験済みだからな。
王都への移動は、既に3日目に入っていた。ここまでは、心配された魔族の襲撃はない。気を張っていた兵士達にも疲れの色が見える頃だ。
⁈ なっ! ふざけんなよ!!!
あろうことか 周囲の被害お構いなしに広範囲攻撃魔法が、俺達目掛けて放たれた。
俺は、精霊たちと協力して前回の障壁を巡らせる。自重はしない。耳をつんざく轟音が辺りに鳴り響き
身体を揺らす地響きで 兵士たちは立っているのも辛いような状況だ。
「全員 無事だな。 それにしても 皆殺しに来るとは・・」
「「大丈夫なの- でも怒ったよ!」」と精霊達。
うん。俺も怒ってるさ。見境なしに殺しに来たんだし それなりの覚悟はしてもらう。
驚いた顔でこちらを見ている魔族と思われる人物に話しかけた。
「おい! 面白い挨拶の仕方だな?! 」
「き、貴様らは何者だ! まさか私の魔法が防がれるなど・・ありえない」
たかが魔族の魔法が防げない訳ないんだがな。 俺が返事しようとしたらレインに止められた。
「お前ごときの 魔法が我らに通用するはずなかろう。身の程をわきまえろ! 」
「言わせておけば・・・ 」
動こうとした魔族の首が・・・・ 斜めに落ちる。 すでにレインによって斬られていた。
「ちょっとレイン。情報聞きたかったのに! 」とデニスが言うが、良いんだ。全てを消し去ろうとする連中から情報なんて聞けないさ。
俺は、兵士達にも無事の確認をし、王様たちの出発を急がせた。出来るだけ早く王都へ向かった方が良い。
出発を早めたこともあり、夕方には王都の城壁が見えるところまで帰ってこれた。
気配察知にも大きな気配は、無いのでこれでとりあえずは、安心だろう。王都の門には、大勢の兵士が待機しており王様は、そのまま城へ。 護送されてきた魔族は、衛兵に連れられて牢屋に入れられた。
俺達は、明日、王城へ出向くことになり、今日は、王都で宿をとった。
少し王都内を散策したが、王都と言うだけあって、それなりに栄えてはいるが、文化としては中世並みである事は間違いない。なんか異世界の法則でもあるんだろうか?別に発展してても良いのにw
この世界で一番の違いは、冒険者という職業が無い事だ。魔物もそれなりにはいるが、大半の国は、その国の兵士が対応するらしい。一部の国で、ハンタ-と呼ばれる人間が、居るという情報までは、この王都で手に入った。決して平和な世界では無いな。きちんと軍隊が機能しているところを見ると 戦争がいつ起こっても対応できるようにしているんだ。今は、対魔族で各国が連携しているようだが、それが終わると国同士の戦争なんて事もあるかもしれない。
翌朝、俺達の宿に王都の衛兵が尋ねて来た。てっきり王城への案内かと思ったんだが、昨晩 俺達が移送してきた魔族が消されたようだ。予想はしていたが、あまりにもあっさり侵入されるんだな?と言うのが俺の感想だ。予想できているのだからそれなりの対応があるはずなんだが・・・・
一応、現場を見せてもらったが、牢屋の門は傷一つない。すり抜けたか?もしくは、内通者だな。
結界の一つでも張っておけば良いものを。これでは犯人に繋がる情報は無い。
あくまで念の為だが、精霊たちに この牢屋の監視を頼んだ。
その後、俺達は、予定通りに王城へ向かった。城の方へは、連絡が入っていたのですぐに 案内された。
謁見の間~
「皆の者 面を上げよ 」
発言を許されたので、ここからは普通に喋る。
「報告は、入っていると思いますが、あの魔族たちは消されましたね・・」
「うむ。警備に人数を割いていたはずなんだが・・今、内通者の可能性を探らせておる」
「そうですか。王都に簡単に入り込まれるようでは、国王様の身の安全にも繋がりますので・・」
そこで、鎧を着た人物が、話に入って来た。
「何を申すのだ! 我らの力を愚弄する気であるか⁈ 」
「ソランド将軍! 場をわきまえよ! この者たちは、この国の腐敗を正し魔族を捕らえた功労者だ」
「しかし 先ほどの発言は許されるものではございませぬ! 」
「初めまして。ソランド将軍。お怒りになるのは分かりますが、私の言う事も間違っていないと思います。
現に、デュナリスの街は、町全体に被害があり、今回は、王都の中ですよ? 」
「ぐぬぬ・・だが・・」
「やめんか 将軍の言いたいこともわかるが、この状況では、シゲル殿のいう事が正論だ」
ややヒ-トアップする部分もあったが、今日は、王からお礼と報酬を頂くことになった。
俺達も何日か王都に滞在する事になったので、この後、宿に戻ったんだ。




