探索開始
翌朝、山を下りて行く。安心したのは、生き物の気配がある事だ。まだこの世界が、どの様な所なのか分かっていないので少しは皆の足取りが軽くなった。
”主!魔物狩っていい?” とサタンから念話が来たので許可しておいた。
とりあえず、動物も魔物も居るようだ。3時間ほど下りたところで、ようやく平地になった。今度は草原だ。
うんうん いるいる♪ ウルフ系の魔物が3匹程 こちらに向かって来る。ここは、デニスとウルルカが対応するようだ。
「 2匹もらうよぉ- 」とデニスが言うと 「 ずっる-い! 」とウルルカ。
戦闘はあっという間だ。デニスはいつもの2刀流で サクッと首を刎ね それに負けじとウルルカも同じような動きでウルフを討伐。ウルルカは、あの魔人との戦闘の後もデニスに2刀流を教えてもらっていたそうだ。
二人は、満面の笑みで俺に向かって Vサインだ。俺も右腕を上げて答えておく。
今いる世界が 丸いと仮定して陽が沈む方角を背にして進んできた。つまり東へ向かっている訳だが、
やっと道と思われるものが出て来た。微かにではあるが、人の通った形跡がある。
良かった。ちゃんと誰かが存在している。とにかく陽が沈むまでは、進む事にした。
残念ながら陽が沈むまでに人間と出会う事は無かった。道から少し離れた場所で野営だ。この場所なら道を誰かが通ってもすぐにわかる。魔物の警戒もシルフィ-、サタンに任せてあるので少し早いが先に休ませてもらった。
その夜~
「こんにちわ! ねぇ 聞いてますか? 」
「え⁈ ここは・・・ 」 うん 見覚えがあるよ。ここ。
「良かった! 聞こえてるのね。アナタは誰なの? 」
「えっと シゲルと申します。 あなたは 神様ですか? 」
「うん! そうだよ! 私は テイア-! よろしくね! 」
めっさ 元気良いんだが、テイア-様ね。クロノス神の記憶にその名前があったような・・
「シゲル! それで 何で父さまの力がアナタにあるの? 」
「テイア-様。それはですね・・・・ 」
ここで、これまでの説明と何故ここの世界に来たのかを話したんだ。すると 途端に機嫌が悪くなった。
「へぇ クトニウスとペルセポネが 此処にねぇ あいつら懲りないなぁ 」
「テイア-様は、クトニウス達と面識があるんですか? 」
「あいつらは、裏切者の敵だよ。ゼウスも入ってるけどね。 」
「えっと それはどういう・・・ 」
そして過去の天界の戦争について 教えてもらった。クロノス神を中心にしたティタ-ンの一族と
ゼウス神達が戦った話だ。神様同士が争うとかあったんだな。何百年も前の話だったが、熱く語られた話は聞いていて飽きることは無かった。ただこの戦いも管理する世界を分ける事で話は付いたらしい。
但し境界を越える事は許されない。今回、クトニウス達が、この世界に入った事は重大な違反になる。
それで怒ってたんだね。
「それでシゲル達は、クトニウス達をどうするつもり? 」
「今なら滅する事も出来ると思います。ですが、できればペルセポネは 封印したいですね 」
「ふぅ-ん まぁ シゲルなら可能よね。どうせ ゼウスに頼まれたんでしょ? 」
「・・・ええ まぁ そうなります 」
「まぁ 良いわ。 とりあえず頑張りなさい。でも手は貸せないからね 」
「わかりました。自力で頑張ってみます 」
これで、初めてのテイア-様との邂逅は終わった。普通の女神を見れたよ。神様の縄張りかぁ・・・
そういえば、ゼウス様も干渉できないって言ってたよな。多分 俺ならクロノス神の力があるから大丈夫だろうって思ったんだろうね。実際 正解だけど。
翌朝、テイア-様から聞いた話は、皆にキチンと説明しておいた。ただ、何も情報を貰えなかったのは痛い。目が鬼の様になってたから 切り出せなかったんだよ! ヘタレな俺。
とにかく朝飯を済ませたら 出発だ! しばらく進むと轍を発見した。馬車が通った跡だ!
進んできた方向は、間違っていないようなので安心して進むことが出来る。
”主! 街を発見したよ! ” シルフィ-から念話だ。
”ありがとう で どんな感じ? ”
”えっと 人間いっぱいいる! ”
”わかった。一度戻ってきて”
シルフィ-とサタンが戻ってきて案内してくれた。おお 街だな。 念のため皆に言語翻訳の魔法付与をしておく。街の入り口の門までたどり着いた。
「デュナリスの街へ ようこそ! 」
「初めて来たんだが、入るのにお金必要なのか? それと今身分を証明できるものが無いのだが・・ 」
「初めての方からは頂いておりません。身分証明書は、役場でお作り出来ますから この紙を持って行ってください。そこで証明書が出来たらこの門の詰所まで見せに来てください 」
「ああ わかった。 ありがと 」
この街は、デュナリスと言うのか。 詳しい事は、役場で聞くのが間違いないな・・・・




